炎の少女
記憶を取り戻す…そんなあてもない旅に出た颯は山奥で女の子と出会う…
「ま、迷った…」
とうに日は暮れ真っ暗な道の中手に持った特製松明(落ちてる枝に火をつけただけ)片手に歩く…腹減った…がその前にもっと深刻な問題を抱えていた。
「暗いな…」
少し怖い…まぁこう思うのも当然だろう。だって暗いし、お化けとか妖怪いそうだし…だから街を目指してるんだが…
「完全に迷ったな…どうしよ。」
こんな所で迷子とか笑えない…
「今日は野宿かな…ってあそこにいるのって…女の子!?」
幸い人を見つけた…暗くてよく見えないが髪が長く、リボンを付けていることから女の子だと分かる…が
「この時間に…?」
見たところ身長はそれほど変わらないため、歳は同じくらいだろう…もし人間だったらの話だ。妖怪なら変化することが出来るかもしれない…だけどこのままだと埒が明かないな…
「仕方ないか…おーい!」
亜空間から刀を取り出す。念のためだ。
「…」
こっちを見る。
「お前も迷子か?」
少しづつ…少しづつ…近づく…相手はこっちを向いたまま動かない。
「違う…」
「そうか…なら町への道を教えてくれないか?」
相手の手が動き手のひらを俺に向ける。
「どうしっ!?」
女の子の手のひらをから放たれた炎を俺は間一髪ののことで避ける。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
後ろから悲鳴が聞こえる。
「妖怪!?」
振り向くとでかい熊のような妖怪が悶え苦しんでいる。
「なんだ…お前の仲間じゃないのか?」
「違う…それより一言言ってくれても良かったんじゃないか?」
「妖怪かもしれない奴に警告するか?」
「しません…」
「ったく…素人がこんな所にいたら死ぬぞ?」
「誰が素人だ!!」
言わせておけばこいつ…
「帰りたいなら私から離れるな。」
「はっ?なんでだよ。」
女の子が呆れ顔でこちらを見る。
「だから素人って言われるんだ…周りをよく見ろ。」
言われた通りに周りを見ると先程女の子が焼き払った妖怪が沢山いる。
「群れ…か?」
あぁ…と女の子は言う
「こいつらは近隣の村に迷惑をかけているんだ。命が欲しかったら手…出すなよ?」
「へっ…丁度いい…俺が素人じゃ無いって所を見せてやるよ!」
刀を鞘から抜き、全身に霊力を纏わせる。
「頼むから目の前では死ぬなよ…」
「当たり前だ!えっと…名前なんだっけ?」
「妹紅だ。藤原妹紅。」
「そっか!俺は颯!」
「右は私がやる…左の連中を片付けろ。」
「分かった!」
妹紅に3匹、俺に3匹か…この数なら…
「オラッ!!」
手前のやつの懐に潜り込み首を切る。
「グゴォォォォォォォ!!」
仲間を殺された怒りからか、残っている2匹のうちの1匹が突っ込んでくる。
「そこ!!」
霊力の弾で近づく前に倒し、最後の1匹に斬りかかり、終わらせた。
「ふぅ…妹紅の方は…」
先程までいた3体の妖怪は文字通り消し炭と化していた。
「燃やし尽くすって…」
「お前も結果としては同じだろ。」
確かに両方殺したという結果は変わらない。
「おい!行くぞ颯!」
妹紅はそう言うと歩き出す。
「街へか?」
「あぁ。早くしないと置いてくぞ。」
「はいはい…」
俺は妹紅において行かれないように少し後ろから付いていった。
藤原妹紅…炎を駆使して妖怪退治を生業としている少女に助けられた颯は無事に到着した町で、ある女性からあるうわさを聞かされる…
次回!!信じ難い噂