ロックスターになりたかった
昼間から焼酎の水割りを呑み
夕方目覚めると脳内にガラスの破片
取り除けない頭痛と共に死にたい気持ちになる
ロックスターに憧れて
東京に出た田舎者
今は六畳一間トイレ風呂共同
実家は裕福でお坊ちゃんだった俺
だけど何故だか苦しくて 逃げてきてしまった
クソみたいな幸せに血液を浴びせて
死体を踏みにじる様な残虐な心を消し去りたかった
今は未来なんて無い
大好きなロックバンドがいて 俺が苦しい時
聴いて いつも 涙流していた 色褪せない救済の歌
そんなのが昔の俺を駆り立てて止まなかった
助けてもらったから俺も誰かを救いたいってそう思った
ロックスターにはなれずに40歳 恋人も子供もいない
借金だけが膨れ上がって毎日の様に返済の催促 居留守は上手い
コンビニ深夜のバイト 同僚とぼやきながら まだ夢を語る
世の中とか平和なんて くだらねぇよな やっぱ男はロックだって
あの時の歌は色褪せないのに
どうして俺の歌は色褪せ どうして俺の人生はモノクロームなのか
答えなんて出せないまま死んでいくのに
昼間から焼酎の水割りを呑めば
夕方目が覚めて 陰鬱極まりない気持ちで
昔の事ばかり思い出すけれど
後戻りなんて出来やしない事 後戻りなんてする場所も無い事
分かってるから 窓際で雨のリズムに合わせて
ギターを弾いてみる
ロックスターになりたかった 夕日が眼球をオレンジに染める時は
ふと酔いから覚めて 死んだ両親の事を思い出す もう忘れているのに