I LOVE YOUを伝えよう
口笛吹きながら
いつもの道すがら立ち止まり
夕陽を一人眺めていた
川べりで石切り遊びをして
ジャージの裾を膝まで上げて
手掴みの釣りをした
楽しい時間はあっという間に過ぎちゃう物で
今日は大好きなあの娘と長話したから満たされて
でも まだ思いは伝えらないまま
夕陽にカンナちゃん好きだー! 好きだよ!
と叫んでみた すっきりした
でも伝わらないんじゃ意味無いよな
僕は一瞬そう思ったけれど
彼女が大好きな自分が大好きだから
それでも良いと思っていた
体育の授業中ばしばし3ポイントシュートを決める彼女見て
先生が将来実業団に入ってバスケ続けられればいいなと
嬉しそうに言った
彼女はいつも話す時の穏やかな微笑は湛えておらず
真剣な眼差しで汗をかいていた とても気持ち良さそうに
その姿がカッコ良すぎて また惚れ直した
思いたった 今日はホワイトデー 彼女の家の住所は知っている
彼女が喜びそうなアクセサリー
と言ってもそんな高級な物は買えないけど
ラッピングしてもらって逆告白の準備は整った
チャイムを鳴らして彼女を待った
彼女は驚いた顔の後 笑顔になってどうしたの?
と聞いた
僕は勇気を出して言った 大好きです 付き合って下さい!
言いながらプレゼントを差し出した
彼女は暫らくの沈黙の後
私も貴方の事ずっと好きだったの 言えなくて
そう言ってプレゼントを受け取ってくれた
それが馴れ初めかな
聞いていた娘二人はパパカッコいいと言った
台所で彼女はクスクスと笑っていた
あの時 I LOVE YOUを伝えて無ければこの幸せは無い
勇気を出して良かったと思う
思い出すとちょっと冷や汗が出てしまうが
今日 少しだけなら呑んでいいよと
彼女が差し出してきたビールが美味かった