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17話:天空ゥゥ剣




翡翠の湖に着いた。

あまりいい思い出は無いが、魔力スポットの外で休憩するよりマシだろう。


エリオとリタが適当に人数分だけ捌いてくれているので、他の奴等で火を起こす。

異世界は簡単でいいね。枯れ木を集めて魔法で完成だ。


捌いた肉を尖った木に刺して、焚き火でよく焼いて皆で食べた。

旨いには旨いが、塩や胡椒があったらもっと美味しいだろうな。

この世界では調味料が貴重という事はない。普通に売っているそうだ。

肉は美味しく食べたいし、今度買っておこう。



食べた後、女性陣は湖に遊びに行った。

僕とエリオは焚き火の側で見張りだ。

まぁ、4年前のような事はそうそう起きまい。

のんびりとはしゃいでいる女性陣でも眺めるとしますか。


カティ・・・喋らなければやっぱ可愛いな。

あっちの世界でも見た事無いような美少女だな。

だが10歳故に身体が育ってないのがな。それはマルタも一緒だが。

私はロリもバッチ来いだからいいけども。

良かったね、僕がロリコンで。感謝して欲しいよ。


それでも、多少出るとこは出ているのではないだろうか。

僕やエリオにも言える事だが、発育はいいような気がする。

こっちの世界だと、魔物と戦ったりする環境故に、発育がいいのかも知れないな。


だがそれよりも、それよりもだよ。セリスさんですよ。

見ろよあの乳、あの尻、あの太股。

近くにちんちくりんと男の娘が居るものだから、余計に際立つよね。

もうあの乳尻太股は、もう僕のパーティーメンバーなんだし、僕の物なんだよなぁ。

ヤッベェ。ヤッベェぞ。あっ!もっこりしてきちゃった。



「リョウー!リョウーーー!!!」

「ん?リョウ。カティナが呼んでるよ。」

「いや、まりもっこりとか思い出して無いし。」

「え?なに?」

「すみません。・・・行ってみようぜ。」


また4年前のようなトラブルだろうか?

それにしては、そんなに慌ててないか。


女性陣が集まっている所に行く。

なかなか刺激的な格好やんけ。だが、もっと濡れ透け成分が欲しかったな。



「リョウ!あれ見て!何か居るの!」


カティが指を差す方を見る。

少し離れたところに、青いゲル状の何かが湖から這い出て来ている。

な、なんじゃ?あれは?

この湖の精か?全く動かないが。


「何〜?あれ〜?」

「明らかに水ではないよね。」

「魔物でしょうか?」


リタ、エリオ、マルタも口々に正体を探る。

魔物?いや、ここ魔力スポットだぞ?魔物は入って来れないだろ。



・・・・・・いや、居るわ。魔物だけど、魔力スポットに入って来れる奴。

それに見様によっては、だらけて風呂に入っているように見えるあの態度。


「・・・間違いないわ。あの青いスライムだ。」

「え?・・・あー、そうかも!」

「・・・ああっ!レア種だから魔力溜まりの土地に入って来れるんですね!」


一度会ったカティとマルタは、すぐ分かってくれたようだ。


「青いスライム?スライムは緑色では?」

「それがですね、セリスさん。あのスライムはレア種でして、リョウ君が拐われていた時に助けてくれたスライムなんです。」

「そうだったのですね、。あの時に居た魔物とはこのスライムの事だったのですか・・・。」


マルタがセリスに説明してくれた。

知らなかったのか?

全部承知で現れたのかと思ったが。



「確かに、レア種なら納得出来ます。皆さんも知っているとは思いますが、レア種は普通の魔物と違って変わっていますからね。魔物の突然変異として生まれ、魔力溜まりの土地を自由に歩き、同じ種族の魔物と群れず、時に人を助け、倒せば珍しいアイテムを落とすなど・・・。変わっている部分が沢山あります。魔物よりは、魔族や亜人・・・エルフやドワーフ、獣人ですね。それに近い生物だと、ルナ様は仰られていました。」


セリスが長々と説明してくれるが、一つ、聞き逃せない事を言った。


「・・・珍しいアイテムを落とす?」

「そーだよ!リョウ、知らなかったの?」

「レア種は倒したらアイテムを落とすんだよね〜。魔石も価値が高いから〜、お得な魔物なんだよ〜。」


カティもリタも知ってたのか。

もしかして僕だけだった?


