35話:新世界の女神様となる
「・・・ん~。これと言って、目新しい情報も無いでしょうか。つまらないですね。」
「ルナ様、これだけ話して、つまらないって感想はないんじゃないですか?僕はピノの事情が分かっただけで良かったですけど。」
そう言ってルナ様は、今度はアイスを取り出す。
食い過ぎだろこの女神。それに温かいお茶飲んだ後ガリガリ君か?食い合わせ悪過ぎだろ。腹壊すぞ。
「さて・・・。お待たせ、ルシル。聞かなきゃいけない事がたっぷりありそうだな。」
『はい。なんなりとお聞き下さい。』
「そりゃどうも。まずは、キミが魔族・・・知識を有する魔物の、天狼って種族のレア種。って事でいいんだよな。」
『はい、その通りでございます。我が主は博識でいらっしゃいますね。』
「なんだその見え透いた世辞は・・・。んで、魔王軍の特殊部隊というものに所属していて、その隊長をやっていたと。軍の中での地位は四天王と同等・・・軍なんて詳しくないけど、上から数えた方が早そうだな。」
『はい、その通りでございます。我が主は理解力に長けていらっしゃいますね。』
「・・・もう話が進まないから、いちいち褒めなくていい。」
小首を傾げるルシル。
なんだコイツは?もはや馬鹿にしているように聞こえる。
僕もこの世界に来てから5年。魔物の事は勉強してきた筈だが、天狼というのは聞いた事がない。
まぁ、天狼が代々、魔王軍の特殊部隊に所属しているって話が本当なら、人間側に情報が漏れていないだけなのだろうが、そもそも人間側に魔族の情報はあんまり無いらしい。魔族の中でも有名どころは、世間で知られているみたいだが。
僕が知っているのだと、ヴァンパイア、サキュバスにデーモン、後はドラゴンくらいか。
この辺は、異世界ファンタジーでもお馴染みの面々だな。
それに、さっきポロリとルシルが言っていたラミアが、この世界では魔族に分類されるのだろう。
口振りからして、四天王の中の一人に居るのか?
そうか・・・ラミアは魔族か。
ハーピーやアラクネ同様、女性が確定している魔物なのだが・・・会うのは難しそうだな。
「そこで気になるのは、そんな重要な役割をしていたルシルがだ。どうやって軍を抜けて来たっていうんだ?魔族の王から目を付けられるっていうのは避けたいし、出来る事はしておきたい。」
『・・・・・・・・・。』
おっとぉ?もうだんまりですか?
なんなりとお聞きくださいって言いましたよね?
「リョウ。」
ルナ様が僕の名を呼び、なにやら目で合図を送ってくる。
なんだ・・・?
あぁ!そっか!!
ルナ様、今日の晩飯は豆とか芋とか入ったあんまり美味しくないスープとパンですよ!
・・・なんか違ったみたいだ。
そうじゃねーよ!って顔をしている。
分かってますよ。もっと詳しく聞けって言うんでしょう?
・・・初めからやれ!って顔をしている。
「ルシル、大事な事なんだ。教えてくれよ。」
『・・・我が主は先程、魔王様に目を付けられたくないと仰られましたね。では、あまり魔王軍の内情を知らぬ方がよいのではないですか?要らぬ知識を持つと、そのせいで魔王様に目を付けられるかもしれませんよ。』
は?
どんなヤベー事話す気だよ。
「・・・んふふふふっ。天狼さん、今更何を言っているのかしら?貴方ほどの者が魔王の側を離れ、他の者の下に付いた時点で、リョウはもう目を付けられているようなものでしょう?」
『私は、我が主の事を魔王様に話してはおりません。』
「・・・んふふっ。さて、それはどうでしょうね。それに、魔王は動かないとしても、参謀や四天王が動かないと思いますか?」
『・・・・・・・・・。』
ルナ様の嫌味な口撃に、ルシルは黙ってしまった。
ていうか、そこで黙ってしまうっつーことは、魔王軍の参謀や四天王には、そんな事する奴が居るって事ね。わしピンチっ!!
