熱射
喧騒に塗れた街で一人立ち尽くしていた
酷く暑い 都会の暮らしは何故か喉が乾いてしまう
ビルディングが角の様に立ち並び
何処の店へ行ってもクーラーが反抗するように
身体を芯から冷やす
こんな街で僕は何が出来ると言うのだろう
人が嫌いな根性無しで めんどくさがりや
エナジーが足りないの
もっと熱をくれよ ぶっ倒れちまうくらいに
今は何も考えたくない
ラスコーリニコフみたいに汚い恰好をして
正義の為なら人を殺しても良い そんな思想に傾倒したくなる
うるさい 幻聴が それをやれよと頭の中で響くけれど
何の事を指すのか 何の音を割くのか 分からない
行き付けのカフェでコーヒーを飲んでまた歩き出す
感情なんて無い 味も分からない 疲労し尽くしていた
田舎に帰ろうか 誰もいない まだ若いのに余生がどうたら
考えてしまう あれは熱病に侵された一瞬の迷いと幻覚さ
飲み残した一杯のアブサン
僕は昔は詩書きだったけれど
あの頃 何を考えていたのだろうか
今 その詩は無くしてしまったので
分からないけれど
ずっと記憶喪失 何処へ向かおうか
それすら人任せな僕は死と隣り合わせの
キープアウト
犯罪者の群れの中の方が落ち着くのかもしれないい
僕に光など差す事は無い
ただ汗をだらだら掻いて 太陽を恨みがましい目で見つめる
もうすぐ終わるんだ そう呟いて ヘッドフォンを外した