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Grave of poetry(詩の墓)  作者: 敬愛
BRAND NEW WORLD
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年賀状

都会の喧騒の中に何もない町から飛び込んだ

あの日 友達も恋人も置き去りにして夢を追いかけようとした


夢に破れ 心は壊れ 足は重く 手は痺れ

満身創痍でそれでももう習慣になった満員電車に揺られてる


マフラーやコート、恋人にでも作ってもらったのか

暖かさそうなニット帽 そんな物達が自分を主張し

擦れ合っている 静電気が僕を痛ませる


帰って焼酎のお湯割りを2杯だけ飲む

唯一の楽しみ 冬は特に喉が渇き酒が美味い

時計は23時 マンションの隣の部屋からいつものように

夫婦喧嘩の罵声が反響して耳をつんざく


バッハ ヴェートーヴェン モーツァルト

意味も分からずBGM 馬鹿な軍団に交わる 

一匹狼の俺には辛いけれど

今日も眠り 明日は会社へ


正月 父は5年前死んだ 故郷の母に電話をかけ「年賀状来てるかい?」と聞く

「あんた宛てには1通も来とらんけん」母はどこか自分の事のように寂しそうだ


その日 雪が降った あいりん地区でホームレスが一人死んだ

彼にも年賀状は届かないのだろうか 寂しいものだ 


人間って独りなんだなって思わざるを得ないけどそれもこれも全部

自分のせいだって分かっているから愚痴はこぼさず俺は生きる


それだけ

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