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11話:天使様




ゲバルド氏の話を聞いて、カティはテンションが上がったようだ。


「ほへー!じゃあさっきあたし達を助けてくれたあの青いスライムは、友達になれそうね!ちょっと追っかけてみる!」

「馬鹿。止めとけ。アイツの自由にさせてやれ。」

「むー!また馬鹿って言った!もう昔のあたしじゃないのにっ!」

「いや、お前全然変わってな・・・いや、お前変わったわ。見違えたよ。」

「え・・・?見違るほど可愛くなったって・・・そんな・・・嬉しい・・・。」


言ってねーよ。

まぁ、可愛くなったのは事実だ。


「む・・・。流石に私の目の前でイチャイチャするのは止めてもらおう。」

「あ、すみません。」



「・・・あの・・・司祭様は何故、魔物に対して・・・その・・・そういうお考えなのですか?女神様の教えにも、魔物と友好的に。なんてことは書いて無かったと思うのですが・・・。」


司祭様の話を聞いて、少し考えていたマルタが口を開いた。

やはり口では親の仇じゃないと言っておきながら、どうしても魔物に対していい感情を持てないのだろう。



それは当然のことだ。

孤児院に居るほとんどの子供が、親を魔物に殺されて孤児になっている。

孤児院だけのことではない。魔物に大怪我を負わされる。農作物を荒らされる。商品の輸送中に襲撃される。村を襲われ、村が壊滅。

魔物の被害なんて沢山ある。力の無い者は、日々魔物の脅威に怯えて暮らしている。


僕の中のリョウ君も、魔物に関しては恐怖しか無かったみたいだ。

しかし、僕の中の常井 稜は・・・やはりゲーム脳なんだろうか、少しの恐怖はあるが、資源だと思っている。

倒せば経験値と、たまに宝箱・・・って在るのかな?

魔物によるが肉は旨いし、魔石は燃料、骨や革は武器防具の材料。

後は、元の世界の素晴らしい文化のせいで、女性型の魔物を探して、ムフフな展開になりたい。ってことと、害獣だし、間引きは必要だろう。ってこと位か。


・・・さっき随分な目にあったってのに、楽天的だな僕は。

まぁ、あれは同じ人間にやられたんだが。



女神様の教えってのは、聖典のことだ。

ルナ様が下界に降りてきて、説いていった教えが書かれている。

しかもルナ様、ちょくちょく女神教の総本山に降りてきているらしい。

その度にありがたい教えを説いていくので、聖典は頻繁に更新されている。

暇なのかなルナ様?更新する人大変だな。


その聖典には、魔物ことは間引け!としか書いていない。

魔物や魔族は敵だ!見つけたらデストロイ!なんてことは一切書いていない。

逆に友好的に!とも書いていないが。



「む。確かに書いていない。だから、好きにしていいのではないのかな?」

「それは・・・そうですね。女神様もそうお考えなのでしょうね。」

「む。それになマルタ。私には理由があってな。王国騎士団の同僚で、レアクラスの“魔物使い”の女性が居たのだよ。」

「魔物・・・使い?」

「うむ。魔物を友とし、魔物と共に戦うクラスだ。カーリンという女性でな。ロックホークという魔物と、サンダータイガーという魔物を連れていた。サファテとバースという名前でな、人懐こい子達であった。」


魔物使いと聞いて、女子達には大ウケのようだ。


「わあっ!いいなぁ。あたしも魔物の友達が欲しい〜。」

「それは・・・良いかもしれません・・・。」


う〜ん・・・ペットか?

