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竜侍  作者: 栗山明
第一章 2
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第一章 1

第一章


 目を覚ましたマヒルは、戸惑いを覚えた。

「ここどこ?」

 横たわっていた身体を起こし、口を半開きにしてあたりを見回す。

 ずいぶんと年季の入った建物だった。

稽古場に似た構造である。

壁や床に張られた板は腐って穴が開いていた。奥の壁には、斜めにかたむいた銀十字刀が――しかもくすんだ――かけられており、その下の祭壇では、ほこりかぶった像が横倒しになっている。それは武士道の教えを東方中に根づかせた男の神像だった。

「ニトベ様を相手に、ずいぶんとひどい扱いね」

 口に出しながら、寝起きでぼーっとする頭を活性化させる。神像があるということは、どうやらここは士道場の講堂、しかも様子から言って捨てられた士道場のようだ。

「……というか、なんでここにいるんだっけ」

 眉間を指で押し込みながら、昨日の行動を思い返す。

 走り抜けた森の先に、村があった。夜だったので人気もなく、休めるところはないかと探したところ、村の外れに士道場を見つけ、そこの講堂で眠りについたのだった。

「いやー、疲れていたとはいえ、美少女がこんなところで寝るなんて、無用心ね」

 真顔でふざけたことを――しかし実際に美少女だから性質が悪い――つぶやくマヒル。

 それから、

「どうしよう。あたし、これからどうすればいいんだろう」

勢いであの牢屋から逃げてきたとはいえ、これからどうするかは考えていない。

そもそも現在地がどこかもよくわかっていない。

少なくとも東方十二領連邦国内のはずだ。まちがっても西方の竜界ではない、と思う。

「んー、なにかいいアイディアはないかなー。んー」

 腕を組んでうなってみる。

閉じ込められていた家屋と士道場は、理由はわからないが、竜によって滅ぼされた。しかしそこにいた連中が死んだとは限らない。だとすると、追ってくる可能性がある。

連中にとって、自分は貴重な存在だと、マヒルは知っていた。

「つかまったら嫌だな……安全なところでかくまってもらうのが一番よねー、やっぱ」

 しかしマヒルは孤児だった。

頼れる親類も、友人も存在しない。

 だがしかし、自分をひろい、育ててくれた士道場のあるヨンノ村なら、あるいは――。

「ずっと逃げるなんて現実的じゃないし……それに、村のみんなに伝えなきゃいけないこともある。うん、やっぱ帰ろう。そうしよう!」

 腕を突き上げて宣言したときだ。

「……やかましか」

 後ろから訛り言葉が聞こえ、マヒルの身体が跳ねた。

 祭壇で倒れる神像の奥に、上体を起こす男の姿があった。像の影に隠れて寝ていたようで、今まで気づかなかった。

ツンツンとした黒髪に不機嫌そうな顔。古傷だらけの素肌の上に、黒の着物と野袴を重ね、朱色の竜鉄式小具足で右肩、腕、腿、脛、草履を履いた足の甲を守っている。腰には片刃の脇差しをたずさえ、手には一メトルを超える野太刀――斬竜刀をにぎっていた。

 痛み放題の黒髪をかきむしりながら、男がマヒルを半眼でにらんでくる。

「手前、誰じゃ」

「そりゃあたしの言葉よ。あんたいつからそこにいたの?」

「……昨日の昼からじゃ」

「ずっと寝てたの? どんなぐうたらよ、あんた」

「やかましいのう。はよう、出てけ。ここは俺の寝床じゃ」

 男が鞘におさまった斬竜刀で、入り口を指し示す。しかし彼の言葉に正当性を感じなかったので、マヒルは退かずに反論することにした。

「ここはあんたの家? どう見ても違うわよね。じゃああたしが出て行く理由もない」

「っち」

 男は舌打ちしてから、神像を蹴飛ばす。重そうなそれが祭壇から落ち、衝撃で床が抜けた。頭から落ちた像が、逆立ちするような形で突き立った。

 舞い上がったほこりにマヒルは咳き込み、黒髪の男は再び寝ころがった。

「なにすんのよっ。このアホっ。不敬者っ」

 文句を吐くと、それをすりつぶすように、男は小指で耳をほじくる。

「うわっ。信じられない。あんたそれでも竜狩りの民なの?」

「なして、俺が竜狩りの民と?」

「その訛り言葉と服装、あと決定的なのは、そのバカみたいにデカイ刀。斬竜刀だっけ? まさに、って感じよね。話に聞いていた竜狩りの民の特徴と一緒だもん。ただ、仲間のためなら自分の命を捨てられるくらい義に厚いって聞いていたけど、そうは見えないわね」