「上位種だと危険なので逃げろと言われていますけど、レア種だと倒した時のリターンが大きいので、戦いを挑む方が多いんですよね。返り討ちも多いみたいですけど。こういう時は臆病なくらいが丁度いい・・・痛ッ!チョップするなんて酷いですリョウ君!」


やかましいわ。

名言言いながら、こっちをチラチラ見やがって。



魔物がアイテムを落とすなんて、どんな原理なんだよ。

魔物が身に付けていた物を落とすのか?

いや、あっちの世界のRPGみたいなもんか。

確かに、RPGで敵を倒したら、たまに宝箱落とすよな。

今のところ、宝箱を落としているのは見た事無いが、レア種だけなんだろうか?


そして、魔族や亜人に近い存在だと。

つーことは、知性があるって事か?

確かにな。色以外の見た目は普通のスライムだが、変わった行動をしているのは何回も見た。

普通の魔物だったら、目が合った瞬間敵意むき出しで突っ込んで来るからな。



改めて、青いスライムを見る。

体の半分を湖に沈ませ、もう半分を湖から出して、草むらで寝ている。

まるで、半身浴してだらけているようだ。


いや、まず風呂じゃねぇから。

それに上半身とか下半身とか分からんし。

もしかしらたら、湖に浸かっているのは上半身かもしれない。

犬神家ごっこかも知れないだろ。


・・・おい。本当にコイツに知性があるのか?

こんなので、よく今まで冒険者に倒されなかったな。

いや、誘拐犯に捕まってたか。

でもコイツ、自力で出れるのに檻に入ってたんだぜ?

分からん・・・確かに変わってはいる。だが知性があるとは言っていいのだろうか?



「で〜?コイツは倒していいの〜?」

「えっ!?だ、駄目だよ、リタ!リョウを助けてくれたんだよ!」

「え〜?レア種なんだから勿体無いよ〜。それに相手は魔物だよ〜?」

「カティちゃん。悲しいけど、これ戦争・・・やっ!チョップは嫌ですっ!」


コイツはまだ言うか!

後そういう使い方じゃないから!



「あっ!動きだしたよ!」


ずっと珍しそうに青いスライムを見ていたエリオがそう言う。

ずっと興味無さそうに無視していた様子のスライムだが、モニョモニョと動きだした。


目が合った・・・ような気がする。当然、スライムに目など無いから分からんが。

すると、スライムは急に激しく動きだした。

体を上下に激しく揺さぶっている。

・・・なんだろうコレは?怒っているっぽい?



「どうしたんだろう?」

「分かった!背中が痒いのよ!」

「背中・・・あるんですか?」

「体についた水を飛ばしてるんじゃない〜?」


子供達が口々に言うが、多分違うだろう。


「いや、怒ってるんだろう。・・・多分。」

「リョウさん、分かるのですか?・・・何に怒っているのでしょう?」


セリスの疑問も尤もだが、それは知らん。

ただ、凄い猛っている様子だ。

どうしたんだろう?こんな激しく動く奴だっけ?



ぷんすか!と怒っている様子だったスライムは、動きを止めると、自分の体を触手のように伸ばし始める。

だが、こちらに伸ばす訳ではなく、自分の体の上に伸ばし、触手の先の形を変えだした。

できた形が人の手を模した物だった。器用なやっちゃな。


その人の手を模した触手で、森の方を指差す。

激しく主張しているが・・・。


「凄いね!このスライム。こんなことまで出来るのね!」


いや、カティ。注目すべきはソコではない。


「森の方に何か在るのでしょうか?」

「いや、セリス。何か知らんが、怒ってんだろう。表に出ろ!ケリをつけてやる!って感じだ。」

「リョウ君、さっきから何でスライムの気持ちが?・・・ハッ!まさか、ニュータイ・・・いひゃいっ!いひゃいでふ!」


無防備な両頬をつねってやった。

この子はまるで成長しとらんな。

今日だけで何回言うつもりなんだろうか?