「大体、貴方は先程から、魔王様魔王様と言っていますが、まだ魔王に忠誠を誓っているのですか?そうですかそうですか。これでは、魔王軍の事を喋る訳もないですわね。もしかして、私の情報が欲しいが為にリョウに近付いたとか?そうですよね、貴方の得意分野ですものね。スパイだったなんてドン引きですわね、リョウ。」
『ぐっ、言わせておけば・・・!私は魔王様には敬意を払っているのです!それの何が悪いのですかっ!!それに私は、我が主が女神と親密な関係である事など知りませんでした!』
「・・・へぇ~、そう。そんな設定でリョウの従魔になる気だったのですね。聞きましたね、リョウ。自分に設定を入れている痛い中二病患者のようですが、面倒を見てあげたらどうですか?」
『訳の分からない事をっ!!大体、何故女神や天使が我が主につきまとっているのですか!?我が主は、私だけで充分御守り出来ます!!』
「・・・んふっ、んふふふふっ。貴方の御守りするっていうのは、街から出てくるリョウを待ち構える事を言っているのですか?リョウの大切な仲間にまで迷惑を掛けて・・・その結果どうなったのですか?まさか、剣を持って追っかけ回されたって事ないですよね?無様に泣いて謝ったって事ないですよね?」
『ぐっ・・・ぐううぅぅ・・・。』
まさにぐうの音も出ない・・・いや、ぐうとは言っているが。
どうせこの女神には口では勝てないんだ。諦めろん。
「ルシル。僕はお前に名前を付けた。だから、お前はもう僕の従魔だし、信用もしている。それと同時に、覚悟も決めている。もし、ルシルから聞いた情報で、魔王軍から目を付けられる事が避けられないとしても、仕様がないし、かまわないよ。」
『わ、我が主・・・。 ・・・はい。覚悟が決まっていなかったのは私の方だったのですね!分かりました!魔王の情報、全てお話しします!!』
「・・・いや、質問した事だけでいい。」
誰が洗いざらい話せと?
目を付けられるのを避けてぇって言ってんだろ。どうしても避けれねぇんだったら諦めるって言ってんだ。
ルナ様も、全部話させろ!って顔してんじゃねーよ。
「じゃあ、改めて。ルシルはどうやって魔王軍を抜けてきたんだ?」
『魔王に単刀直入に言いました。仕えたい御方がおられるので、軍を抜けたいと。』
「別に魔王様と言ってもいいぞ。無理しなくていい。」
『いえ、ですが・・・。』
「敬意を払ってるんだろ。僕は気にしない。」
『は、はい。御気遣い感謝いたします。・・・軍を抜けたいと伝えたところ、魔王様はかなり悩んでおられました。ですが、やはり最初は駄目だと仰られまして・・・。』
まぁそうだろうな。だが、ここで助け船が出たと。
「でも、四天王の奴が助けてくれたんだよな。」
『はい、その通りでございます。同席していた四天王の方が、今は人間と戦争をしている訳でもないし、する予定もない。魔族には元々、協調性も無いから軍も名ばかりで形だけのもの。天狼が他に居ない訳でもないし、好きなようにさせてやったらどうか?と、言ってくださったのです。』
ふ~む。そんな事を言ってくれた奴が居たのか。
発言力のある奴がこう言ってくれると、確かに助け船になるだろう。
『それを聞いた魔王様は、更に悩んでおられましたが、最終的には、好きにしろと仰られまして・・・こうして、我が主の元に馳せ参じた訳でございます。』
まぁ、正式に許しは得て来た訳だな。
なら、もう目を付けられる心配もなさそうだが・・・ルナ様が言ってたように、魔王軍も一枚岩じゃないのだろう。
警戒はした方がいいな。・・・まぁ、僕が警戒したところで、たかが知れてるが。
「・・・天狼さん。その助言をした四天王とは、もしかして九尾ではありませんか?」
『・・・・・・・・・。』
ルナ様の質問に、ルシルは答えようとしない。
ったく。めんどいな。
「ルシル。」
『・・・はい、その通りでございますが。それが何か?』
「・・・やはりそうですか。 ・・・・・・なるほど。九尾にとっては、願ってもない話だったでしょうね。」
「ルナ様?」
「いいえ。何でもありませんよ、リョウ。・・・九尾は魔王軍でも古株の魔族で、発言力もあります。その九尾の言う事なら、魔王も聞くかもしれませんね。」
違うよ、ルナ様。もっと大事な事がある。
「何でもない訳ないでしょ、ルナ様!重要な事です!」
「あらあら、口が滑ってしまいましたわ。ですが、リョウ。貴方がまだ知る必要無い事ですよ。」
「そんな訳ないでしょう!!この・・・この世界に・・・狐のモン娘がいるんですかっっ!!!?」
「・・・・・・はい?」
やっぱりそうかああああぁぁぁぁ!!!