実家には居たんだけどな。母さんが飼ってた犬が。もう亡くなったけど。

僕は別にペットは・・・ただ、魔物を仲間にするってのは憧れるな。

出来れば女性型の魔物でオナシャス。女性型ならめっちゃ飼いたいです。



「そこで一つ思った事があったのだ。カーリンがロックホークのサファテと友になっのは、クラスを授かる前だったらしい。」

「ええっ!魔物使いになる前だったの!」

「そうだ、エカテリーナ。だからな、さっきのスライムも、もしやと思ったのだが・・・見込み違いだったかもしれんな。」

「そんな事があるんですね・・・。では司祭様は、私達3人の中に魔物使いを授かる筈だった者が居たと?」

「む。可能性はあると思ったのだ。正確には、エカテリーナかリョウのどちらかだが。マルタはさっき見たばかりだろう?」

「そう・・・ですね。私はスライムに助けて貰っていませんし・・・。いえ、私には魔法使いが・・・でも・・・それも・・・。」


マルタがションボリしている。

お前には、魔法使いがあるからいいだろうが。



しかし、僕が魔物使いかぁ。

戦闘するクラスが良かったんだがな。

まぁ、贅沢は言ってはいけない。なんたってレアクラスだしな。


「あたしが魔物使いだったのかぁ。可愛いくて強い子を仲間にしたいなぁ。」

「おい、馬鹿。話聞いてたか?僕とお前に可能性があるって言ったんだよ。間違いなく僕だろう。」

「また馬鹿って・・・。リョウだって、そうとは限らないじゃん。」

「カティは魔物をボコスカ倒してるだろ。無いな。」

「むー!・・・リョウだって魔物のお肉、美味しい美味しいって食べてるじゃん。」

「それはカティも一緒だろ。何なら僕の分の肉も勝手に盗って食うじゃねぇか。」

「むむむ( ゜ε゜;)・・・リョウなんて、クラス遊び人だよ!」

「マジか・・・遊び人か・・・それは役立たずだな。遊び人だったら、カティが養ってくれるか?」

「え?・・・ええっ!そ、それってプロポーズ・・・・・・は、はい・・・喜んで・・・。」

「ぬう・・・。リョウ。お前は、よく私の目の前で、私の娘を口説けるな。」


いや、別に口説いてる訳では・・・。




「それより、さっきからクラスの話をする時、変な言い方してないか?」

「なにが?」

「授かる筈だったとか、魔物使いだったとか。過去の事みたいに言ってるじゃないか。これからだろ?クラスを授かるのは。」

「ぬう・・・・・・。皆が決めた事だ。私は出来るだけの事をしてやるだけだ。」

「・・・・・・。」


ゲバルド氏は険しい顔をして意味深な事を言うし、マルタはうつ向いて黙ってしまった。

何だ?何だよ・・・。いやな予感がする。


「今日は11日よ。神託の日は過ぎちゃったわ!」

「・・・・・・・・・は?」




カティ?そんな冗談笑えないぞ?それもリュドミラちゃんが吹き込んだのか?

え?・・・ホント?

神託の日が・・・終わった・・・?




「ハハハ・・・・・・嘘だろ?」

「嘘じゃないわ。」

「本当です・・・。」




・・・・・・終わった?

こんな・・・巻き込まれただけの誘拐事件で?僕の異世界人生が・・・?

クラスが絶対のこの世界で?クラス無しでこれから?


じ、冗談じゃねえぞ!

態々、異世界転生までしてきて!

転生してきてからも5年間、ずっと修業してきたんだぞ!

それも全部!この神託の日のためだ!

僕はコイツらみたいに、クラスが無くてもある程度戦える訳じゃねぇ!

へなちょこなんだぞ!クラス無しでどうしろって言うんだよ!


何が女神様が見てるだ!

ちっとも見てねえじゃねぇか!!



「むう・・・。そのな・・・リョウ。今回の件は、私やディーノの問題だ。リョウは不運にも巻き込まれただけだ。だからな・・・前例が無いことなのだが・・・女神教の総本山に連絡をとって、女神様に直談判しようと思う。・・・私を信じて貰えないだろうか?」

「・・・そんなこと・・・司祭様は大丈夫なんですか?」

「む・・・。それは・・・分からん。だが、ここに未来ある若者が5人も居るのだ。私がどうなろうと・・・。」

「なっ!!ちょ、ちょっと待ってくれ!!5人!?今、5人って言った!?5人ってコイツらもか?」




「司祭様。冒険者ギルドからの増援、到着しまし・・・た・・・?」

「ん〜?どうしたの皆〜?」


エリオとリタも此方にやって来た。

冒険者ギルドからの増援が来たようだ。賊を次々と外に運んでいる。

もう任しておけば大丈夫だろう。

それどころでは無いんだが。



「リョウ!その事でパパを責めないで!クラスを授からないのは皆で決めた事なんだから!」

「ハァ!訳が分からんよ!カティだって、クラスがどれだけ重要か分かるだろ!」

「リョウが誘拐されていて、クラスが授かれないのよ!あたし達だけ授かる訳にいかないじゃない!」

「なっ!・・・マジかよ・・・僕に気を使ってクラス貰わなかったてか・・・。クラスを軽く考え過ぎだろ・・・。エリオ、リタ、マルタ。お前らはどうなんだよ?今までずっと修行したろ?全部神託のためだろ!?」

「それはそうだけど・・・。カティナがリョウの事を言うから、僕もそう思ったんだ。」

「リョウ〜?心配し過ぎじゃない〜?今日だって〜、ボクとカティナはクラス無しでリョウ達の救出に参加してたんだよ〜?」


・・・そういえばそうだ。

そ、そうなのか?やっぱクラスってそんな重要じゃない??

