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砂糖菓子のような時間

敷かれた道の果てに——天才の兄を持つ、弟の話

掲載日:2026/04/10

 私には、二つ上の兄がいる。

 私は正妃の子、兄は側妃の子。

 どちらが王太子となるのかは、まだ決まっていない。


 本来なら正妃の子である私が継ぐのが順当であるが、そうはされていない。


 理由はある。

 生まれた順と、それ以上に――能力の差だ。

 二つという年齢差では説明のつかないものが、兄と私の間にはあった。


 兄上を教えていた教師が、私の元へ来ることが何度もあった。

 何かが気に食わなくて兄上に首にされたのだと聞いた。

 それでもとても優秀だから、私の教師もやらせてみようということだった。


 授業を終えると、皆口を揃えて私を「優秀だ」と言う。

 しかし、どの教師も、瞳の中にわずかに失望の色を滲ませていた。


 彼らは嘘をついているのではないか。

 自分は落ちこぼれなのではないか。


 それを、執事に漏らしたことがあった。


「兄上は、優秀なのだろうか。私とは、まるで違って」と。


 彼は言った。


「間違えてはなりません。ルーカス殿下は紛れもなく優秀です。あなたは努力なされてきた。――けれど。エドリック殿下と比べてはなりません。彼の方は、鬼才です」


 それならば。

 それならば、兄上が王位を継ぐべきではないか。

 私などよりも、よほど。


「気に食わない教師を首にした」

「乗り心地が悪いと馬を殺した」

「姿が見えなくなった侍女も、実は処分されたのではないか」


 そんな兄上に国を継がせることはできないのだと、母上は語った。

 冷酷で傲慢な兄には、国を任せられないと。


 母上から聞く“エドリック”はどれも不穏で恐ろしかった。

 それが本当かは、分からない。

 けれど少し耳をすませば、兄上の噂はどこにでもあった。


 側妃様――兄上のお母君は早くに亡くなったが、それにしても悼む様子がない。寂しがりもしない。側妃様が可哀想だ、と。

 王城付きの騎士に怪我をさせたらしい。あの深い青の瞳で、冷たく見下ろしたのだ、と。

 誰にも情を持たない。人を人として考えていないのだ、と――そんな噂があった。


 私は、兄上のことが理解できず、怖かった。

 それが決定づけられたのは、ある悲劇が起こったときだ。


 ――兄上の婚約者が、事故で亡くなった。


 コーネリア・リンティア。

 王国で誰よりも可憐だとされる彼女は、ふわりと溢す笑みが印象的な、皆に好かれる方だった。

 私と一つしか変わらないのに、お父君であるリンティア侯爵の外交に同行までされて、王国の――兄上のために、動いていた。


 私は、兄上とよりも、彼女との方が多く話した。