これで!これで確定したぞ!!
狐のモン娘はやはりこの世に存在するんだッッ!!!
絶対のじゃ口調だッ!絶対ロリだッ!絶対ッッ着物か巫女服だッ!
あぁ。西洋風ファンタジーの魔物ばっかりだったから、不安だったんだよ。でもやっぱり和風ファンタジーも入ってるんですね!!やっぱルナ様は分かってるなぁ~。
これは急を要するぞ。存在が確定して、場所まで確定した訳だ。更に此方には元魔王軍の魔族!
・・・勝ったな。
魔族領?愛の力の前には無力!!仲間になる素質?愛の力の前には無力!!魔王?愛の力の前には無力!無力ゥゥゥゥッッ!!絶対、寝取ってやる!私は寝取られは嫌だけど、寝取りは大好きなんだよぉ!!い、いやじゃ!わしは魔王様のものなんじゃ!人間の子など孕みとぅない!うおおおおおおお!!Tonight!!絶対言わせてやる!絶対に!全人類の夢をのせて!!んあああああああああああ!!!タマラーーーンチィッッッ!!!!!
「・・・・・・・・・。」
・・・えーっと。ツッコミ待ちなんですが、ルナ様?
妄想ばかりして気持ち悪い。とか、こんな奴マルスルナに放たなければよかった。とか無いんですか?
真面目な顔して考え事しちゃって・・・ん?いや、笑ってる!めちゃくちゃ邪悪な笑みだ!あの有名な計画通りって顔してる!
絶対よからぬ事考えてるよ。ホントにこいつ神様か?
「ルナ様。また何か面倒な事を・・・。」
「失礼ねセリス。何故、全てが丸く収まるグッドアイデアを思いついたら、面倒な事なのかしら?それに、事が起こるのは何年後になるかしら?まぁ今はどうでもいい事よ。・・・はぁ~、私は規格外の部下のお陰で楽できて幸せですわ。」
何だ?・・・全然分からん。
まぁ放っておくか・・・。
「さて、話が逸れたな。えーっと、魔王軍の方は問題無さそうだし、取り敢えず置いておこう。今から4年前・・・僕とルシルが初めて会った時の事を、もっと詳しく教えてくれ。」
『畏まりました。先程もお話ししましたが、あの時は魔王様の命令でこの辺りにおりましたところを、ブラックファングに喧嘩を売られたので、返り討ちしました。』
「確か、ある魔族を探していたんだよな。その魔族ってのは何なんだ?」
『ヴァンパイアでございます。』
ヴァンパイア・・・200年前のオシリ戦争で、人類側を味方した魔族だったっけ?
そいつを探していたのか?・・・いや、別のヴァンパイアか?
いくらヴァンパイアでも、200年生きてたりするのか?ヴァンパイアは長生きだと思うが、こっちの世界ではどうか分からん。
「・・・やはりそうでしたか。200年前の怨みを晴らしてやろうという事ですね。ですが、魔王はあまり執着していないのではないですか?」
『・・・はい。魔王様はあまり関心がない様子でございました。』
やった!ルナ様の質問にルシルが答えだぞ。
一歩前進だな。
「・・・そうでしょうね。まぁ、未だに執着している者など、容易に想像できますわ。さぁ、もう大した情報もないでしょうけど、続きを話してもらえますか?」
ヴァンパイアに執着してる奴?
九尾だろうか?もしくは他の四天王?はてまた参謀か?
