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無我無中
僕がまた誰かの心を開いた 魂と引き換えに
僕は苦しい
その人はすっきりした顔で
銀の扉を開いてそこから出て行った
僕は損なう 健やかさを
無理しないでね と言われると
そんな心配は無用だ
かつてはそう思っていた だけどそれも今や苦しい
義理とか人情はもう古いのかな?
人が人の精気を当然だと言わんばかりに奪い取り知らん顔をする
悲しみとかだって
恋人同士が傘を忘れて雨宿りする そんなドキドキも含むし
けれど産まれてきたこの我が身は父と母の血脈を確かに受け継いでいるのだから
自信は溢れ出すし ほんの少しの不安と期待を抱いて歩き出すんだ
負けたって終わりじゃない 人生はそんな甘いもんじゃない
果てしなく高い山にただ挑むし脱落する可能性もある
だけどもうガキは卒業だから自分の足で立ってみようよ たった一人でも
右手に力溢れる そして光をそこから放て
雲一つ無い青空になる その清々しさに僕らの自由は行使されるから
信じろ 愛はどんな形でも美しい