 竜狩りの民とは、サマ地方に住む狩猟民族のことである。

彼らはその名の通り竜を狩ったり、傭兵として戦ったりして生計を立てている。現在における対竜戦の戦術・剣術の基礎は、彼らが作り出したものだと言われている。

 そしてサマ地方の西には、大陸を東西に分断する中央超山脈があった。大陸の南北を横断するほどに長大で、けわしい山脈である。そしてそれを越えた先に、竜界があった。竜はその山脈を越えて大陸東方――人界とも呼ぶ――にやってくるので、その付近は竜に出くわしやすい。つまりサマ地方は、人界でもっとも竜が出没する危険地帯なのだ。

 そんな頭のネジが外れた民の一人である男は、尻をぼりぼりとかきながら、

「さかしか、クソガキじゃ」

「うっさいっ。十歳だからってなめないでよね、おっさん」

「俺はまだ二十前半じゃ、クソガキ。はよう、出てけ」

「だから出て行かないって、言ってるでしょ。本当は別に出て行ってもいいけど、知らないおっさんに言われて出て行くのは、なんか負けたみたいで嫌なの」

 一歩も退かずにいると、黒髪の男が腹立たしそうに嘆息し、斬竜刀を杖代わりにして立ち上がった。意外と長身である。百八十センチメトルほどだろうか。

しかも祭壇の上にいるので、妙な威圧感がある。

思わず気圧されてしまい、マヒルは壁際まで後ずさる。

「なによっ。力ずくで追い出すつもり?」

 しかし竜狩りの民はマヒルを無視して、入り口の方に歩き出した。出て行くのかと思ったら、一歩進んだところで、足を止めた。

彼の目が、不審げに細められる。

 男の視線をたどり、マヒルは「げっ」と思わずうなる。

 白雲のただよう空を背に、入り口をふさぐようにして、男が立っていた。身につけた黒外套と士道衣の上からでも、巨漢だとわかる彼は、薄く笑っていた。

その糸目顔に、見覚えはなかった。しかし雰囲気から、相手がどこの手の者か察することができた。自分を捕らえ、牢屋に閉じ込めて実験していた、盗賊たちの一味だろう。

(やっぱ生き残りがいたのね……クソッ)

マヒルは入り口とは反対側にある、裏口に走り出そうとして、

「最悪……っ」

 毒づく視線の先に、裏口の前で静かにたたずむ男がいた。服装は太った男と一緒だが、体型はまったくの逆で、針のようにやせ細っていた。

 講堂の中央あたりで、マヒルの目が入り口と裏口を行ったりきたりする。

「ようやく見つけさね。実験体三百八號」

「我らとくるのだ。ゲンジロウ殿が待っておられる」

 やはり追手のようだ。

「いやよ。どうせまた牢に閉じ込めるつもりなんでしょ? もうたくさん。あんたらなんかに、付き合ってらんないのよっ」

 マヒルは拒絶した。

するとやせた男が腕を持ち上げる。彼の黄色の肌にうっすらと竜鱗模様が浮かび、その皮膚から水のような透明の力があふれ、それが指先に集まり、弾丸のように丸まった。

瞬間、それが放たれ――マヒルの足元の床が粉砕した。

破片が煙幕のように舞い上がり、「うわっ」とマヒルはおどろいて腰を抜かす。

背後で床のきしむ音。振り返ると、太った男が彫像のように立っていた。

そして彼の太い指に胸倉をつかまれ、持ち上げられる。

「こんのっ! 放せ!」

 マヒルは男の指にかみついた。が、歯が欠けてしまいそうな硬さに「あがががっ」と涙目になる。今、男の黄色の肌には、やせた男と同様に、うっすらと竜鱗模様が浮かび上がっていた。力を発動させて、その身体に堅牢なる竜脂の鎧をまとったのだ。

マヒルは太った男の肩に担がれてしまう。暴れるが、男は一顧だにしない。

鉄よりも硬い背中を何度も殴りつけてから、マヒルはハッとして視線を祭壇へ。

 斬竜刀を肩に背負って、事態を静観する竜狩りの民がいた。

「ちょっとあんたっ。ねっ。ちょっと!」

 すると黒髪の男はむっつり顔で、

「助けんぞ」

「は? なんでっ」

「関わりたくなか」

 あまりにもはっきりした言い分に、マヒルは言葉を失ってしまった。

「それに、そいつら竜人じゃろ。手前を助けるために戦う相手にしちゃ、割に合わん」

 竜人。

それは竜の力を手に入れた人間のことだ。

竜は特殊な息吹を吐き、脂の鎧で身を守っている。

さらに竜鱗を通じて、念力を発生させることができる。思念を物理的な力に変換し、力場を形成する力だ。先ほどやせた男が放ち、床を爆破したのがそれだ。ほかにも壁を作ったり、空中に足場を生み出したりすることもできる。

