これこそが愛だ
満たされたい欲求があった
でも母を求める気持ちには勝てなかった
そして僕は一人になった
初秋君に出会った 最初いい友達だと思っていた
誰よりも僕が孤独な事を知って寄って来てくれた天からの贈り物だと
二人でよく並木道を散歩しながら 大学の授業の話などした
将来の夢が偶然同じで 意気投合した
二人で頻繁に会う様になった 一緒に酒を呑んで喋る
こんなにも人と話す事って楽しいんだと今更ながら知った
今でも思い出すよ 君と初めて出会ったキャンパスの名木の下
君は本を読んでいたね
僕は何故だか君の読んでいる本に目が魅かれた
心理学書だがかなり分厚い辞書みたいな本
それは僕が昔読んでいた本だった
中学 高校と虐められていた リストカット何度しただろう
だから心理カウンセラーになって虐められている子どもを救いたかった
君は微笑んで 木漏れ日の下でそっと伏し目がちに僕の顔を見つめていた
僕らは今同じ仕事をしている
そしてしばらくして僕は三人になった
君と結ばれた悦びは僕の生きるエネルギーに成り得た
今とても幸せだ お金も順調に溜まったし海外に新婚旅行に行った
こんな日がずっと続きます様に 夢じゃありません様に
怖いくらい幸せだ それも僕の醸し出していた孤独のオーラの
おかげだと思うと一人でいる時間の大切さを思う
一人でいるからこそ君を感じられる
それは決して自己中心的でも 穢れた性欲でもない
これこそが愛だ 写真の中で笑っている母に心から感謝している