・・・いや、でも!コイツらは良くても、僕が駄目だ!

それにコイツらだって、無いより絶対あった方がいいだろ!


この世界でクラスってかなり重要視されてるはずだろ?

コイツらこれでいいのか?

僕の為を思ってしてくれたのは嬉しいが、重過ぎるぞ・・・。



「・・・・・・・・・。」

「・・・おい、マルタ。お前はずっと黙ってるが、まさか皆がそう言うからって流れで決めたんじゃないだろうな?」

「!!?」

「図星なのかよっ!お前は5人の中でも一番努力してたじゃねえか!母親みたいな立派な魔法使いになるんじゃないのかよ!賢者デッカーのような戦術家になりてえんじゃねえのかよ!一時のノリで決めてんじゃねえよ!!」

「・・・うっ・・・ううっ・・・。」

「泣く位ならよ・・・。悔いの残る選択するなよ・・・。何の為に僕は気を使って・・・。」




あー・・・・・・。


だめだ、いくら言ったって、事実は変わんねぇ。

行動しないと。

ゲバルド氏だけにさせる訳にはいかない。僕だって、僕にしか出来ない事がある。

僕は転生者だ。そして、女神様に会った事があるのだ。


ルナ様は僕がチートをくれと言った時、疲れるし面倒だと言ったのだ。

つまりは、チートを与えることは出来る。

クラスは決めれないと言っていたが、与える事は出来るのではないだろうか?

ルナ様に会ったのは5月だ。

4月の上旬にしか出来ない事って訳ではないと思う。

ただ、それは彼方の世界と、此方の世界の時間軸が一緒じゃないと駄目だが。



考えても分からんな。行動に移そう。


「司祭様!ルナ様に会うには、女神教の総本山に行くしかないんですか!?」

「む・・・?そ、それが確実だと思うが・・・。」

「じゃあ行きましょう!」

「行く・・・?お前も行くのか!?」

「ええ!安心してください。ルナ様とは一緒にカルピス風呂に入った仲ですよ。」

「か・・・かる・・・?と、兎に角!お前は連れては行けない!女神様に直談判をしに行くのだぞ!歴史上、一度も無い事だ!どんな事があるか分かったものではない!私に任せておけ!」

「リョウ君!止めて下さい!私達はいいですから!」

「そうだよリョウ〜。それにルナ様に会ったって夢の中の話でしょ〜?」

「ええい!止めるな!」


僕が!ルナ様と!話をつけてくるんだ!

筋肉でも誉めれば一発だろ!






「行く必要はありませんよ。リョウ様。」


突然、洞窟中に澄んだ声が響いた。

声のした方を向く。洞窟の出口の方からだ。


僕達が言い争っている内に、冒険者ギルドの人間は居なくなったようだ。

そしてそこには、明らかにそこら辺の冒険者じゃ無い人が居た。


・・・だってこの人、めっちゃ後光がさしてない?

それにめっちゃ美人だ!

髪は美しい金髪で、腰まで伸ばしている。髪先の方だけ水色だ。

服の方も緑を基調としていて、胸当ての鎧も、大きめのティアラのような兜も、緑と金色の美しい鎧だ。

そして何よりおみ足が・・・う〜んビューティホー・・・これをオカズに三回はおかわりできる。



「あ・・・あな・・・貴方様は!!」


ゲバルド氏が凄い勢いで跪く。

皆も空気を読んで、跪く。

あ、僕だけ跪いてねえわ。


「司祭様、此方のドストライクのもっこりな美女はどちらの・・・。」

「ば、馬鹿者!!跪かんかっ!」

「ブッ!!」


ゲバルド氏に頭を強引に掴まれ、地面にキスさせられた。

う〜ん。意外と強引ね。ゲバルド氏。


「皆もよく聞け!この御方は、女神様に仕える天使様の中でも、女神様に最も近い位置に居られる御方だ。」

「・・・熾天使のセリスです。セリスは本当の名前ではありませんが、下界での活動に必要だと、ルナ様より授かりました。よろしくお願いします。」

「ふぁ・・・本物の天使様・・・。」

「スッゴい美人〜。」


カティとリタがそう呟く。

そうだよな。凄い美人だった。後光でよく見えなかったけど。


「・・・すみません。眩しかったですね。後光は消しましょう。」

「消せんの!?」

「はい・・・。ルナ様から、威厳が出るからと教えて貰ったのですが・・・。あまり効果は無かったみたいですね。」


いや、効果は有ったけど・・・。



「そ、それで、このような所に熾天使様が直々に参られるとは、何事かあったのですか?」


ゲバルド氏が緊張して言うが、顔を知ってるってことは何回か会っているんじゃないのか?