それらの力はすべて、逆鱗から生み出される。竜の喉下にあるそれを心臓と同化させることで、竜の力が使えるように体内組織に変化が起こり――竜人となるのだ。

おそろしい相手である。

しかし竜狩りの民が、物怖じする理由はないはずだ。

 なぜなら――。

「竜狩りの民って、自分の手で狩った竜の逆鱗を食べて、竜人になって一人前として認められる風習があるって聞いたわよっ。だったらほら、あんただって竜人ってことじゃん!」

「知らん」

「義に厚いんじゃないのっ?」

「知らん」

 マヒルの言葉を一蹴した黒髪の男は、斬竜刀を腰に佩き、疲れたように言った。

「手前ら。さっさとそのやかましいのを、ちゃっちゃと運べ」

 すると太った男が、肉厚な首を左右に振った。

「そうはいかんのだ。いかんのだよ、竜狩りの男」

「あんたがどこまで実験体と話したかは知らないし、あんたが関わりあいになりたくないこともよくわかった。だが、見て、聞いて、しゃべった。しゃべってしまったのさね」

 やせた男が静かに告げ、その瞳に剣呑な光が灯った。

それを受けて、黒髪の男がうなじあたりを手でさすり、肩をがっくりと落とした。

「ああ、まったく――まったく、クソボケが」

「我らの長は秘密主義なのだ。己の運の悪さを嘆くといい、竜狩りの男よ」

「加えて言うなら、俺らの感情的にも、竜狩りの民は許せんわけさね。正直なところ、皆殺しにしたいくらいに恨んでいるよ。あんたらのせいで、西軍は負けたようなもんさね」

「……手前ら、西軍の生き残りってところか?」

竜狩りの民の問いに、二人は行動で答えた。

 太った男が担ぐマヒルを投げ捨てる。

マヒルは壁に背をぶつけ、「げほっ」と肺から空気が押し出された。

その声が、はじまりだった。

太った男が念力を放った。

空間を貫く力場が祭壇に直撃するも、一瞬早く黒髪の男は離脱。建材の粉塵を背に、彼は入り口まで疾走。外に飛び出す寸前、入り口付近の床が爆発。床を踏みしめて速度を殺し、腕を顔の前にかかげながら飛び退く。飛び散る破片が、その身体を叩いた。

