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12話:怪力神社の浪費家女神




「・・・て。・・・・起きて。」


・・・ん〜?誰かが起こしてくれてるのか?

大きなお世話だ。僕は寝るんだよ。


「・・・起きないの?じ、じゃあ・・・王子様はお姫様の・・・ち、ち、チューで・・・起きるんだよね・・・。うん。リュドミラちゃんが言ってたもん。」


逆だろう、それは。

こっちの世界ではそうなのか。


「よ、よ〜しぃ。・・・起きて。王子様♡」

「色気付くな。」

「グゲッ!!」


馬鹿の額を手でおもいっきり押してやった。

首がグキッっとなったが大丈夫だろう。


「あ、あれ?百年の眠りが?もう覚めた?」

「馬鹿、行くぞ。もう女神様がくるんだろ?」

「むー・・・もうそろそろだって・・・。」



カティと一緒に神殿に向かう。

いよいよクラスが貰える時がきたのだ。

正直、これから僕の異世界転生生活が始まると言っていい。


クラスを貰ってからは、後5年でこの世界では成人だ。

成人になれば、冒険者ギルドで冒険者になれる。

ウホホ。ワクワクするぜ。

僕は絶対女の子としかパーティー組まないからな。

男は男同士で組んでろよ。

ほら。ガチムチ同士で組んでも、イケメン同士で組んでも、絶対需要は何処かにあるから。

何なら、リタをあげるよ。ついでにエリオも。



神殿に着いた。

司祭様は儀式用の服に着替えている。

エリオとリタとマルタも先に居た。

セリス様も言っていたが、他には誰も居ないようだ。


「む。リョウ、来たか。」

「ええと。すみません、司祭様。寝てしまったみたいで。」

「ホントだよ〜。リョウの分までよう・・・モゴモゴ。」

「大丈夫ですよ。リョウ君が一番大変だったんですから。」


マルタがリタを物理的に黙らせて、そう言った。

・・・まぁ、それでもお礼くらい言っておくべきだろう。


「すまんな。何か今度埋め合わせするから。」

「いえ、そんな・・・。」

「ホント〜!じゃあ〜。今日カティナにやってた〜。迫って顎持つやつをやって欲しいな〜。」


はぁ?壁ドンと顎クイか?

リタはあんなのがいいのか?つーか、お前は男だろ。


「え!?それでしたら・・・私も・・・。」

「だ、ダメ!!アレはあたしがして貰ったんだから!!」


マルタまでそんな事を言う。

あんなのでいいとは安上がりな奴等だが、正直、僕も恥ずかしい。

ここはカティの訳分からん独占欲に便乗しよう。


「じゃあエリオにして貰ってくれ。」

「ええ!!?僕がしても意味無いじゃないか!」


僕よりエリオの方が似合うだろ。

まぁ、性格的に似合わないだろうが。




「むぅ。静かにせんか。内密でやっているのだ。・・・む!参られたようだぞ。」


司祭様がそう言うと、神殿の奥。少し高くなった所の祭壇から光が出て来た。

司祭様達が跪いたので、今度は僕も跪いておいた。


光が一層強くなり、中からこの世のものとは思えない美女が・・・。

はわー。天使・・・。まぁ、天使なんですけど。

セリス様が出て来た。



「皆さん、お待たせしました。皆、揃っていますね。では、ルナ様が参られますよ。」


おおっ!遂にか!遂に!僕の異世界転生は此処から始まる!

そして、こちらの世界の美女女神様と会えるぞ!


セリス様が横に移動して跪くと、また光が強くなった。

中からもう1人現れる・・・。




丸太のような太もも!全てを破壊する腕!はち切れんばかりの胸筋!オイルを塗りたくった様なテッカテカの肌!ボディービルダー顔負けの黒光り!暑苦しい笑顔!

間違いない!女神だ!!

降ッ!臨ッ!ルナ様降臨ッッ!!



「な・・・あぁ・・・め、女神・・・さ・・・ま・・・。」


ゲバルド氏、初めてかい?

だから言っただろ?

