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Grave of poetry(詩の墓)  作者: 敬愛
雪降り積もる景色
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帰りたくなかったんだ

ただ帰りたくなかったんだ

夕暮れもすっかり早くなって

黄昏れる季節外れの向日葵に

黄色を見た


あの日の事忘れられないよ

君と初めてキスをした日

ただお互いを求めあっていた日

でも今は遠い思い出になってしまったね


免許取り立ての君の運転は危なっかしくて

何度も注意したけれど

まさか事故で死んでしまうなんて……

一番寒い冬の夜の事


ただ帰りたくなかったんだ あの日に

僕は泣いた 泣いて泣いて泣きぬいた

君は眠っているかのように

美しいまま棺の中 それで少し報われたような気もする


君との思い出は辛いけれど

幸せな記憶だけ確かだけど

ただあの日あの時より僕は変わってしまった

タイムマシンでもあれば救われるのかな?


ただ帰りたくなかったんだ

悲しみは増幅して僕を壊す


君は僕の大好きな恋人だった 

大好きな気持ち押えられず 迷惑をかけたかもしれない 

君の事を本当に大切に思っていた

君もそう思ってくれているみたいだったし


だから笑う事さえも躊躇われた

君が死んだ事認めたくなくて

眠れない日々が続いて憔悴しきっていた

あの日に帰れないけれど それでも君の事忘れたりしない


永久とわとは 大袈裟かもしれないけれど 

君にしか愛を表明できなかったからだろう

ああ、寒い 心も体も 春になれば忘れられるのかな

いやきっと僕が死ぬまで僕は君を思うだろう

たった一人の恋人と呼べる存在だったから


清らかな石清水 冬には 温かい

石の上にも三年 冷たいキスが今でも思い出される


君の事生涯忘れないよ 愛していたから

言葉が欲しい 君ともう一度語り合ってみたかった


君との愛だけが君の死によって希望だと思い知らされた

マグカップに二人分の歯ブラシがあるけれど忘れたいから捨てるよ


君とおそろいの服も勿体無いけど捨てるよ

じゃないと悲しみに負けてしまいそうだから


ただ帰りたくなかったんだ あの運命の分岐点に

泣いても泣いても 君は帰って来ないから

存在とは 儚く散る それだけが人生の答えだ

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