死にたがる男
一人の自殺願望の強い男がいた。
彼は、彼女にふられ、友達の借金を負い、会社を解雇された。
一度にきてしまえば、誰だって死にたくなるものだ。
そんな不幸な彼を救うため、神が天使に言った。
神「彼を死なせるのは、かわいそうだ。お前の力で助けってやってくれ」
天使「神様のお願いなら、断れるわけありません。きっと救ってみせましょう」
天使が男のもとにやってきて言った。
天使「自殺なんて止めてください。かわりに1つだけ願いをかなえてあげますから」
男「誰だお前は・・・何、神の使いだって?それで願いを・・・ちょうど良かった。一人で死ぬのは怖かったから道連れが欲しかったんだ。世の中の人間すべて消してくれ。もちろん、俺も含めてだ」
天使「そんな!それは困ります!違うことを願ってください!」
男「俺は人間が大嫌いだ。いや、もはや人間とは呼べない愚かな生き物だ。騙す奴、争う奴、殺す奴、嫌いになって当たり前だろ。みんな死んだほうが世の中のためだ!」
天使は悩んだが、神の意思は絶対である。
天使「仕方がありませんね・・・」
あの世で男が言う。
男「ふぅ、楽に死ねて助かったよ。だが、他の人間が見えないがどこだ」
天使「いえ、それが・・・」
男「約束が違うじゃないか!天使のくせに嘘をついたのか!!」
天使は重い口を開いて言った。
天使「あなたの言ったとおりでした。争いごとの耐えない今の世の中に、人間と呼べる人はいません。誰もが憎悪に満ちた形相を・・・・・・あんなのを鬼と言うんでしょうね」
人間は生きながら鬼と化してしまうのですよ・・・。