女神様はこんな奴だって。


「!!!? あ・・・あ・・・。」

「ひぇっっ!!?」

「ヒ、ヒィッ!!」

「くぁwせdrftgyふじこlp○×△☆♯♭●□▲★※」


皆さんも順当に驚いているようで。

勿論、最後のはカティですよ。



「・・・リョウは余り驚いてくれないのですね。」

「お久し振りです。女神様。・・・すみません。リアクションとった方が良かったですね。」

「そうですね。内心はビックリしていたのですから、リアクション芸人として気を使って欲しかったですわ。貴方の為にしたんですもの。」


誰がリアクション芸人だよ・・・美女で来れるなら、美女で来いよな。

この性悪女神、さっさとクラスよこせ。


「・・・んふふっ。そうですか、そうですか。では貴方のクラスは、レアクラス、“虫ケラ”です。虫ケラのように無様に生きてください。」

「すみませんしたぁっっ!!」


・・・そこにクラスを持ってきちゃ駄目だよルナ様さぁ。



「ん?どうしたのですか?皆さん・・・?ルナさ・・・アヒィ!!ルナ様!何ですかそのお姿はっ!!」

「んふふっ。セリス。貴方の反応は百点ですわ。」

「ヒィィ!!声だけルナ様っっ!!」


あー・・・この天使様、貧乏くじの匂いがするわ。

大変ですよね。馬鹿が隣に居ると。


「・・・んふふっ。リョウ。貴方はよっぽど素敵なクラスになりたいのですね。ルナちゃんお仕置きレアクラスセレクションの中から好きな物を選ばせてあげましょう。安心しなさい。先程の虫ケラも入っていますよ。」

「・・・いやもう、マジすみませんしたっっっ!!!」




「仕方ないですね。何時もの姿に戻りましょうか。あの姿は男性が鼻の下を伸ばす位で、面白味がないのですが・・・。」

「は、早く戻ってください!」


セリス様も堪えられないようだ。

しょうがないよね。SAN値減りそうだもん。



ルナ様が光に包まれ、次の瞬間には、息を呑むような美女が現れる。


服はガチムチ状態の時と同じ物で、サイズが小さくなり、すらりと伸びた足がスリットから覗き、手は透き通るように白い。今度は胸筋ではなく、はち切れんばかりの大きいお胸。髪にはウェーブが掛かっていて、セリス様と同じ色の金髪に、ルナ様の方は先が紫色だ。

何より、足元に寄るのもおこがましい程の美女だ。


うおぉ・・・これが女神かぁ・・・。

なんという・・・もうここでリョウ君の異世界転生編終わっていいわ・・・。

さっき始まったばっかりだけど。


「むー!またデレデレしてる!」

「・・・・・・・・・。」

「ふぇっ!何も言ってこない!リョウ!しっかりしてーー!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・んふふふふっ。相変わらず性欲の塊ですわね。」




「め、女神様。その・・・リョウとはお会いしたことがあるのですかな?」


司祭様が恐る恐る訪ねる。

まぁ、今のやり取りに、過去に僕がムキムキのルナ様の事を喋って騒いだ事件が現実に起こったしな。

察するのも無理ないだろう。


「・・・ゲバルド・トクレンコ。貴方はリョウを幼い頃から預り、育て、親代わりとなり、立派に育て上げました。それ故に、リョウが心配なのは分かります。ですが今回の件、リョウは巻き込まれただけで、何も悪い事はしておりません。寧ろ、リョウには助けて貰っているのですわ。」


助けてるって・・・。まだ何もしてないけどな。

巻き込んだってのはどうだろう。

寧ろ、僕から巻き込まれに行った感あるな。

そんな申し訳なく考えなくていいのに。

感謝してるくらいなんだが。


「リョウが女神様を・・・?いったいそれは・・・?」

「それは私が話すことではありません。リョウが決める事でしょう。」


転生のことかな?

う〜ん。どうだろう。話をするいい機会ではある。が、話すメリットってあるのだろうか?

いきなり、僕は別の次元の世界から来ました。元の世界では31歳のおっさんです。こちらの世界のリョウという子供の身体を乗っ取って生きてます。って言うのか。


うわぁ・・・まとめるとキツいな。

何かイケない事をして生きてるみたいだ。


いや、転生ってそういうことじゃないか。

生まれ変わっている訳だから、身体を乗っ取った訳じゃない。

後から記憶が戻って来たからそう感じるんだよな。


・・・あれ?記憶が戻ったら転生って言えるのか?