「む・・・むー!さっきから、マルタとばっかりイチャイチャしてる・・・もしかしてマルタも・・・。」


コレの何処がイチャイチャしているように見えるのだろうか。

確かにカティが学園に通いだしてからは、マルタとよく居る事が多いが。


「・・・?ね、ねぇ。スライムが様子が変だよ?」


エリオが言うので、マルタを解放してやって見てみると、さっきよりも更にぷんすか!している。

体を一生懸命ねじって怒りを表現している。

なんだろう。こんなパンあるよね。ツイストパンみたいな。


スライムの気持ちを言葉にしてやると、イチャイチャするな!って感じだ。

・・・なんでスライムにヤキモチを妬かれにゃいかんのだ?

カティは馬鹿だからしょうがないとしてだよ。


つーか、さっきからなんでスライムの気持ちを代弁してんだ?

分かる訳無いだろう?

・・・いやまぁ、普通は分からん筈なんだが、なんとなくそうじゃないかな?って思っちゃうんだよな。



ぷんすか!しながら、青いスライムは森の方に這って行く。

向こうで勝負じゃ!思い知らせちゃる!・・・って感じだろうか。


「・・・何か、魔力スポットの外で戦う事になったらしいぞ。」

「あぁ。怒っていたのに攻撃してこなかったのは、魔力スポットだからなんですね。」


そっか。確か前に、そんな事聞いた気がするな。セリスに言われて思い出したわ。



「それより、何でリョウは魔物の気持ちが分かるの?それがクラスの能力?」


・・・え?エリオ君それマジ?


魔物の気持ちが分かるのが、“魔物誑し”の能力なん?

マジで?しょぼくね?

俺はお前、ムツゴロウじゃねーんだぞ?

なんでそんな役に立つか分からん能力の使い手にならなきゃいかんのだ。


いや・・・いやいや、そんな事無いって。

確かに、実家で犬飼ってたよ。犬。ポメラニアン。

オヤツくれ!って顔で見られたらすぐに分かるよ?

つーか、あの犬は僕が飼ってたんじゃないし。お袋が世話してたんだし。後もう死んでるし。

でも犬だよ!顔あるもん!

スライムは顔無いじゃん!

いや、だから気持ちが分かるのがおかしいんだけど。



「・・・もう行こうぜ。スライムがまた怒ってる。」


ついてきてない僕達を見て、青いスライムがぷんすか!している。

何なんアイツ?あんな奴だっけ?キャラ変わってないか?


「いいじゃ〜ん。レア種があっちから倒されに来てくれたんだよ〜?レアアイテムと魔石〜。ゲットだね〜。」

「もー。リタ・・・。リョウはいいの?」

「そうだな・・・。」


カティの言いたい事も、分からんでもない。

命を助けてくれたんだしな。

ただ、あの青いスライム自身が戦いを望んでるっぽいんだよな。



「何よりもあのスライムが戦いを望んでるみたいだし、いいんじゃないか?それに、レアアイテムにも興味がある。」

「だよね〜。リョウは分かってくれるよね〜。じゃあ〜、ボクに相手させてね〜。」


リタはそう言うと、さっさとスライムの方に向かう。


「あっ!リタちゃん!」


マルタが止める間も無く、リタは森に向かっていった。


「リョウさん。リタさん、危険なのではないですか?相手はレア種ですよ。」

「分かってるよ。皆、早く行くぞ。」


セリスに言われるまでもない。

僕達は置いてあった装備を持って、リタとスライムを追いかけた。




「リタ!1人で行くな!」

「え〜?大丈夫だよ〜。リョウじゃないんだし〜。相手はスライムだよ〜?」


急いで追いついたが、もうここは魔力スポットの外だ。

スライムはもう準備万端らしい。

スライムから殺気が膨れ上がる感じがする。

スライムの攻撃の間合いじゃないと思ってやがるな。それは違うぞ!


