支配された村
「そうだ。」
「ん…どうした?」
「妖怪の山の近くに村があるんだが…補給も兼ねてよるか?」
今颯と妹紅のいる場所は妖怪の山からそう遠くなくこのまま直接乗り込むのかそうではないのかを決めるにはちょうどいい所だった。
「そうしよう。腹が減っては戦は出来ぬっていうし。」
「目当ては飯か…自分で金は払えよ。」
「一文無しなんですが。」
「…お前の両親を見てみたいよ。」
「同感。」
(実際に見てみたいよ…きっと月の民を撃退した颯さんみたいに強…おっとこれ以上自分を褒めてははいけない。しかしなんだかんだで月の襲撃を切り抜けたのは俺のお陰と言っても過言ではな…いやちょっと待てよ…永琳は手加減して完全武装の月の民をフルボッコに…おれいらなかった?いやいやそんなことあってたまるか!!)
早口でぶつぶつと呟いていた颯の言葉は妹紅にらよく聞こえなかったらしくキョトンとしている。
「いや…なんでもねーよ…」
「そうか…」
どうやら妹紅は自分の言葉がキツかったのかと勘違いしているらしく、少しだけ凹んでいる。なんだ結構いいとこあるじゃ…
「まぁ飯は自分で買えよ。むしろ私に奢れ。」
前言撤回。この方は一文無しに奢らせようとする悪い人だった。
〜少年&少女移動中〜
「着いた…」
規模で言えば紫にあった街に比べると小さく、人通りも多くは無かった。
「さて…お前が行きたいと行っていた飯屋でも探すか…すまないが1つ聞きたいことがあるのだが…」
ちょうど2人の近くを通ったクワを持って村の外へ行こうとした白髪のお爺さんへと声を掛ける。
「あ…」
こちらを見たお爺さんの顔はやつれていてとても疲れが溜まっているのが人目でわかった。しかもその目は暗かった。
「だ、大丈夫か…ッ!?」
いきなり妹紅の肩を乱暴に掴む。
「あ、アンタらは妖怪狩りの方々か!?」
「…妖怪狩り?」
「簡単に言えば妖怪を狩ることを生業としてる連中だ…まぁ一応私も妖怪狩りみたいな事はしていたぞ。」
その言葉を聞くとお爺さんが泣きながら崩れる。
「やっと…やっと…この悪夢から開放される日が…」
「落ち着けよ…私達に何をして欲しいんだ?」
「…妖怪の山を…落としてくれ」