・・・・・・あれ??



「・・・リョウも混乱しているみたいです。必要な時が来れば話してくれるでしょう。ですが、私は特に重要な事では無いと考えていますわ。事実を知ったところで、皆のリョウの印象は何も変わらないでしょう。」

「むぅ・・・。女神様。それは、知らない方がいい事。と言うことでしょうか?」

「そこまでの事ではないでしょうが、無駄な心労が増えるだけでしょう。」

「む。そういうものですか。では、気にしない事にしましょう。皆もそれでいいな。」

「「「はい。」」」


ゲバルド氏やみんなはそれで分かってくれたようだ。


「ん〜?リョウは女神様と仲良しってことでいいの?」

「んふふっ。その通りですわ。貴方は賢いですわね。」

「え、エヘヘ。女神様に褒められちゃった。ホラッ、あたしって馬鹿じゃないもん。」

「んふふっ。何とかな子程可愛いと言いますからね。」


カティさん。褒められてませんよ。




「そうですね。・・・リョウとは仲良しですから、コレも許して貰えますよね。」


ルナ様は僕に、黒い物を投げてきた。

足元に落ちたソレを拾い上げる。

ん?コレ・・・僕の財布じゃないか!元の世界のだけど。


今更なんだ?こんな物・・・。こっちじゃ日本のお金なんて使えないし・・・。

中を見てみるとスッカラカンだ。一円すら無い。

え?・・・あの時は確か・・・、お賽銭箱様には五千円位入れたけど、財布にはまだ、多くはないがそこそこ入っていたはず・・・。



「セリス、見て。新しいデジカメ買っちゃったわ。」

「はぁ。でじかめ?と言うのですか?何か前にも同じ様な物を見た気がするのですが。」

「アレはもう流行遅れよ。電化製品なんて、次々新しいのが出るのですから。これであのお店のパンケーキ食べてインスタにアップするのですから。」

「でんか?いんすた?あっぷするとは一体・・・?」

「もうっ。地球の事を勉強しておけと言ったではないですか!」

「も、申し訳ありません・・・。」


・・・は?なんだこの会話は?

さっきのは間違いなく、ルナ様とセリス様の会話だ。

急に俗っぽくなったぞ。

しかも、こっちの世界の話じゃねーし。

ほらっ。司祭様と他の子達、ポカーンとしてるぞ。

話についていける訳ない。



・・・ん?デジカメを買った?パンケーキ食った?

・・・おい、まさか・・・。


「ルナ様。もしかしてそのデジカメ・・・。」

「んふふっ。どうやって買ったと言うんですか?」


ルナ様は意地の悪そうにニヤニヤ笑っている。可愛い。

そんな笑いも似合うなんて卑怯だ。

・・・いや、それどころではない。落ち着け、リョウ。


「・・・ルナ様、あんたまさか・・・。」


・・・いや、おかしい。

ルナ様は最新のデジカメって言ったんだぞ。

僕の財布の中身では、買える訳ない。

・・・なーんだビックリしたぞ。流石にそこまでゲスじゃないよな。



・・・・・・・・・・・・。

いや、まてっ!!あるぞ!買える方法!!

僕は急いでカード入れを見る・・・・・・っっ!!


僕はルナ様の顔を恐る恐る見た。そこには・・・ゲス女神が居た。

ゲス女神はニヤニヤしながら、二枚のカードを見せびらかす。

アレは、銀行のキャッシュカードと・・・く、く、クレジットカード・・・。


「あ、あ、あんたまさか・・・。」


「リョウ君もつれないですね。魔法のカードを持っているなら、持ってるって言ってくれれば良かったのに・・・。それでしたら、あの時五千円で我慢する事はなかったのですわ。」


「あぁ・・・?何言って・・・・・・。」


・・・あの時何が起こった?