「リタッ!触手だ!さっき見たろ!!」

「・・・!!」


リタはギリギリで気付いてくれたようだ。

スライムが誘拐犯を貫いた時のような触手針をリタに放つが、リタはナイフを利用しながら避ける。


「そっか〜。やっぱレア種は違うね〜っと!!」


リタが触手針を払ったナイフをそのままスライムに向かって投げた。

ナイフはスライムに命中し、体に刺さったが・・・ダメージを受けたのだろうか?

スライムは刺さったナイフも構わないで、触手針を、今度は2本放つ。

狙いは・・・マルタだ!


「通しません!!」

「マルタ!・・・ングッ!」


魔法を放つ為に集中していたマルタを襲った触手針は、一つはセリスのハルバードに斬り払られ、もう一つをエリオが持っている木の盾で防ごうとしたが、狙いを変えられたのか、脇腹に刺さってしまった。



「エリオット君!!」

「マルタ!エリオを連れて下がれ!セリスと僕で援護だ!カティ!リタ!行けっ!!」

「分かってるよ!!どりゃーーー!!!」


カティが回り込んでスライムに突撃するが、今度は4本の触手を出して、カティとリタを牽制する。


くそっ。コイツ、触手が何本出せる?

さっきから、どんどん増えているが・・・やっぱりそうか!


「気を付けろ!コイツ、どんどん大きくなってやがる!」


森を出る時から、スライムの体の中を青い体液が波打っていて、循環しているみたいだった。

あれは体を大きくしてたのか。どんな原理だよ!


気付いたら、スライムの体は2倍近くなっている。

最初は僕の膝くらいの体長だったのが、今は股くらいまである。



「時間を掛けるな!手に負えなくなる!セリス、触手を惹き付けるぞ!」

「はいっ!」


僕とセリスが前に出る。

急に前に出た僕達に、スライムが触手針を4本飛ばしてくる。

2本はセリスに向かうが、もう2本は僕に向かって来る!


ヒエッ!怖い!!

セリスは難なく触手を斬り飛ばすが、僕は無様に横っ飛びで躱す。

これでいいんだよ。リタとカティへの攻撃が減った筈だ。


リタは動けなかったようだが、カティが触手を掻い潜り、突撃する。


「おりゃーーー!!!」


スライムは苦し紛れに触手を1本放つが、それをカティは右手に持った銅の剣で払い、左手で持った魔剣をスライムの体に突き立てる。

カティは銅の剣を投げ捨て、魔剣を両手で持ち、スライムの体に刺さったままの魔剣で、力任せにスライムの体を引き裂いた。


斬り落とした後、斬り上げ、Vの字のように斬られたスライムは、力尽きたのたか、地面に溶けるように倒れた。




「やったーーー!!勝利なのだーーー!!」


魔剣を天に掲げて、勇者が勝鬨を上げる。

なのだーとか言っちゃってるので、あまり締まらない。


「終わりましたか?」

「ごめん。足引っ張っちゃって・・・。」


マルタとエリオも戻って来た。

エリオは回復魔法をかけて貰ったのか、血は止まっているようだ。


「すみません、セリスさん。私ではまだ・・・。」

「構いませんよ。後は任せて下さい。」


マルタの回復魔法では足りなかったようだ。セリスがエリオに回復魔法をかけに行く。



「リタ。レアアイテムは何処?」

「ん〜・・・。あった〜。コレかな〜。」


カティとリタがスライムの死体そっちのけで、レアアイテムを探していたようだ。

リタが持っているのは・・・青い宝石の付いた指輪だ。


「リタ、それがレアアイテムか?」

「そうだろうね〜。アイテムをドロップした時は〜、死体の側に落ちているらしいよ〜。ボクも見るのは初めてだけど〜。」

「綺麗な指輪ね!」


カティが綺麗な青い宝石に、目を輝かせる。

おい。あんまりそんな高価な物ばっかにハマるんじゃない。キリがねぇだろ。

女性を敵に回す発言だな!


