13話:神託
「いたいよ〜( ;∀;)」
私の空手チョップで馬鹿の目を覚まさせてやる。
光栄に思うのだな。通信プロレスで覚えた、私の空手チョップを受けたのは貴様が初めてだ。
「思わぬ時間を取られましたわ。では、・・・人の子らよ。我が力により、クラスを授けましょう。ですが、クラスは絶対ではありません。私は力を授けるだけですわ。己の道は己で決め、自分の信じた道を行きなさい。」
思わぬ時間って・・・ゲス女神のせいだろう。
皆、ルナ様のありがたい御言葉を聞いて、信仰心を燃やしている。
ルナ様が後ろから暖かい光を出すもんだから、皆の目がキラキラしている。
騙されちゃいけませんよ。あの光、オンとオフ出来るやつですよ。
「・・・では、セリス。箱をこれへ」
セリス様が、自分の胴体より小さい位の正方形の箱を何処からか出して、恭しくルナ様の前の祭壇に置く。
何だ?あの箱は?
クラスを授けるのに必要な物なのだろうか。
ん?よく見ると、上の面に穴が空いてるぞ。
・・・おい。その箱もしかして・・・。
「では、ルナ様。どなたから参りましょうか?」
「そうですね・・・。では、エリオット。(一番何も無さそうですから)貴方から参りましょう。」
「は、はい!」
ん?何か変な事言わなかったか?
まさか!女神様がそんな事言う訳無いだろ!!
「エリオット様。前に出て、箱に祈りを捧げて下さい。」
「わ、分かりました。」
エリオがルナ様の前まで出て、跪いて祈るポーズをした。
すると、エリオと箱から淡い光が出て、二人を繋いだ。
お、おお!スゲェ。いったい何が始まるんです?
すると、ルナ様は徐に箱に手を突っ込んで、ガサゴソしだした。
おいっ!やっぱり抽選箱じゃねーか!!
なんだよ!バラエティー番組みたいなノリで僕達のクラス決めるつもりか!!
ルナ様の顔を見るが・・・アレ?めっちゃ真面目な顔して、抽選箱をガサゴソしている。
他の皆も、固唾を呑んで見守っている。
ん?おいどうした?僕がおかしいのか?
しばらくガサゴソしたルナ様は、急にクワッ!と目を見開いて、
「コレですっっ!!」
と叫びながら、箱から手を引き抜く。
手には黄色のビニールボールのような物が。まんまバラエティー番組じゃねーか!!
ルナ様がビニールボールを確認する。
「エリオット。貴方のクラスは・・・“戦士”です。」
「僕が・・・戦士・・・あ、ありがとうございます。」
「エリオ〜。おめでと〜。夢が叶ったね〜。」
「良かったですね。エリオット君。いっぱい修業した甲斐がありましたね。」
「お、おう。エリオ、良かったな。」
「エリオーー!!やったねーー!!」
「み、みんな・・・ありがとう。みんなのおかげだよ。」
良かったな。エリオ。
ちょっと選び方に釈然としないけど。
まぁ、僕はエリオの頑張ってる姿はずっと見てきた。当然なクラスだろう。
ルナ様は、一仕事終えた!という風に、額の汗を拭いている。
セリス様が「お疲れ様です」とか言いながら、ハンカチ持って駆け寄ってるけど・・・。
あれ?やっぱ僕がおかしいのか??
「それでは、次の方・・・。エカテリーナ・トクレンコ。前へ。」
「は、はひっ!シャイ!!」
何語だ?落ち着け。
「んふふっ。(馬鹿)可愛いですね。貴方は(馬鹿)可愛いクラスが出るといいですね。」
「ふ、へひっ!ありがジャイマッスル!!」
見ちゃおれん・・・。馬鹿過ぎる。
馬鹿可愛いクラスってなんだよ。
カティがルナ様の前まで行き、跪いて祈るポーズをすると、先程のように淡い光が出て、カティと箱を繋ぐ。
続いてルナ様が箱に手を突っ込んでガサゴソする。
さっきと同じだ。そりゃそうか。コレを後3回見るんだよな。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
さっきより明らかに長いんですけど・・・。
ルナ様は額に多くの玉の汗を出して険しい顔をしている。
なんだよ?その箱の中で何が起こっているんです?後、その汗舐めたい。
セリス様が「ルナ様、大丈夫ですか?」と言いながら駆け寄る。
おい!ハンカチ!お前そこ変われ!僕がセリス様のお手に包まれながら、ルナ様の汗を舐め取るんだよ!!