ルナ様なら分かるんだろうが、僕は分からん。
『・・・ブラックファングを殺した後、その手下のフォレストウルフ共からつきまとわれてしまいました。本来、リーダーが殺されれば、群れの魔物は散り散りになる筈なのですが、何故かなつかれてしまい・・・。仕方がないので、数日、群れを率いておりました。まだ任務で調べきれてない場所もありましたので、拠点ができたのはありがたかったのですが。』
拠点ってのはあの洞窟の事だろう。
しかし、誰彼構わず威圧するくせに、お人好しなところもあるんだな。
まぁ、そのお人好しがだ・・・
「それで?何で僕をエサにしようとしたんだ?」
ルシルは申し訳なさそうに、頭を下げて話した。
『は、はい・・・。数日で群れを去るつもりでございましたが、ハーピー共がうろうろしているせいで食糧が取りに行けないとフォレストウルフ共が言うので、最後くらいはリーダーらしい事をして去ろうと思いました。そこで、魔力溜まりに居る人間の子供達を見付けまして、その中で一番・・・えっと・・・可愛らしかった我が主を連れ去りました・・・。』
「はいはい。一番弱そうな奴を連れ去ったんだな。」
『そ、そんな事言っておりません!』
ハーピー共がうろうろしていたってのは、さっきピノが言ってたやつだな。
ハーピーの縄張りが、ブラックファングによって荒らされたってやつで、ハーピー共が狼共の巣を探してたんだろう。
『私は、本当に主様に何か引っ掛かる部分があったのです!ですが、それは拠点に連れ帰っても、何か分からず・・・。』
本来の目的であった、フォレストウルフ共への食糧したって訳ね。
まぁルシルも他の2匹と一緒だな。
僕に何かを感じて接触したが、何も分からず。
その原因は、僕の従魔になる素質があったから。
だが、僕のクラスはまだ開眼していなかったがため、接触だけで終わったと。
「次にいこう。約1ヶ月前、ルシルと突然、森の中で再会する事になったな。あの時はどうして森に?」
『勿論!我が主を探しておりました!!数日前から、主様は我が主となるに相応しい御方だと確信し、急いで此方に戻り、森の中を捜索していたのでございます。・・・ですが、漸く見付けた時にはもう遅かったのです。スライムと天使に先を越されていたとは・・・。』
「あー、なんだ?ルシルは、僕の一番最初になれなくって、その嫉妬であんな事を?」
『・・・・・・は、はい。その通りでございます・・・。』
なんとか言葉を絞り出すルシル。
やれやれ。この1ヶ月程、どれだけ迷惑した事か。
まさか只の嫉妬とは。怖いねー女の嫉妬は。こいつ狼だけど。
道理で僕には殺気を向けなかった訳だ。
まぁもう過ぎた事だし、無事仲間になったのでいいんだけどな。セリスとイムも分かってくれるだろう・・・。リタは知らんが。
だが、それよりも気になる事がある。
ルシルだけの事で、イムとピノとは明らかに違う部分だ。
「今、ルシルは、僕がルシルの主となるに相応しい人間だと確信したと言ったな。その時の事、もっと詳しく教えてくれ。」
『詳しく、ですか。そうですね・・・。その時はこの国ではなく、別の国におりました。そして、適当な魔力溜まりの土地を見付けて休んでいたのですが、突然に我が主の事を思い出しまして・・・あの時に会った少年が、私の仕えるべき人だったのだと。初めて会った時の違和感はそれだったのだと、確信をいたしました。』
分かってはいたが、理由とかそんなんはなさそうだ。
とにかく、雷に打たれたように、そう感じたらしい。
「ルシルは僕の元に来た時、自分の主に相応しい人間かどうか、力を確かめようとは思わなかったのか?」
『なんとっ!!?そのような恐れ多い事、できようはずもありません!! ・・・・・・はっ!?そういえば、ハーピーは我が主に襲い掛かっていました! ハーピー!なんて恐ろしい事を!貴方はそれでも我が主の従魔ですか!!?』
(いや、そんときは従魔じゃないし。ていうか、試そうと思うのが普通じゃない?)