 理由はおそらく、初顔合わせ後の茶会だと思う。


 兄上と私は、同時期に婚約者が決まった。

 私が九歳のときだ。


 父上が主導して、父母と兄上、私、そして、私たちの婚約者での顔合わせを行った。

 重苦しく厳格な空気で緊張したが、兄上はまったく、雰囲気に気圧されることがなかった。


 それ自体はすぐに終わり、その後子どもたち四人だけで、親睦を深めるための茶会が行われた。


 庭園のガゼボで、騎士たちは少し離れたところにいた。


 兄上は、そこにいるだけで惹きつけられるような存在感があった。


 目を離さずにはいられない。

 それでいて、見つめることが不敬にあたるのではないかと思わせるような。


 ガゼボへ移動する間も、席に着いてからも、その場の空気は兄上のものだった。


 話題は自然に整えられ、会話が途切れることはなかった。

 何か問われれば、兄上は迷いなく答える。そのひと言ひと言に、揺らぎがない。


 十一歳と九歳という差では、説明がつかない。

 きっとあの場に大人がいたとしても、兄上には及ばなかっただろう。


 噂のような傲慢さはなかった。

 謙虚なわけではない。ただ、完璧だった。

 その能力に対して、正しい姿勢だった。


 様々な話題が飛び交った。真面目な話から、ユーモアに富んだ話まで。

 兄上がずっと話すわけではなく、それを引き出していた。皆からだけではなく、私からも。


 王国の現状など、難しい話もした。分からない内容はなかった。

 それは、私が学んでいるからではない。

 兄上が、私たちでも理解できるように話しているのだ。それを親切そうにもせずに。当然として。


 何を話しても、整えられた道を歩まされているように思えた。

 ともすれば、自分の足で辿っていると錯覚しそうになる。

 ただ示された道を進んでいるだけなのに。


 それを自覚しても、道の外れ方は分からない。

 足元にある道筋を、辿ることしかできない。


 兄上が言葉を重ねるたび、胸に浮かんでしまった。


 私の婚約者は、私ではなく、兄上の隣に並びたかったのではないかと。

 誰であれ、私ではなく兄上を選びたがるだろうと。


 胸の奥がざわついた。立ち去りたくなった。

 俯いて、耳を塞いでしまいたくなった。教師たちの落胆の瞳を思い出した。


 そんなとき。ふふっと小さな笑い声がした。

 声の元を向くと、リンティア嬢が花のほころぶように笑っていた。


「すみません、緊張していたのですがエドリック殿下の語り口が軽妙で、楽しくなってしまいました」


 白くて、小さな花が思い浮かぶ。

 愛らしく繊細で、ふわりと香るような、白い花を。


「それにしても――こうして初めて顔を合わせた者同士が、義姉弟になるというのは、不思議な気がします」


 ね、ルーカス殿下? 

