蛍語る
蛍語る 命の儚さを
テントに入れてちょっとしたイルミネーション
人間だって自らの力で光れる
その事を教えてくれる美しきその流星の様な
一瞬の輝き まるでゆらゆら揺らめくランプ
チチンプイプイ 魔人の様に彼女との約束を叶えてくれる
永遠の約束
君は病室で雨音を聴きながら今 命を終えようとしている
悲しくて 少しでも 長生きして欲しくて 君の希望に心底なりたくて
掴まえた蛍を沢山病室に放した
君は喜んで 笑ってくれた 久しぶりに
君が死んだら 誰も僕を導いてくれないだろう
彼女が天国で幸せに暮らせるように 来世また会えます様に
そう願った チチンプイプイ 蛍語る
まるで君は蛍 僕に光をくれた
蛍の様な君語る 私が死んだら誰か良い人見つけてねって
お前より良い人なんていないよ
そう叫んで泣いて君の手を強く握った
呼吸もままならなそうな君を見て
病を強く憎み 嫌味言いたい神様に どうして良い人ほど早く死ぬのかと
結婚式は出来そうもないね か細い声で僕に言った君に
ウェディングドレスを着せてあげたかった
外はやがて晴れ 満月が顔を出す 君は涙で月が見えないや
貴方と出会えて良かった 最期にそう言って事切れた
繋いだ手を離したくなかった まだ温かかったから
君との思い出を夏に託そう
これからは僕の胸の中で君は生き続ける
気まぐれにゆらゆら揺蕩う蛍の様に短い君の人生だったけど
しかし僕の命が尽きるまで共にあるのさ
そう思って涙を拭った 君と写した写真の二人はいつも笑顔だったから
初盆だね 花火が綺麗だ 一瞬の人生 別れは避けられない
それでも君の笑顔はこの脳裏に焼き付いて忘れる事なんてきっとないだろう
蛍語る 命の儚さと美しさを