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Fantasy = Shit  作者: 青カビな俺
現代編
3/8

What the fuck is this?

イコ・マクダネルは娘のエセル・マクダネルと共にヴァージア州ポーツマスに住んでいる。

 全米の人口75,000人以上の都市の中では95番目に危険な都市であり、条約等で有名な市だ。

 ヴァージア州は全米ライフル協会の本部も置いてある州であり、銃規制が比較的緩い。

 

 イコは米陸軍に高校卒業後に入隊。

 職業軍人になる気はあんまりなく、大学に進学するにあたっても奨学金を受けられることから、入隊したに過ぎなかった。

 入隊一時金で学費と生活費を家族に送り、過酷な訓練、イラク戦争から中東派兵を経験する。

 中東から帰還後に様々なスクールに通い、イラク戦争終戦後に退役。

 23歳で退役し、地元銀行の現金輸送車のセキュリティオフィサーとして働く。

 25歳で幸運にもIT系企業で働くガルザと結婚。子宝にも恵まれ、一人娘をもうける。

 ガルザの地元のポーツマスで新しい生活を始め、旦那は海外へ単身赴任してしまう。

 

 娘のエセルも小学生高学年になり、旦那の海外からの帰国が目前となった7月の夏。

 

 目を疑うような事件が起きた。

 

 

 

 休日の朝、いつものようにイコは1人では寝るには広いダブルベッドで目を覚ます。

 アクビをしながら、目を擦り口に電子煙草を咥えて電源スイッチを入れた。

 オレンジのTシャツに黒い下着だけのかなりラフな格好なまま台所へ向かい冷蔵庫を開けた。適当なスープの缶詰を取り出し、缶切りで開けて鍋に開けてしまう。

 ガスコンロに火を付けてスープを温め、その間に幾つか野菜を取り出してペティナイフで食べやすいサイズに刻み、鍋に入れて蓋を閉める。

 止まらないアクビと眠気と戦いつつ、簡単な朝食を作っているのだ。パンをトースターの中に二枚、入れてセット。

 フレイバーな煙を吹かしながら、キャビネットに寄り掛かり天井を見上げる。

 昨日の疲れが抜けていないのか、立ちながら寝そうな勢いだ。

 

 

「あー眠い、瞼の筋肉が重力に負けてやがる」



 ぶつくさ言いながら、TVの電源を入れてニュース番組にチャンネルを合わせ、コメンテーターのよく分からない小難しい話を聞き流す。

 鍋が沸騰する前に火を消して、トースターが金属のベル音を出して焼き上がったパンを出した。

 マーガリンを出してダイニングテーブルへと投げてしまう。

 キャビネットからは適当な皿を出して、スープを盛りつけ、あとは適当に冷蔵庫の野菜庫からフルーツを置いておく。

 

 

「ママー、おはよー」


「おはよ、そしておやすみなさいエセル」


「ちょっとママ、テーブルで寝ないでよ」



 ピンクのパジャマで娘のエセルが現れ、ダイニングテーブルの定位置に座る。

 眠気に突っ伏す母親を横目にTVのチャンネルを変えて、教育番組が放送しているチャンネルへと変えてしまう。

 


「ニュース見ろニュース」


「えーセサミ・ストリートの再放送見るんだもん」


「んな懐かしい番組見て面白い?」



 エセルは冷蔵庫から牛乳の入った1ガロンのポリタンクを出して小さなコップに注ぐ。

 赤い生き物が黄色くデカい鳥に絡んでるテレビ画面を見て、アクビをついて涙を拭う。

 

 

「ABCをドイツ訛りでアーベーセーとか言いそうなトンデモ番組じゃないの?」


「それを見てるのが面白いんだよママ」


「ブレイキング・バッドでも見て、覚せい剤でも密造しないだけマシか。ウチの子は」



 そう言いながら、電子煙草の煙を吐き出す。

 

 

「ママ、今日は非番?」


「今日は非番、明日は日勤巡回」


「今日お買い物行こーよ、中央のショッピングモールに新しいお店できたんだってー」



 エセルは焼かれたパンとスープを食べながら、突っ伏す母親を見た。

 その視線に、気だるそうに応える母親は、視線をテレビへと移す。

 

 

「前にもファッショナブルな店に行ったでしょうが。また行くんかい」



 プハァと煙を吐いて、自分が飲むコーヒーを淹れる。

 


「今度は私のお洋服を買うっじゃなくて、ママの服を買いに行くんだよ!」


「はぁ?」


「もう少しでパパも帰ってくるし、少しはオシャレしないとだよ!パパが可哀想だよ!!」


「それを分かってパパの野郎もこんなママと結婚したんだから、向こうも諦めてるだろ……」


「ママの服装、大体Tシャツかポロシャツ、しかも地味な色ばっかりで女性のファッション性に大きく欠けてるんだもん!」



 娘に自身のファッション性を非難されても、顔色変えずに鼻でため息をついてから、疲れの色を出す。

 娘の母を見る目はやや真剣なものであり、それを流すのも無理そうな雰囲気であり、イコはそれに折れる。

 

 普段の母親の服装は、確かに色気もなく地味なTシャツかポロシャツ、たまにワイシャツを着てる位であった。



「はいはい、ファッショナブルな服装でしょ?スーパーマンとかバットマン、エナジードリンクのモンスターのTシャツ着て今風な格好すればいいでしょ?」


「それは女性のファッションじゃないでしょー」


「楽じゃねぇか、着るだけで自分を表現出来る優れものだよ?アタシはモンスターカオスの信者ですって具合にさ」



 ソレを聞いたエセルは呆れた顔をして、大きくため息をついた。

 自分の母親がこんなファッションに無頓着だと、授業参観等で恥ずかしい想いをするのは娘であり、そのことも理解してほしい。

 しかし、母はそんな人間ではなく安い、着やすい、代替が効くものを重点的に服装を選んでいる。確かに家計的にも優しいし遣り繰りしている様が伺えるが、子供としては元が良い母親に少しでもお洒落をしてほしいのだ。

 肝心な本人がこんな男性のような考えでは、その道程は遠いのだが、諦めずにいる。

 

 

「それに、オープンセールで安いから、良いじゃない!巷で有名で綺麗な服を着てパパを喜ばせようよ!」


「喜ぶ?あの野郎、喜ぶか?」


「自分の旦那を野郎とか言わないの!」



 笑いながらコーヒーを飲んで自虐的に笑うイコにエセルは声を少し上げた。

 それに、少し悪そうな顔してベランダの方向を見て煙を吐く。

 

 

「パパはな、昔こう言ったんだ。飾らない君が好きだってな」


「パパが?」


「そうさ、だからアタシは要望通りに飾らないんだ。メイクだって眉毛くらいしか描いてない。殆ど眉なしお母さんだ」



 冗談交じりでそう言って場を和ませようとしていた。

 ベランダ越しに空を見ていると、鳥にしては大きいサイズの飛行物体が無数に飛んでいるのが見えた。

 カラスやカモメにしては大きい。しかし、鷹や鳶な訳がない。それよりももっと大きい生物だ。

 

 

「ヘイ!エセル、ママより学積んでるよな?」


「ママ、ママより学力あるかもしれないけど、万能じゃないよ。それよりも、話を逸らさないで」


「分かった、じゃあアレが何か教えてくれたら話を戻すし、ファッションな店にも行く」



 イコは、デカい飛行物体が街を襲っているのか、騒がしくなっている方向を指さして娘に聞いた。

 次の瞬間、遠くで爆発が起こり、遅れて爆発音と小さな衝撃が二人を襲う。

 

 

 

「What the fuck is this?」




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