 アメジスト色の瞳が、こちらを向いた。

 あたたかく、やわらかい光を宿して。


「そうですね、不思議な気がします」


 漸く、息ができた。そんな感覚だった。



 茶会の後も、彼女は、そうやって語りかけてくれることが多かった。

 近すぎず、遠すぎない距離で。


 時たま、兄上の話をしてくれた。

 彼女の口から語られる兄上は、不器用な優しさを携えているようだった。


 私の知る兄上とはあまりにも異なっていて、うまく飲み込むことはできなかった。

 恐ろしさは変わらなかった。

 けれど、彼女と話す時間は、とても穏やかなものだった。


 顔合わせから四年が過ぎた。

 兄上との距離は広がるばかりで、恐ろしいという感情も変わらないままだった。


 兄上と会うと身体が強張る。

 自分の矮小さを突きつけられる。

 威圧感に押しつぶされそうになるし、あの深い青に呑み込まれそうで怖かった。


 けれど、リンティア嬢が義姉となるのなら、うまくいく気がしていた。


 だから。

 悲報を受けたとき、すぐには実感が湧かなかった。


 まさか。どうして彼女が。

 そう思った。


 兄上は、どう感じただろうか。

 大丈夫なのだろうか。


 気になってしまった。

 そうして、第一王子宮まで兄上に会いにいった。


 ひんやりとした冬の空気が、チリチリと肌を刺す。

 呼吸するたびに苦しくなるのは、寒さ故なのか、それ以外なのか、分からなかった。


 辿り着いた先で、久方ぶりに兄上と言葉を交わした。

 なんと言っていいか分からなかったが、リンティア嬢の死について触れた。


 ――兄上は、変わらなかった。

 いつもと、何も。


「残念な事故だった」


 言い振りに、思わず口をついた。


「悲しくは、ないのですか」


 大きな声を出したつもりはない。だが、静かな王子宮で、私の声は廊下に響いた。


「悲しんで、何か変わるのか? ……ルーカス、我々は王族だ。逐一、心を揺らすことがあってはならない。――今の発言は、聞かなかったことにする。お前もそうしろ」


 嗜められた。在り方を。



「……ディオネル」


「ルーカス殿下、お久しぶりです」


 第一王子宮からの帰り、兄上の親友であるディオネルを見かけて、思わず声をかけた。


 ディオネル・ベルクナー。

 兄上の一つ下、私の一つ上の青年だ。


 兄上とは違い親しみやすく、とても礼儀正しい。

 彼と初めてまともに話したのは、私が十歳の頃だ。


「ルーカス殿下、お誕生日おめでとうございます」


 公務で来られない兄の代わりに祝いの品を持ってきたのだと、ディオネルは微笑んだ。


 兄上の親友だ。ハインリヒ侯爵の孫でもある。

 ベルクナー伯爵令息と呼ぶべきか。

 だが、お父君である伯爵とは不仲だという噂もある。他に呼び方があるのか。


 少し迷った後、私は「ディオネル・ベルクナー殿。感謝します」と答えた。


 ディオネルは、そんな私に対してふわりと笑った。

 その笑い方は、どこかリンティア嬢と似ていた。

 兄の周りの人は、こうやって笑うのかと思った。


「どうぞ、ディオネルとお呼びください」


 右手のひらを左胸に当て、深々と頭を下げられた。


「顔を上げてくれ。分かった。よろしく、ディオネル」


 右手を差し出すと、ディオネルは少し苦笑しながら握手を返した。



 ディオネルは面倒見がよく、すれ違うときなどいつも微笑んでくれた。


 社交界では、上位の者から声をかけなければ会話は始まらない。

 その中で彼が示す態度は、「気にかけている」と表すには、十分すぎるほどのものだった。

 派閥も違うのに、そうした気遣いができる彼を、私は有り難く思っていた。


 ――ディオネルも、リンティア嬢とは親しかったはずだ。


 もう、聞いているのか。聞いているのなら、どう思っているのだろうか。


 気がつけば、「ディオネル」と声をかけていた。

 だけども、何を言えばいいのか。


「殿下、どうかされましたか?」


 私を心配するように覗き込む空色の瞳に対し、「大丈夫か」と訊きかけ、言葉が止まった。


 兄上の言葉が過った。

 心を揺らしてはならない、と。


 そんな私に、ディオネルは一歩近づく。

 私と彼にしか聞こえないように、声を潜めた。


「――リンティア嬢のこと、ルーカス殿下もショックかと思います。将来の義姉弟として、良い関係を築かれていましたから」