『普通であろう筈ありません!確か・・・人間のクラス、魔物使いは・・・魔物に名前と従魔紋を与えて従魔にした筈です! ・・・・・・はっ!?私はまだ従魔紋を与えられておりません!我が主ぃ!!私はまだ主様のものではないんですかぁ!!?』
やかましいなぁ。
つーか、魔族は人間のそんな事まで知ってるのね。これは説明がめんどくさいな。
「ふあぁ~あ・・・。飽きちゃったし、帰ってもいいかしら?」
大きな欠伸をしたルナ様が空気も読まずにそんな事を言う。
「いやいやルナ様。ルシル達に説明してくれとは言いませんが、ルシルが力を試そうとしなかった事、気にならないんですか?」
「別にぃ~。もうそこの天狼もハーピーも、正真正銘、貴方の従魔ではないですか。魔物は力を試そうとしてきますが、魔族は力を試そうとしない。大方、そんなところでしょう。貴方もよかったではないですか。もし天狼が力を試そうと襲い掛かってきていたら、貴方もセリスもスライムも死んでいましたよ。」
確かに、ゲームオーバーだったろうな。
まぁ別に気にするような事でもないのかな?ルナ様が言うように些細な事ならいいんですが。
「それに、過程が少し違ったところで、もうレア種でメスの魔物、もしくは魔族を従魔にするクラスで確定でしょうしね。」
「・・・やはり、そうですか。」
「そうですね。因みに、貴方達が先日倒したレア種のミノタウロス。あれはオスでしたよ。」
あれはオスだったのか。
さっきルナ様が言ったように、魔物誑しがレア種のメスを従魔にするクラスなんだったら、立ち上がらない筈だ。
「もうそれ以上話しても、また天狼さんが落ち込むような話でしょう?帰ってゲームがしたいわ。」
まぁ・・・ルシルと再会した後は、1ヶ月ずーとストーカーしてきて・・・俺に怒られたから泣いて逃げて・・・そのお詫びにエリオ達の居場所を教えてくれて。って感じだもんな。
何故、エリオ達の居場所を知ってたのか知らんが・・・まぁいいか。
それと最後の言葉は余計ですよ、ルナ様。
「とにかく、今回の出来事で、魔物誑しの事がほぼ分かりましたわね。レア種でメスの魔物か魔族を従魔にするレアクラスだと。 ・・・後もう一つ。リョウ、貴方はレア種に会い過ぎている事・・・分かっていますよね?」
ルナ様の言葉に、思わずドキッとした。
やはりそうか・・・。僕は、ルナ様の目から見ても、レア種の魔物に会い過ぎているのですね。
「スライム、ハーピー、ミノタウロス、そして天狼。この5年間で合計4匹も会っています。これは冒険者を一生やった人間でも、まず会えない数字ですよ。」
そんなになのか・・・。まぁルナ様が言うならそうなんだろう。
あと、合計は5匹の筈・・・い、いや!4匹!4匹ですよね!!当たり前だよ何言ってんだよ4匹なんだよこれからはそれでいくぞもう女神が言ってんだから間違いねぇんだようるせぇなあ。
「魔物誑しには、もしかしたらレア種を引き寄せる効果もあるかもしれませんね。」
「えぇ!!?そんな事があるんですか!?」
「でないと説明つきませんわ。先程、そこのハーピーが言っていたように、レア種は出来るだけ人目につかないように生きているものです。レア種は他の魔物と違って知性がありますから、自分が狙われる存在だと分かっていますからね。・・・リョウという存在が、それを乱しているのではないですか?」
乱しているのではないですかって・・・好きで乱してんじゃないし。
イムも・・・普段は隠れているけど、僕に惹かれて出て来てのか?
だから、あのスティーグっていう変態に生け捕りにされていたのか?
ミノタウロスも?
関わったのはエリオ達とアンドニ達なんだが?まぁその子供達全員、僕の関係者だが。
でも、あの鍾乳洞の魔力スポットでは、謀ったように出で来たしなぁ・・・。
ルシルもピノもそうなのか?
特にルシルは、魔王軍の幹部?だった魔族だ。滅多に会える奴じゃない筈だ。
みんな・・・みんな僕と会う運命だった?
そういう事じゃないのか?
「・・・運命、ね。まぁ間違ってないですわね。 それはそうと、リョウ。貴方は他の人間より、多くのレア種に遭遇するでしょう。それは同時に、他の人間より危険が多いという事。分かっていますよね?」
「・・・はい。」
「貴方がクラスを得る前に会ったレア種達は、もう全員従魔になりましたわ。ですのでこれからは、レア種のミノタウロスのように突然現れる事になるでしょう。そのレア種がメスなのか、オスなのか・・・瞬時には分からない魔物が多いでしょうね。欲をかく事無く、命を大事にして行くのですよ。貴方やセリスに死なれては困りますからね。」
る、ルナ様・・・そんなにも僕の事を。
これが愛、か。
あっ・・・キモっ!って顔してるわ。
「ルナ様。その・・・私はまだよろしいのですか?」
今まで大人しかったセリスが、ルナ様に質問する。
「んふふっ。魔物誑しの事が分かったからといって、帰ってこいとは言いませんよ。此方の事は気にしないで、ゆっくり遊んでいらっしゃいな。」
そうか!
