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夏瓶
夏瓶には 美しい物が一杯詰まっている
大富豪も貧乏人も自分の大切な宝物を失くさない為に
夏瓶に入れて保存する
シャッター音がコダマする
その度キラキラと光る
宝石やトランペットや豆や紙の切れ端
みんなが大切にしている物を守る為の瓶
夏風にからかわれても笑わない
夏雨にふられても濡らさない
夏海の潮風も錆びさせない
夏陽の熱風もくたびれる
夏鳥の鳴き声が共する
夏月の静けさが笑む
夏虫の儚さに涙す
夏苔に涼を求む
夏華を楽しむ
夏鈴を愛す
夏酒は友
夏瓶は
夏瓶はとても綺麗な装飾で叩くと良い音がする
魔法の瓶 魔力を蓄えているから 不思議な力が湧く
歴史は何時始まったのでしょう 夏瓶も其処までは知らないけれど
それでも空っぽのその中身は歴史を確かに見てきたのです
そして現在 保存が便利だから
夏瓶はあまり見かけないけれど
それでも何処か遠くの山の頂上で涼んでいるのでしょう
みんなの大切な物を守り 思い出に浸りながら涼んでいるのでしょう