「関わらないと言ってるだろうがっ」

黒髪の男が叫ぶ間に、太った男が身体に似合わぬ身軽さで接近。黒外套を跳ね上げた右手ににぎる小刀が、にぶく光った。高速で振るわれる肉厚な腕に合わせて、銀光が走る。

黒毛を散らしながら、竜狩りの民は身体をそらして避ける。同時に足を跳ね上げる。

太った男の顎につま先が迫り、その手前の空間に透明の壁が展開。それが蹴りを食い止め、水面に石を投げ入れたかのような波紋が空間に広がる。

念力の壁を突破には、その強度を上回る物理的衝撃を加えればいいのだが、不安定な体勢からの蹴りだったので、威力が足りずに弾かれてしまった。

黒髪の男がたたらを踏んだところで、太った男が小刀を薙ぐ。横殴りの斬撃を黒髪の男がなんとか鼻先でかわす。そして神像に背をぶつけたところで、彼の目が見開かれた。

裏口に立つやせた男から、念力がほとばしった。

竜狩りの民は佩いた斬竜刀をつかみ、鞘ごと引き抜いてそれを縦に構えた。念力が鞘に衝突。持ち主の身体ごと吹っ飛ばし、飛び散った力の余波が神像の顔半分を砕く。

手から離れた斬竜刀が、床をすべった。

「ぐぅ――」

うめきながら横転する黒髪の頭上から、平面的な形状の力場が落ちてきた。

光るそれに押しつぶされる前に、男は竜のように四足で飛び退き、なんとか体勢を立て直す。その顔面めがけて、切っ先が突き出された。

間一髪、黒髪の男はひざの力を抜いて前転。

太った男の背後を取った。

すると太った男は反転。振り向き様に小刀を薙ごうとして、その顔に電撃が走る。そして強い力に引っ張られたように、腕に急制動をかけた。

 銀の刀身のすぐそばに、マヒルの顔があった。

その背後に、黒髪の男がいた。

 小刀をよけた彼は、壁際に座り込んでいたマヒルをつかみ、盾にしたのだ。

 あまりに一瞬のことで、我に何が起きたのか把握できずに、マヒルは目を点にした。

その脇から、黒髪の男が飛び出した。

不意を突かれたせいか、太った男が念の壁を張るのがおくれる。

その間に、肉厚な肘に拳が叩き込まれた。

竜鉄製の篭手にふくまれた脂が、太った男の脂の鎧を相殺し、骨を砕く。

「ぬぅっ」

肘から先があらぬ方向に曲がり、太った男が小刀を取りこぼす。

落ちた小刀を、黒髪の男は床スレスレですくい取り、その勢いのまま突撃。

急速展開された念の壁を貫き、波紋の中心から切っ先が飛び出し、太った男の左胸を貫通。刃がひねられる。糸のような目が大きく見開かれ、士道衣が鮮烈な赤に染まった。

返り血が、竜狩りの民の顔をぬらした。

「ウタッ! よくもウタをおおおっ!」

 やせた男が叫び、念力がほとばしった。

 竜狩りの民は死体の胸倉をつかむ。そして片手でそれを振り回し、横手から飛んできた念力への盾にする。背中に念力が叩きつけられ、太った死体が跳ねる。

黒髪の男は死体の盾をかかげたまま、裏口に立つやせた男へと疾走。断続的に死体が跳ね、背中が見るも無残な有様になったあたりで、それを投げつけた。

目の前に迫る血を分けた兄弟を、やせた男は思わず受け止めてしまった。その美しき兄弟愛のせいで、おくれて投擲された小刀に対処できず、肩口に侵入を許してしまう。

やせた男がたたらを踏んで裏口から外に後退し、太った死体が床を転がった。

入れ替わるように、竜狩りの民が飛びついた。

 竜狩りの民はやせた男の首に腕を回し、腹にひざをおいて体重をかける。そのまま士道場裏の広場の上に押し倒す。とっさに迎撃の念力を放とうとするやせた男。

その顔に硬いものがぶつけられた。

脇差しの鞘だ。

強烈な一撃に、やせた男の目が一瞬、うつろになった。

しかし黒髪の男は馬乗りの状態から、鞘の先端を何度も打ち下ろす。

「ふごっ、う、うっぺ、や、ふぁめ、あ、ふぁ」

黒色の軌跡が描かれるたびに、鈍い音にくぐもった悲鳴が混じる。

力場を形成するひまを、集中する時間を、まったく与えない。

幾度目かの後、振り下ろされる手がようやく止まった。

やせた男の顔は、できの悪い福笑いのようになっていた。そしてその肩から小刀が引き抜かれ、心臓に突き立てられた。小刀がぐりぐりとひねられ、傷口に空気が入り、引き抜かれる。腫れたまぶたの奥で、小さな黒瞳から生気が失われた。

黒髪の男は手にした小刀を捨て、自身の脇差しを腰に戻した。

裏口の戸口に立って、その様子をながめていたマヒルは、寒気を覚えた。

対竜用の武装をしているとはいえ、黒髪の男は脂も息吹も念力も使わず、泥臭い剣術と格闘術だけで竜人に勝利した。しかも単身で。

竜狩りの民の戦闘力の高さを、まざまざと見せつけられた気分だった。

返り血を篭手でぬぐいながら、黒髪の男が機嫌を損ねた犬のように鼻を鳴らした。

「ようも巻き込んでくれたな。自由と平和を愛するこの俺を」

「これだけおっかないことをやっていて、よく言うわよ」

 呆れ半分怯え半分といったマヒルの前で、男はやせた死体から黒外套を奪い取った。引っついた土を打ち払ってから、自らの首から下を漆黒にくるませる。

「死体漁りなんて、いい趣味してるわね」

「洗濯できんのだから、隠すしかないじゃろが。いちいちやかましか。クソガキ」

 そういって男は士道場に戻り、講堂の床に転がる斬竜刀を腰に戻してから、外に出た。

「どこ行くのよ」

「こんなところじゃ、おちおち寝てられん」

「待ってっ。ちょっと待って!」

 歩く男のあとに、あわててついていくマヒル。めんどくさそうに、男が振り返る。

「何ね」

「あたしも行く」

「は?」

「というか、行きたいところがあるから、一緒にきて」

「なんで俺が手前と一緒に行かなきゃいかん」

「あいつらみたいなのに、また襲われるかもしれないじゃん。ていうか絶対襲われるわ。まだあいつらには仲間が残っていたみたいだし。だからボディーガードになってよ」

「知らん」

「タダとは言わないからっ。ボディーガード料として、これをあげるから」

 逃げ出すときに手に入れた竜の牙をふところから取り出し、見せびらかせる。

 竜に関するものはどれも貴重品だ。牙にしても竜鱗にしても脂にしても骨にしても。ありとあらゆる部位が何かの素材となり、人々の生活と竜との戦いに役立っている。

そのため、この牙一つでも売れば、最低でも銀貨二百枚はくだらないであろう。

だが興味がないのか、

「いらん。金なんぞ、カツアゲすりゃすぐに貯まる」

 取りつくひまもなく拒絶された。

 だがしかし、マヒルとしてもあきらめるわけにはいかなかった。性格には難があるが、この男の力は必要だ。一人じゃ、ヨンノ村に着く前に追手につかまってしまうだろう。

 だからマヒルは男の背を追って、元気に自己紹介する。

「あたしマヒル。よろしく!」




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