セリスは魔物誑しの事を調べる為に居たんだった。
魔物誑しを調べ終わったら、帰る事になるわな。
だが、それを無しにしてくれるらしい。
僕は、セリスが一緒に居て純粋に嬉しいが・・・ルナ様にはまだ企みがあるのだろうな。さっきも様子が変だったし。
「わ、私は別に遊んでは・・・。」
「そう?随分、無駄遣いが多いように見えるのは気のせいかしら?後、貴方太ったんじゃない?」
「なっ!?そ、そんな事・・・い、いえっ!!天使は体型が変わらない筈です!からかわないでください、ルナ様!」
「んふふっ。それはどうかしらね? ・・・では、私は帰りますわ。最後に、リョウ。貴方、ルナホを全然使ってないでしょう?忘れず活用しなさい。私としては、そちらの方が面白い事になっていますわ。」
そう言って、ルナ様は何も無い空間に消えていった。
・・・全く。台風みたいな人・・・いや、神だな。
『我が主。何故女神とお知り合いなのですか?それも随分と親しそうでしたが・・・。』
ルナ様が去った後、ルシルが直ぐに聞いてきた。
「親しそうなのはルシルもだが?」
『私は、女神が魔王様と会っていた時に同席していただけでございます。話しをした事は殆どありません。』
はぁ?ルナ様が魔王と会っていた?
なんだその組み合わせ。
・・・ラスボスは魔王と思っていたら、実はラスボスは神様でした。・・・なーんてゲームじゃよくある話だが。
「・・・リョウさん。ルナ様は、魔王が人間側と敵対しないように、定期的に話し合いをしに行っていらっしゃるのです。私は行った事はありませんが、今の魔王も先代の魔王も、そんな事をするような魔族ではないそうですが。」
はぁん。なーんだ。そういう事ね。
なんていうか、ルナ様にしか出来ない仕事だな。
さっきのルシルの反応を見るに、仲良しこよしって訳ではなさそうだが、魔族との関係は良好なのかね。
『・・・我が主。私にも教えてもらえませんか?』
「あー、うん。そうだなぁ・・・。いい機会だから、全部話すよ。いいかなセリス?」
「私が決める事ではありません。リョウさんに任せますよ。」
モン娘達はこれからずっと一緒だろう。
僕の事情を話してしまってもいいだろう・・・・・・。
『・・・我が主は、こことは違う異世界から転生して来たと言うのですか。それも、記憶を持ったままの転生であると。』
「・・・・・・リョウ、中身・・・・・・おじさん?」
(ふ~ん。魔物使いじゃなくて、魔物誑しなのね。・・・何が違うの?)
大体理解してもらえたようでなにより。
イムとピノはちょっと分かってなさそうだが、そのうちなんとかなるだろう。
この2匹は決して馬鹿ではない。人間に関する知識がないだけだ。カティとは違う・・・いや、カティも決して馬鹿では・・・いや馬鹿だな。
『我が主の事、女神との関係。よく分かりました。ありがとうございます。・・・それで、女神からの命令と言われておりましたが、一体何をされているのですか?』
「ん~・・・。今は別に、何も。ただ好きに生きればいいと言われていたような・・・。」
『・・・そうでございますか。』
魔物誑しの件も終わっちゃったし、それでいいのだろう。
何か目標があって動くってのもいいが、今のこの未成年の体じゃなぁ・・・。
『・・・女神は正直、気に入りません。ですが、我が主の為ならば、全力でお助けする所存にございます。』
(わたしも手伝ったあげる。リョ〜君の為だもん。)
「・・・・・・イムも。・・・・・・がんばる。」
「・・・リョウさん、よかったですね。勿論、私も一緒に行きますよ。」
ルシル、ピノが僕の正式な従魔になりました。
賑やかなパーティーになったもんだ。カティが見たらどう思うだろう?
僕のクラスの事。魔族が従魔になった事。その他こまけぇ事いろいろ問題があるが、まぁなんとかなるだろう。
僕は全力でこの世界を楽しむだけだ。