ただのもっこりなねーちゃんじゃねーか。


「・・・そんなに私の格好はハレンチですか?これでも結局抑えてるのですが・・・。」


ま、マジで!!今の格好も布面積より肌面積の方が多いのに!!

普段どんだけもっこりなのよ!!


「なっ、何言ってんすか!全然ドストライクだって言ったじゃないですか!寧ろ普段のお姿も見てえ!っつーかですねぇ!」

「そ、そんなに見ないて下さい。恥ずかしいです・・・。」


うわあああああああああああん!!天使さまああああはあああああああ!!!


「ホテル行こう!なっ!?」

「うーっ!リョウ!!デレデレしすぎっ!!」

「やかましい!!カティにはまだ早い!!」

「やはりルナ様のような白い服が・・・いえ、下界で歩き回るのにあの姿は目立ち過ぎて・・・。」



「・・・あ、あの・・・熾天使様・・・?」

「な、何かこの3人って・・・。」

「凄い似ているような気がします・・・。」

「いいトリオになりそ〜だね〜。」





「・・・オホンッ!では、本題に入ります。トクレンコ様とリョウ様は、我が女神と交渉をする必要はありません。」

「なんと!それは・・・特例は認められないと言う事ですか?」

「いいえ。その逆ですトクレンコ様。我が女神は、リョウ様、エカテリーナ様、エリオット様、リタ様、マルタ様の為に、もう一度パイマーンの街に降臨される事を決めました。」

「な、なんと・・・。おお・・・女神よ・・・。」

「あぁ・・・女神様。感謝します・・・。これで私にも・・・クラスが・・・う、ううっ・・・。」


泣き崩れるマルタに、カティが抱きつく。


「ご、ごめんなさいマルタ。ごめんなさいエリオ、リタ。あたしが、リョウだけ仲間外れは嫌だって我が儘言ったばっかりに・・・。」

「何言ってるんだよ。僕だって、その意見に賛同したんだ。カティナだけが悪いんじゃない。ゴメンよマルタ。強引に誘ってしまって・・・。」

「そ、そんな・・・私だって最後には賛同したんです。皆は悪く無いです・・・。」

「グスッ・・・エヘヘ〜。もういいじゃん〜。皆クラス貰えるんだからさ〜。」

「そうですねリタちゃん・・・。うふふ。良かったです。」

「あはは。皆泣いちゃたね!」

「ワハハー!レアクラスだといいなー!」




眩し過ぎるぞ君達。

眩し過ぎて、精神年齢41歳ではそこには入れん。おじさん蚊帳の外だ。


それにしても・・・、ハァ・・・良かったよ。

首の皮一枚で繋がったか・・・。



「ふふっ・・・伝えに来た甲斐がありました。」

「・・・ええ、セリス様。ありがとうございます。」


・・・しかし、何でルナ様はもう一度チャンスをくれたんだ?

今まで、同じような境遇の奴が居ても、再降臨なんてなかったんだろ?

あのルナ様が?

めんどくせぇって言ってハンマーで潰してくる奴だぞ?


「それにしてもセリス様・・・。何でルナ様がもう一度来てくれる事になったんですか?」

「それは、リョウ様が居たからですよ。」

「え?僕?」

「ルナ様は人類に対して特別な扱いはしません。例えそれが目を覆いたくなるような不幸でも、それがその御方の運命だと、ルナ様はお考えになられています。安易に運命をねじ曲げれば、その御方は堕落するでしょうし、周りの人類にもいい影響は出ないでしょう。それに、人類は欲が深いですから、次から次へとルナ様に頼るでしょうね。」

