実力の差と涙
颯side
「輝夜を渡してくれると嬉しいのだが?」
「…渡すわけ無いだろ。あんたこそ帰れよ。」
「それは出来ない相談だな。」
「なら…無理やり帰ってもらう!」
魔力の弾と霊力の弾を幾つもだして攻撃する。
「おいおい…舐めてるのか?」
すべての弾がよけられる…でもここまでは計算通りだぜ!!
「オラッ!」
霊力により強化した手で顔を狙って殴る。
「オイオイ…」
しゃがんでよけられる
「腹がガラ空きだぜ?」
みぞに思いっきり膝を叩き込まれる。
「ガハッ!!」
「おらよ!」
蹴り飛ばされて後ろに吹き飛ぶ。
「そんな実力で大丈夫かよ?」
「クッ…クソ…」
膝をつきながら立ち上がる…実力が違いすぎる…
「降参か?」
「んなわけないだろ!!」
再び全身に霊力を纏う。
「それでこそだ…」
「くらえ!!」
顔なんて当てなくていい…とりあえず1発でも多く叩き込む!!
「フン…」
右、左、アッパー…すべてが裁かれるかよけられている…
「クソ!!」
殴った拳を掴まれて逆に顔を殴られて地面に倒れ込む。
「グッ…!!」
「期待はずれもいいとこだぜ…」
体が…動かない…
「オラッ!もっと抵抗してみせろよ!!」
「グッ!!」
腹を思い切り蹴飛ばされる。
「まだたてるよな!?」
再び腹を蹴られる。
「ガハッ!」
「ふぅ…輝夜を確保しに行くか…」
「ま…待ちやがれ…輝夜を…どうするつもりだ…?」
「殺す…がその前に解剖する。」
「ハッ…!?なんでそんなことを…?」
「蓬莱の薬のサンプルとして使うためだ。服用者からしか取れないし永琳からとるのはほとんど不可能だからな。」
やっぱダメだ…輝夜を連れていかれたら…
「あいつが俺達にどう思われてるか知ってるか?物だ!も、の!!薬とも呼ぶけどな!!ギャハハ!」
不愉快な笑い方しやがって…
「安心しろよ!薬が作れたらちゃんと殺してお前のところに送ってやるからよ!!」
絶対ぶっ殺す…
「その目つきはなんだ〜?」
「グフッ!!」
思い切り頭を踏みつけられる…
「やっと気絶したか…手こずらせやがって…」
ー勝てるわけがなかったんだ…最初に気づいとけばよかったんだ…
ーどうして…?
ーあんなやつどうやっても勝てないよ…
ーまた…失うのかよ?
ーまた…?
ーまた…無様に地面に倒れてんのかよ…諦めんなよ…
また…大切なものを失うのかよ!!!!
「さあて抵抗はしないで下さいよ?」
「嫌よ…」
「永琳も助けには来ないし。さっきの小僧も来ない…それとも片方を殺したらついてくるのかな…?」
汚い笑い方…でもこいつの言う通りにしないと…
「大人しくなったな…」
永琳…今まで私のそばにいてくれてありがとう…
「やーめた…やっぱここで痛めつけといて抵抗出来なくしてから帰ろ…」
後ろの刀に手を伸ばす…
「…」
颯…あなたとは一緒にいる時間は少なかったけど楽しかった…それにおそらくは初めて…ある感情を抱かせてくれてありがとう…
「そぉーれ!!」
刀が私の首筋に迫る…不思議と恐怖は感じなかった…でも…もう颯や永琳に会えないと考えると寂しくなる…嫌だ…もう会えなくなるなんて…絶対に嫌だ!
涙が溢れてくる…最後くらい泣いていいよね…叫んでいいよね…
「助けて!!颯!!」
泣きながら大きな声で叫ぶ…颯なら絶対に来ると信じて叫ぶ!
ガツン!!!!…
「ごめん…遅くなった…」
顔を上げると目の前に刀をかまえた颯が立っていた…