「アクセサリーだね〜。何か特殊な効果が付与されていると思うよ〜。」

「思うよって。リタは分からないのか?」

「そりゃそうだよ〜。鑑定士に見せないとね〜。」


ほぉ〜。そういうもんなのか。

じゃあレアアイテムを取ったら、鑑定士に見て貰わないと、効果が分からないのか。


「じゃあ、カティが持ってる魔剣もか。」

「そうだね〜。というか〜、何の効果か分からないのに使ってたの〜?」

「そうだよ!!」

「何でそんなえばってるの〜?まぁ〜、倒したからいいんじゃない〜。」


くそっ、生意気な男の娘め!

お前のワキをペロペロしてやろうか!



「さて、この指輪。どうするかな。」

「ねぇ〜え〜♡リョウ〜♡この指輪〜、ボクに使わせてよ〜♡」


リタが僕にすり寄って来る。

なんだコイツ?色仕掛けか?

馬鹿か。その技は俺に効く。やめろ。

コイツ、男のクセになんでこんなに柔らかいんだ?それに良い匂いするし。

つーか、別に僕の物ではないし、パーティーで話し合えばいいのではないだろうか?


「指輪・・・・・・結婚指輪!!?ね、ねぇ!リョウ、それあたしにちょーだい!!なんでもするから!」


ん?今・・・いや、まぁいい。

兎に角、誰でもいいから、暴走馬鹿と男の娘を止めてくれ。



「り、リョウ!あたしの方がおっぱいあるよ!結婚するならあたしだよね!」

「え〜!卑怯だよ〜。ボクが勝てないと思って〜。それに〜、カティナだってやっと出て来た感じじゃん〜。あんまり変わらないよ〜。」

「むむむ( ゜ε゜;)これからおっきくなるもんね!」

「そんな事より〜。ねぇねぇ、リョウ♡ボクに指輪くれたら、今夜〜♡凄い事してあげるよ〜♡」

「す、凄い事?・・・リョウ!あたしの方がもっと凄い事してあげる!」

「駄目だよ〜。コレはボクが男の娘だから出来る事なんだから〜。カティナみたいなお子ちゃまには無理だよ〜。だから〜、指輪はボクの物だよ〜。」


「あたしの!!」

「ボクの〜!!」






(だめ。)


ん?誰の声だ?

振り返って見ても、セリスがエリオに回復魔法をかけているだけだ。

勿論、マルタの声ではないし、馬鹿二人でもない。


「お前ら、何か言ったか?」

「え?あたしにくれるの!?」

「違うよ〜。ボクだよね〜?」


はいはい。メンドクセ。



何だよ。じゃあ誰だ?

ルナ様が裏声出してるのか?


視界に何か入る。

青いスライムの死体があるだけ・・・無い。

そこには、青いスライムが居た。

カティに斬られた傷は跡形も無い。

体の大きさも、何時ものように膝くらいしかない。

楕円形のような形状になって、プルプル震えながら此方を見ている。


「ギョヒーーーーーーーッッ!!」

「何その呪文〜?何が・・・ヒィィ!!」

「え?どうし・・・ウヒョほはぁぁぁぁぁぁぁ!!」



な、何で生きてるんだ!

カティの攻撃は効かなかったのか!?

確かにリタの投げナイフは効いてなさそうだった。

じゃあ、カティのトドメのVの字斬りも効いてなかったのか?


それより、斬られた痕はどうしたんだよ?

増えた体積は?

まさか再生したのか?

迂闊だった。

この世界のスライムは弱い方のスライムだと思ってた。現に普通のスライムはそうだし。

レア種になると、厄介な方のスライムになるの・・・か・・・?


・・・んん?

何か様子が・・・全然戦いになりそうな感じじゃない?

スライムもプルプルしているだけだし、何か眼差しが・・・目無いけど。



エリオの回復を終えた3人も、こちらの叫びを聞いてやって来た。


「これはっ!?リョウさん離れて下さい!私の全力の魔法で跡形も無く・・・。」

「どわーー!!ちょ、ちょっと!ちょっと待ってくれ!!」


僕はセリスを止める為に、セリスのお腹に抱きつく。


フワッ!!なにコレ!?

や・・・柔らけぇ・・・・・・。



・・・ハアッ!!!!!しまったあッッッ!!!!!!

正面から抱きつけば、おぱーいがッッッ!!!!!