「う〜ん・・・まぁ、そうかもしれないっすね。」

「その辺は、転移や転生を繰り返す内に、よく解かったと仰っておられました。」


また異世界転移転生の先輩方か・・・。

今のところ、コイツらの存在が不利益にしかなってねえな。



「で?結局なんでルナ様は、今回は特別扱いしてくれたんですか?」

「それは、もう既に貴方を特別扱いしているからですよ。」

「ん??・・・・・・転生の事ですか?」

「そうですよ。これ以上に特別な事は無いと思いますよ?」

「確かにそうですけど・・・。でも、転移や転生をして貰った奴は他にも居たんでしょ?」

「えー・・・他に幾つか理由があってですね・・・。まず、転生したこと。これで多少は気にかけておられました。次に、5年の歳月を生き延びた事。次に、その5年で色々と危険がありましたが、無事に乗り越えた事。転移や転生をした者で5年間も生き残った者が久しぶりだった事もあります。」


ほへー。一応気にかけてくれてたんだな。

更に、不甲斐ない先輩方のおかげで、評価が上がっていたと。

良かったね先輩方。利益でたよ。


「後は、見ていると、こっけ・・・飽きない方だと、仰っていましたよ。良かったですね。」


・・・また滑稽とか言ってたのか。

アンタの方がよっぽど滑稽だわ。

誰もアンタの筋肉には敵わないんだよ。



「それともう一つ。確証はないんですけど・・・、この5人の中に、珍しいクラスを得るかもしれない方が居ると、仰っていました。」

「え・・・?」

「それも理由の一つです。ここで失うのは勿体無いと仰っていました。」


そこまでか?

さっきまで運命、運命って言ってたのに、もうねじ曲げてきたぞ。


「そこまでのクラスなんですか?」

「何のクラスか。迄は解らないそうです。それに、本当にそうなのかも・・・。」

「何か頼りないんですけど・・・。」

「申し訳ありません。ですが、本来クラスを得る予定だった者にクラスを授けるだけですので、手間はかからないでしょうし、リスクも少ないと・・・。」

「まぁ、そのおかげでクラスが貰えるんなら、別にいいですけどね。それに、強いクラスも貰えるかもしれないってんなら、嬉しい事ですよ。」

「強いかどうかは・・・、この事は他言無用でお願いします。後、過度な期待もしないで方がいいです。このまま何も無く、5人共普通のクラスという可能性もありますから。」

「・・・了解です。」


なんとも頼りない話だねぇ。

話さない方が良かったたんじゃないか?

本来なら、まぁレアクラスは僕だろうな(キリッ)なんて言ってるんだろうが。

・・・あれ?別に可能性は無くはないな。

あれ?僕じゃね?レアクラス。



「むー!!またセリス様と二人で仲良く話してた!!」


なんだもう復活したのか。

全く、カティのヤキモチは可愛いもんだが、ここまでしつこいとなぁ。


「はいはい。まずは鼻水と涙を拭け。」

「うん。」

「ぬわあああああ!!何で僕の服で拭くんじゃあああああ!!」



「なるほど。人間の愛情表現は変わっていますね。」

「む。いえ、熾天使様。これはコイツらだけですからな。」

「そうなんですか。・・・では、トクレンコ様。神託の件ですが、今夜にでも我が女神と、パイマーンの神殿に行かさせてもらいます。」

「分かりました。しかし、急がれるのですな。」

「この件は、関係の無い者に見せられるものではありません。また、遅すぎても、あまりいい方向に向かわないでしょう。ここに居る者達以外は、立ち入りを遠慮してもらってください。」

「分かりました。ご配慮、感謝致します。」

「では、私はこれで失礼します。また今夜、お会いしましょう。」


そう言って、セリス様は洞窟の出口に向かっていった。

・・・どうやって帰るんだろう?


「さ。私達も帰ろう。ヨハンナにも話せない以上、私達だけで準備するしかない。皆、もうひと踏ん張りしてくれ。」

「「「「はい!」」」」

「リョウ。お前は休んでいろ。ほらっ、おぶってやろう。」


ゲバルド氏が背中を見せて、屈んでくれた。

・・・カティの鼻水と涙が服に付いてるんだけどな・・・。

まぁ、いいか。




洞窟を抜け出し、森をゲバルド氏におぶって貰って歩いて行く。

道中の魔物はカティが皆殺しだ。

アイツ、もう森でも1人で余裕だな。

クラス貰ってないよね?あの人。凄くない?

絶対アイツがレアクラスだよ。バーサーカーとかかな?


無事に森も抜けた。街が見えてきた。

おぶって貰ったら安心したのかな。お腹空いた。

孤児院のごはんが食べたい。

まず風呂だな。誰か沸かしてくれないかな。

いや、寝るか。晩まで。

何で今夜なんだよ。もう、特別扱いしてくれるなら明日にしてくれ。


・・・・・・・・・・・・。




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