「コレは・・・久々ですね。やはり私の勘は・・・。」
おいおい。何かブツブツ言ってるぞ。
早くしてくれ!気になる!答えはCMの後すぐ!!
「来ましたっ!コレですっっ!!」
ルナ様がやっと手を引き抜く。
手に握られていたのは、先程の黄色のビニールボールではなく、ピンク色のビニールボールだった。
いや、色のバリエーションとか要らんから!
「ぬぅ!・・・ピンク色!!」
「ルナ様、その色はまさか・・・。」
え?司祭様もセリス様もビックリしてるけど?
色のバリエーション重要だった?
「ええ。ルナちゃんカラーボールです。何年ぶりでしょうか・・・。」
またその名前かよ。
好きだなーそのルナちゃんっての。
・・・ハッ!!・・・ルナちゃんハンマーの色と一緒だ・・・。
・・・どーでもいいわっ!!!
ルナ様のイメージカラーがピンク色とかどーでもいいわっっ!!!
「エカテリーナ・トクレンコ。貴方のクラスは・・・“勇者”です。」
「なっっ!!!わ、私の娘が・・・勇者・・・。」
「ゆ、勇者って!あの?」
「う、うん〜。あの魔王を倒したっていう〜・・・。」
「カティナちゃんが・・・勇者なのですか・・・?」
「あたしが・・・勇者・・・・・・。」
・・・・・・ん?勇者?
勇者ってあれだよね?手強いシミュレーションの方のやつだよね?傭兵の人がなるやつだよね?割りと何人か居るやつだよね?違う?ドラゴン探求の方?そして伝説への方?あれ?カティって選ばれし者とかだった?・・・いやぁ、僕。僕が居ますけど?へぇ!わし選ばれし者やらさせてもらってます!リョウちゅーもんですわ!なんや勇者はんが出はったちゅーんで、ほな選ばれし者のわしがはるばる来たんですがな!えっ?違う?わしやない?お呼びでない?
・・・ハハハ。
なーんだやっぱりそうか。いや、僕もカティだと思ったんだよ。
アイツ強いもん。異常なくらい。
見たかよ?今日の誘拐された僕を助けてくれた時の。
ロイドとかいう男、20代後半位の男だったぜ?クラス貰って10年以上だ。
ソイツが、まだクラス貰って無い10歳の少女に手も足も出なかったんだぜ?
リタは偵察に使われていたんだろうが・・・まぁ、リタも凄いけど。
リタは兎も角、カティは司祭様と領主様と一緒に、主戦力として、敵のアジトに乗り込んでいたんだぜ?
他の賊を倒しているところは見なかったが、何人かヤっちゃってるだろう。
そうか・・・。僕じゃないか。
セリス様から聞いた話で、もしやと思っていたんだが・・・。
まぁ、これで僕のクラスは・・・いや、レアクラスは一個とは限らないか・・・。
「リョウ!!あたし!勇者なの!!」
カティが失意の僕の手を握って、上下に激しく揺さぶってくる。
・・・そうだな。褒めてやらねえと・・・。
僕はカティを強く抱きしめてやった。
「アヒョッ!!り、リョウ・・・。」
「カティ。おめでとう。良く今まで頑張ったな・・・。」
「う、うん・・・。ありがとう。で、でもこれからだから・・・。」
「そうだな・・・。皆これからだ。」
やべ。涙出ちゃった・・・。男の子だもん。
この涙は、カティを祝福しての嬉し涙なのか。
それとも、自分に回って来なかったレアクラスへの悔し涙なのか。
まぁ、後者ですよ。すまないなカティ。
「女神様!私の娘が勇者となったのはありがたく思います!しかし、勇者が現れたという事は、もしや魔王が・・・?」
え?ゲバルド氏?勇者が現れたら、魔王が復活とかそんなノリあるの?