 私がパッとディオネルの瞳を見ると、彼は目を細めた。


「お察しします。何かあれば、いつでも言ってください」


 “心配するように”ではない。

 彼は私を、心配してくれていた。

 兄上の、友なのに。


「ありがとう、ディオネル」


 彼は小さく頷き、私から離れた。

 軽く礼をとり、去っていく。

 彼の背中を見て、思う。

 何故彼のように優しく人を慮る人が、兄の友人でいられるのだろうか、と。



 それから二年が経った。

 兄上は未だ、新たな婚約者をつけていない。

 それはリンティア嬢を悼むというよりも、王位につかないことを示しているようだった。


 兄上は、王になりたくないのだと分かった。


 だってそうだろう。

 あの人が欲しがれば、私などとっくに蹴落とされている。


 確かに、私には正妃である母と、四大公爵家の婚約者がいる。


 だが、それがどうした。


 兄上の後ろ盾であるハインリヒ侯爵もまた、十分な力を持っている。

 婚約者など……すげ替えてしまえばいい。


 リンティア嬢が亡くなった折、喪に服す社交界で感じた。


「では、王家の次代はどうするのか」と。


 その視線の先にあったのは、私ではない。

 兄上の婚約者となれば、今からでも王太子妃の座を狙えるのではないか。

 そんな空気が、確かにあった。


 私も十六となり、成人を迎えた。

 国を挙げての祝いとなった。


 しかし、私の派閥が願っていたような、立太子の発表はなかった。


 父はいまだに決めかねているのだろうか。

 それとも、兄上にと考えているところを、母に止められているのだろうか。


 祝いが終わり、学院生活に戻ってからも、その考えは晴れなかった。

 私の迷いを拾い上げたのは、またしてもディオネルだった。


「殿下、失礼します。――顔色が優れませんが大丈夫ですか?」


 十四で学院に入学してから、二年間。

 彼はここでもまた、先輩として私を気にかけてくれていた。


「何かあったらいつでも声をかけてくださいね」


 入学時に、ディオネルはそう告げた。

 だけど、彼から話しかけてくることはなかった。

 彼はいつも、私を上位の者として立ててくれていた。


 そんな彼がいま、私に声をかけている。


 学院の裏庭。木陰の長椅子。

 さわさわと葉が擦れる音が聞こえる。

 周囲には誰もいない。離れたところに騎士はいるが、声が届く範囲ではない。


 考えをまとめたいからと、普段共に歩く友人も置いてきた。

 すべてに疲れて、ただ風だけを感じながら、座り込んでいた。


 そんな私に気づいたのだろう。

 ディオネルは私の元へ足を運び、心配するように瞳を覗いた。


 その空色に、押し込めていたものが浮かび上がった。


「ディオネルとて、兄上の方が王太子に相応しいと思うだろう?」


 ぽろりと、零れた。


 このようなことを、言うつもりはなかった。

 それなのに、零れてしまった。


 ディオネルも困るだろう。

 彼は、兄上の派閥なのだ。


 しかしディオネルは、以前と同じように、ただ瞳を細めた。


「私はそれを言及する立場にありません。しかしエディ……エドリック殿下は、そうは考えていらっしゃらないと、私は思います」


 ここからは、私の独り言です。


 ディオネルは私の隣に座り、静かに話し始める。


「言葉を飾らずに言えば、エドリック殿下は天才です。いや、“天才”では足りないかもしれない。それを、ご本人が誰よりも存じています」


 大きく風が吹く。バサリバサリと木の枝が音を立てる。

 だがそれよりも、ディオネルの静かな語りの方が、私の耳には深く届いた。


「だからこそ、ご自身が王になることを厭うている。仮に王になれば、彼の方の言葉はすべてが正解とされ、誰も意見することができないでしょう」


「ディオネルでも、か?」


 長いまつ毛が伏せられ、その影が白い頬に落ちた。


「彼の方が王である間は、それでも保つかもしれない。けれど、その次は? 次代の王は、同様に背負えるでしょうか。そして――その王の臣下は、どうでしょう。国のために考えることを忘れたまま、支えられるでしょうか」


 彼は私の言葉に答えない。

 あくまでも、独り言だからだ。


「また、外交の問題もあります。彼の方の能力は、畏れられる。彼の方が王となるのを、近隣諸国は望まないでしょう。『いつ自分の国が侵略されるか分からない』と。彼の方の性質が、その才が。周りを、そうさせる」