僕はお賽銭箱様に5円入れた。

そしたら物足りなくなった。

だから、お賽銭箱様に追加で5円を入れたんだ。

そしたら、僕の顔面に弾き返された。

その衝撃で五千円札がお賽銭箱様に落ちていったんだ。


・・・なんだよ衝撃って!顔面に衝撃が来て、何で財布の五千円が落ちるんだよ!

それに、なんだよ!お賽銭箱様って!

何で賽銭箱を敬わないといけないんだ!


「・・・やっぱりおかしいぞ!神社に入ってから、僕に何かしてたな!」

「・・・さあ?何の事でしょうか?私が何かした証拠がありますか?」

「うぐぐ・・・。」



・・・落ち着け。

多分何らか魔法だが、証拠がある訳ねえ。

・・・それに元の世界に戻る気も無いんだ。金なんてあったってしょうがねえ。

だったら、ルナ様に好きに使って貰っていいじゃねえか。

この世界にあっても、ゴミみたいな物だ。それで、今回の特別扱いがあったなら、儲け物だ。


「・・・では、許してくれるのですね?」


ルナ様はニッコリと微笑む。

可愛い。やばっ、コレだけで許してしまいそうだ。



いや、でも何に使ったかくらい聞いてもいいだろう。


「・・・五千円で我慢したと言っていましたが、何に使ったんですか?」

「・・・・・・・・・。」

「ルナ様?」

「・・・え〜っと、言いましたかねぇ?」

「言いましたよ。女神様が惚けないで下さい。」


意外にも、セリス様から援護が入る。


「もうっ!セリス!余計な事をぉ!・・・え、え〜っと。あれは・・・。日本全国駄菓子ツアーを・・・。」

「ツアー・・・ですか?あぁ、女神様とあろうお方が・・・嘆かわしいです・・・。」


セリス様が恥ずかしそうに項垂れる。

セリス様・・・ファイトッ!

・・・ん?ツアーって団体で観光するやつだよな?そんなに安いのか?


「・・・ツアーにしては安すぎる気がしますが?」

「・・・ツアーと言うか、1人で食べ歩きですよ。思わぬ臨時収入だったので、羽目を外しまして・・・。」

「・・・そう言えば、適性のあるものを見つけてから、2日ほど居なくなっていましたね。・・・そんなことをしていらしたのですか。」


ほらっ!やっぱり!!ボロが出たぞ!!

ゲス女神が、セリス様に向かって、また余計な事を・・・って目をしているが、コレは逃げられんぞ!


「ルナ様。僕が2日も飲まず食わずで放置されていたのは、その甘いものツアーのせいですね!」

「な、何を言っているのです!私は神ですよ!自分で招致した人間を忘れるなど・・・お、オホンッ!さあ、親睦を深めるのもこれくらいにしておきましょう。セリス。準備を。」

「・・・・・・分かりました。」



コイツほんま。

結局神社入ってから、僕に何か精神操作みたいなことしてたし、餓死しそうになってた時は、忘れてたんじゃねえか!!

・・・はぁ・・・まぁ、いいか・・・。

そりゃセリス様もジト目になるよ。


しかし、今までに見たこと無い狼狽え様だったな。

普段、人をからかってくる分、攻められると弱いのだろうか?

それとも、本気で忘れていて、悪いと思っているのだろうか?


・・・まぁ、どっちにしろもう済んだことだし、どうでも良いけどな。

もうあれから5年も経ってるし、転生してくれたんだからいいだろ。



まぁ、分からない事が分かってスッキリしたけど、それよりクラスだよ。


「・・・・・・お?おぉ。いよいよ神託ですな。皆よ。良かったな。」

「・・・え?あ、はい。嬉しいです。」

「・・・ハッ!遂に私にもクラスが・・・。」

「ん〜〜。ボク何してたんだっけ〜・・・?」


皆、思考が停止してたのか?

まぁ、あんなゲス女神が本性だとな。

この世界の人間は、女神様への信仰心が凄いから受け入れられないだろう。

それともルナ様が何かしたのか?まぁ、コイツらに聞かせる話じゃないな。


そういや、カティが喋ってないな。


「ス〜〜。ス〜〜。」


こ、コイツ。跪いたまま寝てやがる!!




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