流浪の詩人
流浪の詩人がアルプス一万尺を謡っている
それだけでこの世界は平和なんだと思う
記憶の隅っこにある宝物を探す操作
そうさ記憶とは写真に残せないならば
頭に残すしかない
昔の人はそういう点で優れていたのだろう
今の人はからきしダメになっちゃっている
現代は楽しい事が溢れてるからついつい
色々な物に手を出してしまう
情報の氾濫 は
永遠の自由への逆転的反乱なのだ
そして皆 自らの胸を槍で突きながら
よれよれになって仕事をする 大変だ
年金だって一種もうギャンブルと化している
そんな時代におばあちゃんは詩で一石を投じた
おじいちゃんと早くに死に別れ……
ああ、違うんだな 創世記 林檎は酸っぱかった
流浪の詩人がみんなの為の唄を歌うならば
アイヌ独特の言葉があれば 真実を語れる者は少数
そんな文化を壊してしまうかもしれない怖さを
詩人は頭の何処かに置いて まさに念頭に置いて
祈るような気持ちで 書き続けられたなら 幸せ
アルプス一万尺忘れてしまったよ
あの人に聞けば分かるんだろうけど
逢えないし 電話がまだ無い時代に死んでしまったから
アルプス一万尺は時も山も悲しみも越えて
都会に響き渡る 価値と意義は今はまだ見えない




