灯篭の影
灯篭の影が
回る回る回る回る
まるで僕の流転の人生の様に
まるで僕の汚点の回線の様に
あの頃は 全てに於いてヤケクソで
僕の事を殴った伯父さんを憎んですらいらいららいら
音楽に傾倒し 系統はロック系
読書に目覚め 種類はインカの目覚め
僕が発病した時 最低でも四人の声が聴こえた
お薬を飲んで魔法みたいに何も聞こえなくなった
でも僕はあの日の事をしっかり覚えているんだ
気持ち悪い程 いつもの様に眠りに入ったのに
身体を風が吹き抜けて 僕も気違いの仲間になった
灯篭にししおどし立てつけ 叩きつけ 炊きつけ
叩き叩き叩き叩き でも壊れない
家に有ったのは電気で動く灯篭だったけれど
怖くて本棚にしまっている本を片っ端から読んで
ライターで火を付けたり 破り捨てたりした
変わってしまったから
何もかもが怖くて 意味の無い不安で
心臓が無くなっちゃったようなそんな呼吸の困難さと恐怖
脳みそが無くなっちゃったようなそんな幻の現実を
正に狂った様に舐めて舐めて舐めて舐めた
酒は呑まなかったな 意味が分からないよの世界だよ
ホントに僕は運が悪い
灯篭の影が僕の顔を代わる代わる映し出す
その頃は人間の顔はしてなかったように思う
在日とか日系とか黒人とか白人とか
国境なんて無くなればいいのにね
宇宙から見てもね 国境はあるんだよ
聖なる海が照らし出し
月と太陽が休む事無く追いかけっこしているからね
ああ 僕は本当に馬鹿だ
それなのに何で噛んでそんでさ 頭の中煩いの?
黙れよ 罵倒するな 僕は狂ったけれど同時に世界も歪んだんだ
それを自信を持って言える程勇敢だったならば
有閑なマダムを抱いていただろう
灯篭が流れていく
魂を積んで そして僕等は敬虔な気持ちで
見送らなくてはならないんだ
かわいそう…… 遺族にとってどんな死に方であれ
悲しくない事なんて絶対無いだろうよ