「な、何をして!魔物が居るんですよ!?・・・あ、あんッ♡何を・・・。」

「ウガーーーッ!!リョウッ!!どさくさに紛れて何してんのっ!!正面に回るなッッ!!!」



馬鹿野郎!こんな機会滅多にあるかよ!

こんなの許されるの子供の時だけだからな!!!

くそッ!!この胸当て邪魔だッ!!おぱーいに埋もれれんじゃないか!!!

ふおおぉぉぉ・・・でもいい匂いじゃあ・・・・・・。




ハッ!いやいや、そんな事してる場合じゃない。

でもお前、天使様のおっぱいより優先するべき事なんて・・・いやいやいや!ちょっとスゲー気になる事があるから!!


「ちょっと待ってくれセリス!マルタも!魔法を止めてくれ!スライムにもう敵意は無い!」

「え?・・・そ、そうみたいですね。」

「・・・リョウ君。いったい何があったんです?」

「いや、僕も分からん。気付いたら、カティにトドメを刺されたはずのスライムが復活してたんだ。」

「うん〜。・・・傷痕も消えてるし〜、大きさも小さくなってる〜。」

「・・・・・・そうだね。動く気配もないね。」


エリオ君何前屈みになってんだ?

・・・あぁ。さっきのセリスの喘ぎ声か?

安心してください。僕もビンビンですよ!!僕のも小さくしてくれーぃ!



そんな事はもういい。話が進まん。

だからカティは白い目でみるな。


改めて青いスライムを見る。

・・・やっぱそうだよな。

何となく、スライムの気持ちが分かる。

スライムに目があれば、きっとチワワの様な綺麗な目で懇願しているだろう。

どうする〜?アイ・・・止めておこう。



「でも・・・どういう事なの!あたしちゃんとトドメ刺したよ!」

「相手は不定形の魔物です。再生能力があってもおかしくないと思ったのですが・・・。しかし、戦意が無いのはどういった事でしょう?」

「再生能力・・・。そんな魔物がいるんだね。これからの課題だな・・・。」

「でもでも〜。レア種を倒した証の〜、レアアイテムはゲットしたんだよ〜?倒さないと出ない筈でしょ〜?」

「そうですよね・・・。レア種がアイテムだけ落として生き返るなんて聞いた事ないです。現に、レア種の魔物の素材で作った道具とか、レア種の魔石も世に出回ってる訳ですし・・・。リョウ君、今このスライムは何を言ってるか分からないんですか?」



「・・・ああ、分かるよ。・・・間違いない。」


僕は青いスライムに近づいて行く。

目の前まで行って、膝を突く。スライムは動かない。

そりゃそうだ。コイツは此方を見ているだけだ。

そう・・・仲間になりたそうに。


「・・・一緒にくるか?」


スライムはそれを聞くと、嬉しそうにピョンピョン跳ねた。

そして、僕の胸に飛び込んでくる。

抱きかかえてやると、ひんやりした。見た目通り涼しそうだ。夏にはいいかもしれない。




「り、リョウさん。いったい何があったのです?」

「ああ。このスライムは仲間になりたかったらしい。今日から仲間だ。よろしくな。」


僕はそう言って、スライムをセリスに見せた。


「ええ〜〜!魔物を仲間にしちゃったの〜!」

「じゃ、じゃあ。魔物誑しって、魔物使いみたいなクラスだったって事なの?」


リタとエリオもビックリして、スライムを見る。


「そうみたいだな。魔物の気持ちも何となく分かるみたいだしな。」


何の事は無い。“魔物誑し”は“魔物使い”だったみたいだ。

何だよそれ。それが分かるのに随分苦労したもんだ。

もう僕、今日から“魔物使い”って事でいいよね?

だって魔物使いだと、レアクラスとして在るんでしょ?

何だかよく分からんレアクラス呼ばわりされる事も無いわけだよ。


「凄いですね!リョウ君!あの洞窟での出来事は本当にクラスによるものだったのですね。」

「ムムム。なんでだろう?何であたしはスライムに危機感を抱いているんだ?」


よく分からん馬鹿は放っておくとして、そういえば、マルタの言う通り、誘拐された時にコイツが助けてくれたんだよな。

あの時は去って行ったが、クラスを授かっていなかったからなんだろうな。


ん〜・・・でも、カーリンさんっていう魔物使いは、クラス貰う前に魔物を仲間にしたんだっけ?