 彼の口元には、困ったような笑みが浮かんでいた。


「彼の方は、それを誰より分かっています。王国のためには、自分が王となるべきではないと。――そして何より」


 ディオネルの空色が、私を映した。


「『きっと、優しい国となるだろう』。そのように、おっしゃられました」


「えっ?」


「『ルーカスの治世は、きっと優しく穏やかなものとなる』。そのように、溢されたことがあります」


 理解が、追いつかなかった。


「嘘、だ」


 ゆっくりと、ディオネルは首を横に振る。


「それを支えるのが、ご自身の役割である、と」


 困ったような瞳で、彼は自身と同じ色の空を見上げた。

 どこか遠くを見ているようで、けれど優しい色だった。


「さて、あまり長く独り言を続けていると、寂しい人間だと思われてしまいますね」


 ふざけたように笑って、ディオネルは立ち上がる。


 一瞬、騎士の位置を確認する。

 その視線は、私を気遣うものだった。


 いつもの笑みを浮かべ、「失礼します」と立ち去る彼を止める言葉を、私は持たなかった。



 十八となった。私は今年学院を卒業する。

 いまだ兄上は誰とも婚約していない。


 学年が上がる折、父上に尋ねた。国王としての意思を。

 明確には答えられなかった。しかし代わりに、『エドリックは弟を推すと言っていた』と伝えられた。


 ――苦しかった。


 私は、隠れてしまいたかったのかもしれない。

 あの、圧倒的な才能に。


 諦めてしまっていたのかもしれない。

 あの、冷徹と呼ばれるまでの自制心に。


 兄上が思うのは国であり、私ではない。

 臣下の多くも、私では至らないと考えるかもしれない。


 それでも。


 私は、王国を愛している。

 優しい国で、あってほしい。


 だから。私は立ちます。この国の、未来の王として。

 ――それでいいんですよね、兄上。


 兄上のことは、いまだに恐ろしい。

 あの冷徹で完璧な兄上は、私が国の害になると判断すれば、きっとすぐに排除する。


 兄上を知る者たちの落胆の瞳にはいつまでも慣れない。

 足掻いても広がるだけの差はいつだって苦しい。


 ディオネルの言葉が本当だったかも分からない。

 あれは彼の優しさで、あの独り言は嘘だったのかもしれない。


 でも――そのうえで、選んだのは私だ。


 私が選んだ。逃げずに、立つのだと。この国に。


 貴女ならどう思いましたかと、問うことはしなかった。



  *



「まったく、エディは人使い荒いなぁ」


 第一王子宮の、人払いされた静かな一室。

 扉の傍に立つ青年が、椅子に座る青年へ笑みを向けた。

 その空色の瞳が細められる。悪戯げな色と共に。


「なんの話だ?」


「なんの話って……わざわざ弟君に伝言を届けてあげた親友に言う言葉?」


「伝言など、頼んでないだろう」


 空色に映された青年は、面倒臭そうに「ハァ」とため息を吐く。

 そんな彼に、空色を持つ青年は、一言ずつ区切って近づいていく。


「君が」


 一歩。


「わざと」


 また一歩。


「僕の前で」


 着実に、二人の距離は近づいていく。


「溢した」


 空色の瞳が、深い青の瞳を覗き込む。


「それも」


 にんまりとした笑顔を携えて。


「ルーカス殿下が使えなくなりそうなときに」


 深い青――“エディ”は、またため息を吐いて、一言返す。


「不敬だぞ」


「どれが?」


 首を傾げる。その表情は、あまりにも無垢だ。


「僕のことこき使ったんだから、今度はそっちがお願い聞いてよね」


「俺にはお前をこき使った記憶はない。だが、独り言くらいなら聞いてやらなくもない」


「素直に『ありがとうディオ、借りは必ず返す』って言えばいいのに。それにしても――自分で選んだと思うんだろうなぁ」


 その言葉に、エディは「実際そうだ」と鼻を鳴らした。


「君は本当に……そういうところだよ、エディ」


 今度ため息を吐いたのは“ディオ”だった。


「敷かれた道を歩まされてるなんて、気付かないんだろうねぇ」


「気付いても問題ない」


 その「問題ない」は、確信の音だった。


「まったくもう。優しいんだか、なんなんだか」


「俺が優しかったことがあったか?」


「記憶にあるような、ないような。ま、二年後くらいかな? 君の予想的には。彼が決意するのは」


 ああいう種ってさ、芽吹いてからも、すぐには育たないんだよねぇ。


 ディオが笑う。

 エディは眉間に皺を寄せたままだ。


「早いに越したことはないが、卒業までに成長すればいい」


「大樹になるまで時間がかかっても、面倒見のいいお兄さんがいるからね」


「……そうだな」


 ディオはエディの同意に目を見開く。

 その空色を、深い青がじっと見つめた。


「しっかり面倒見ろよ。“兄の親友”として役割を果たせ」


「君は、なんていうか本当に」


 そういうところがさぁ、と嘆く口角は、わずかに緩んでいた。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!

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