「200年前の魔王との戦争は、六代目の魔王が強力な能力に目覚め、人類に攻撃したのが始まりです。勇者は・・・関係ありません。」
「そうですか・・・。杞憂でしたな。ありがとうございます。」
「・・・・・・・・・。」
しかし、ルナ様は考え事をするように、目をつむり、黙ってしまう。
「ルナ様・・・?何か懸念がおありなのですか?」
「そうですね、セリス・・・。勇者のクラスが出たのは、約200年前のオルダタ以来ですわね・・・。その間、一度も勇者は現れておりません。それが何を意味するのか。はたまた偶然か・・・。」
おいおい。魔王と戦争とか。めっちゃ王道しちゅ・・・。
いや、駄目だ駄目だ。戦争だぞ?普通に死ねるって!
僕はもっとこう・・・異世界を仲間達と観光とかしたいんだけどなぁ・・・。
皆も神妙な面持ちで、ルナの言葉を聞いている。
そりゃそうだ。
戦争なんて、全然穏やかじゃないですね。
頼むから偶然であってくれ。
「ルナ様・・・。」
「・・・そうですわね。考えても仕方のない事ですわ。不安を煽るような事を言ってしまいました。忘れてくださいな。今の八代目の魔王は、そんな愚かな者ではないですよ。心配ありません。」
「分かりました。この話はもう止めましょう。皆も分かったな。」
「「「「「はい。」」」」」
ゲバルド氏がそう言い、落ち着いたようだ。
起こるか分からない物を心配してもしょうがないわな。
まだ見ぬ魔族のお姉様に会う為に、戦争なんてやってる暇ないんですよ。
「気を取り直してまいりましょう。マルタ。前へ。」
「・・・はい!」
なんだよ。焦らすじゃねえか。
まあまあ!もう一個位あるから!レアクラスが!
マルタには悪いが、魔法使いで我慢してもらおう。
いいじゃん。本人もなりたいって言ってんだから。
マルタが跪ずき、淡い光で箱と繋がる。
ルナ様が箱をガサゴソと暫く漁って、手を引き抜く。
握られていたのは、緑色のボールだ。
また、違う色じゃん。何種類あんのよ?
「む!なんと、珍しい・・・。」
「そうですね。2回連続はあまり見ないです。優秀な方々が揃って居たようですね。」
ゲバルド氏とセリス様は緑色のボールが意味する事を知っているようだ。
「やはり、私の勘は当たったようですわ。マルタ。貴方のクラスは・・・“賢者”です。」
「へっ?わ、私が賢者・・・あの伝説の・・・勇者パーティーの賢者デッカーさんと同じ・・・“賢者”。」
「マルタ!マルタ、マルタ!!良かったね!あたし、マルタに酷い事して、心配で・・・ううっ・・・グスッ。」
「カティナちゃん。・・・ありがとう。」
感極まったカティがマルタに抱きついて、二人して泣いている。
「マルタ。おめでとう。」
「流石だね〜。魔法使いの上をいっちゃうなんてね〜。」
「マルタ。良かったな。僕も心配してたんだぜ。」
「・・・エリオット君、リタちゃん、リョウ君。あ・・ありが・・・とう・・・う、ううっ・・・。」
あーまた泣いちゃったよ。二人してびちゃびちゃだ。
泣きたいのはこっちだよ。
マルタだけは特に心配してた。
色々世話になったしな。
・・・ホントに良かったよ。
「んふふっ。良いものですわね。私も頑張っている甲斐があります。」
・・・ルナ様って頑張ってるのか?
くじ引きしてるだけじゃん。
「・・・。次は、リタ。前へ。」
「はい〜。」
僕は最後か。くそ。盛り上げ上手め。
リタが跪ずき、淡い光で箱と繋がる。
ルナ様が箱をガサゴソして、ボールを取り出した。
・・・今までで一番短いな。面倒くさくなってません?
手にしているボールは、黄色のボール。
今までの感じでいくと、普通のクラスってことか?