・・・まぁ、聞いた話だしな・・・。詳細も分からんし。



(なまえ・・・・・・つけて。)


またこの声・・・。

もしかして、このスライムか?

こいつ直接脳内に・・・!


「どうしたの?リョウ?」

「カティ、声が聞こえなかったか?」

「え?何が?」


・・・どうだろう。詳しく説明すべきか?

電波を受信する不思議ちゃんと思われたらどうしよう。

ええぃ!分からないままなのも嫌だ。聞いてみるか。


「みんなも。僕達のじゃない声が聞こえなかったか?」


みんなが首を振る。

やっぱり僕だけみたいだ。


「え〜?なに〜?リョウって〜、聞こえない筈の声が聞こえる的な事言ってるの〜?うぷぷ〜ww」


コイツ・・・まぁ、リタはこんな奴だよ。ほっとけ。



「まぁ、実は僕達の声じゃない声が聞こえてな。多分、このスライムの声だと思う。」

「スライムが?・・・それも魔物誑しが関係しているのでしょうか。」


ほら!セリスはちゃんと聞いてくれるだろ?

まぁ、セリスはルナ様に魔物誑しを調べるように言われてるからな。


「セリスさん。レア種は魔族や亜人に近い存在と仰っていましたけど、もしかして・・・。」

「そうですね、マルタさん。レア種も意思疎通が出来るのかもしれません。それで、スライムは何と言っているのですか?」

「名前をつけてくれと。」

「名前ですか・・・。やはり、スライムには名前が無いのですね。」


やはり?

そりゃ魔物だし、無いんじゃないかな?


(ない・・・・・・つけて。)

「無いそうだぞ、セリス。」

「私の声も分かるのですね。後は声が出せれば会話が出来るのですが・・・。」

(・・・・・・。)

「まぁ、いいじゃねぇか。僕が分かるんだし。」

「そうですね。リョウさんに任せます。」

「早速、名前をつけよう。これからずっとスライムって呼ぶのもな。」



大切な仲間だ。素晴らしい名前をつけてやろう。

なに。私の超ハイセンスなネーミングに任せておけ。そして震えろ。


だいたい、青いスライムだろ?

もうコレしか無いじゃないか。


「よし!お前の名前はスラリンだ!」

「駄目です。」


え?・・・セリス?駄目かい?

しょうがにゃいにゃあ・・・。第2候補にするか。


「じゃあ、スラぼ・・・。」

「駄目ですよ。」


食い気味で止められたぞ?

いったいなにがわるいんだ(棒)


「なんだいセリス。アキーラとかサスケがよかったのか?」

「もっと駄目です。」

「じゃあ、マニアックだが、スラおで。」

「真面目に考えてください。」

「マジか・・・まだあったかな?もう思い出せん・・・。」

「まずその固定観念から離れてください。」



いやぁ・・・青いスライムなんてそれしかないじゃん。

仕方ないな。じゃあ僕がオリジナリティ溢れる名前を出しましょう。


「う〜む・・・・・・。男ならスラ太郎だな。女ならスラ子。」

「うわ〜。酷いね。」

「リョウってセンスないね〜。スライム可哀想〜。」

「信じられません。」

「・・・ちょっと、明日発表するから。それまで保留。」


何だよ。エリオもリタもマルタも、酷い言い様じゃないか。

じゃあ君らが考えなよ。めちゃくちゃ言ってやるからな。


「・・・カティ。どうしたんだ?考え込むなんて珍しいじゃないか。」

「うん。・・・デンジャラスビューティースラ太郎か、ファイナルローリングスラ子のどっちにしようか悩んでるの。」

「カティ・・・お前なぁ・・・。」

「リョウはどっちがいい?」

「デンジャラスビューティーファイナルローリングスラ太郎子にしよう。」


「「「嘘でしょ!!?」」」




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