「リタ。貴方のクラスは・・・“盗賊”です。」
「やったね〜。狙い通りかな〜。」
「リタ。おめでとう。」
「リター!!やったね!!」
「リタちゃん。おめでとうございます。」
「うん〜。皆ありがと〜。」
エリオとカティ、マルタも祝福している。
何だコイツ。盗賊なんて目指してたのか。
クラス盗賊ってのは、法規から逸脱し、武装して人を襲い、金品は奪うわ女は犯すわ。世紀末でヒャッハーで汚物消毒な、外道な集団達のこと・・・ではなく。
身軽で器用で、軽い物なら多くの武器防具を使いこなす。探知力が凄く、探索、索敵、偵察なんでもごされ。ダンジョンでは、トラップ解除、地図作成と。
パーティーに1人は欲しい存在。とのことだ。
全部マルタの受け売りです。
まぁ、クラス盗賊の方にも得手不得手あるでしょうが、概ね間違ってないでしょう。
「リタ。お前、盗賊を目指してたのか?」
「そうだよ〜。分からなかった〜?」
「言われてみれば・・・そうだったかもな。」
「そうなの〜?ボクね〜、トレジャーハンターになりたいの〜。」
トレジャーハンターって・・・いや、ありだな。
各地のダンジョンを制覇して回る・・・いいぞソレ。実にファンタジー。実に異世界転生。
「ほー。ロマン溢れるな。」
「溢れるでしょ〜。足引っ張らないなら〜、パーティー組んでもいいよ〜。」
「抜かせ。私を誰だと思っている。」
「あ〜・・・その自信何処から来るの〜?」
そこはお前・・・知識で勝負だよ。
僕が考古学者で冒険家の映画、何回見たと思ってんのよ。
金曜ロードショーで何回やったと思ってんのよ。
考古学者って言っても、英国紳士の金目的のトレジャーハンターじゃない奴は駄目だぞ。
銃より強い英国紳士キックとか使えないから。
「駄目よ!リョウはあたしとパーティー組むんだから!」
勝手に決めるな馬鹿。そんなこといつの間に決まった?
リタとカティが言っているのは、勿論、5年後に冒険者ギルドに入った後の事だろう。
大体の冒険者はパーティーを組むそうだ。
ソロの人も居るには居るらしい。が、僕はハーレムパーティーにするんで、絶対組みますけどね。
そして、その野望にコイツらは邪魔だ。
僕は、美女美少女達に囲まれて冒険すんだよ。
これは決まりだから。異世界転生の。
法律で決まってるんだよね。仕方ないね、法律なら。
・・・まぁ、カティと組んで楽するのも悪くない。
なんたって勇者様だ。
とんでもなく大物になることは間違い無い。
カティと居ると、退屈しないだろう。仕方ないな。組んでやってもいいぞ。でも、カティ以外も全員美少女するぞ。
リタと組むのもいい。
世界中のダンジョンを攻略、お宝探し、そしてこの世界に隠された秘密とは!?
・・・いいぞ。すごく。
これぞ冒険。僕、これがやりたくて異世界転生したんですよ。って言ってもいいんじゃないかな?
勿論、あとのパーティーメンバーは美少女だぞ。そしたら組んでやる。
「え?・・・僕は、皆でパーティーを組むもんだと思ってたよ。」
「エリオット君。私もそれでいいと思ってたんですけど、やはり皆さん色々考えや夢がありますから。友人として、それを邪魔するのはよくないです。」
「・・・・・・ごめんマルタ。」
おお。根に持ってるのかな?珍しく嫌味言ってるぞ。
エリオはしょんぼりしたし、リタは知らんぷり。カティは・・・解ってないな。
「君はいい友人であったが、君の父上がいけな・・・う〜ん。使い方が違う気がします。」
・・・コレが言いたかっただけか。
「ルナ様、お疲れ様でした。」
「やっと終わったわね。セリス、帰ったらアイスが食べたいわ。ガリガリ君がいいわね。」
「がりがりくん?・・・は、はぁ。用意します。」
よぉ〜し。皆クラス貰ったなぁ。
これから5年間で更に強くなってぇ。冒険者になるぞぉ!
ハーレムパーティーが僕を待っているんだぁつってんだろこのやろぉ!
さっきまでたっぷり寝たからなぁ。
これから、どんな方針で修業するか考えるぞぉ〜・・・っておーい!!!
「ちょいちょいチョーーイ!! 僕!僕の!!僕のクラスはッ!!!」
「んふふっ。クラスが御入り用なのですか?」
「いるわいっ!!君ら何しに来たんじゃい!!」
「る、ルナ様。リョウ様にもクラスを授けてあげてください。」
そうだよ。お前からも頼めよ。
なんだよ!大体セリス様が最初にお疲れ様でした。とか言っちゃてるもんな!
何、小ボケかましてんだよ。
「仕方ないですねえ。今回だけ特別ですわよ。」
「あ、はい。あざーす。」
「どうせこの箱の中には、もう村人か虫ケラしか入ってませんけどね。」
好きだなその虫ケラってクラス。
ニヤニヤしながら言いやがって。
虫ケラにしやがったら、絶対そのおっぱい揉んでやっからな。
「では、いきますよ。ちちんぷいぷい、はーいこれでーす。」
え??
まだ前に出てないし、跪いてもないし、淡い光で箱と繋がってもないぞ。
ソッコーで手を突っ込んで、ソッコーで手を抜いたぞ。
な〜んだ・・・全部いらなかったんだな・・・。
ルナ様が持っているボールの色は、白。・・・白!?
「うん??何ですか?このルナちゃんボールは?」
「あれ?色が塗ってないボールが入っていましたか?すみません、ルナ様。」
すみませんって・・・このボール、セリス様の手作りなの?
「あれ?でも、ルナ様。ボールに何か書いてありますよ。」
「あら?じゃあ引き直さなくてよいですね。」
「えぇ・・・。そんな得体の知れないボールでいくんですか?」
「何ですか、リョウ?文句があるのですか?だいたい、そう簡単に引き直しなどする物ではありません。これも貴方の運命です。諦めなさい。・・・では、リョウ。貴方のクラスは・・・・・・・・・・・・んん??」
んん?んって何だ?
んで始まるクラス・・・・・・ねーよんなもん!!
いいから早く読み上げてくれよ!
だがルナ様は、何やらセリス様とヒソヒソ話で相談している?
何だ?どうした?一体何クラスなんだよ?
「なんですか!?このクラスは!?こんなクラス見たことありません!?」
「落ちついて下さいルナ様。しかし、出てしまっものは仕方ないのではないですか?」
「そうですね。リョウの身体には、この得体の知れないクラスが入ってしまっています。」
「ではルナ様、このままでいいのでは?」
「そうですわね。これは面白くなりそうですわ。」
全部聞こえてますが?
不安だ・・・。
「お待たせしました。リョウ・・・。貴方のクラスは・・・“魔物たらし”です。」
「まものたらし?」
「むぅ・・・。まものたらし・・・?」
「まものたらし・・・って何?」
「ボクに聞かれても分かんないよ〜。」
「たらし?使いじゃなくてですか?」
「強そう!!」
魔物たらし・・・てなんだ?
たらし・・・足らし?
それとも、垂らし?
魔物をヒモで括って垂らすの?
何のクラスだそれ?ただの特殊なプレイじゃねーか。
「・・・垂らしではなく、誑しです。リョウ。“魔物誑し”です。」
誑しって言われても・・・ってなんで理解出来たんだ?
・・・あぁ!マルスルナの言語を理解する能力か!
今になって効果を実感するとは・・・。
ただ、誑しと理解はしたけど、誑しの意味は分からんぞ?
理解するんじゃねーのかよ。
「・・・よく使われるのは、女誑しですかね。誑しとは、異性を言葉たくみに誘惑する事。うまい事を言って騙す。たぶらかす。後は、子供をなだめる。などの意味がありますわ。」
あぁ。その誑しね。
んで、誑すのは、女ではなく魔物と・・・。
「・・・それでルナ様。魔物誑しとは、どんなクラスで?」
「・・・それは、貴方が実際に使って確かめなさい。」
「・・・知らないんですか?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・ルナ様?」
「・・・それでは皆さん。良い人生を。」
そう言って、逃げるように光に包まれ、消えてしまった。
ぬわっ!あのゲス女神ぃ!!
いつの間にかセリス様も居ねぇ!
あのゲス女神と天然天使め。今度会ったらヒィヒィ言わせてやる!!
CMの後すぐ!お楽しみに!チャンネルはそのまま!!
「・・・む?無事終わったようだな。皆、目当てのクラスになれたようで安心した。おめでとう。特にエカテリーナとマルタ。レアクラスが二人も出るとはな。私も鼻が高いぞ。」
「はい。今まで頑張った甲斐がありました。」
「エヘヘ〜。パパありがと〜。」
「これからは、外で修業するのを許可しよう。領主に許可書を作って貰うからな。エカテリーナは、学園の授業も厳しくなるだろうが、頑張りなさい。皆、無理だけはするなよ。死ぬ事は絶対に許さん。さぁ、今日は色々あって疲れたろう。ゆっくり休め。」
「「「「はいっ!」」」
・・・ん?僕のクラスには触れないの?