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第七話:支持率50%と巨大なカエル

俺が生徒会長をぶっ飛ばしてから8日後。


俺とムスカールは校庭でスクワットをしていた。


【ムスカール】

「百五十……百五十一……」


【ヴァトリナ】

「声がでかい」


【イーシア】

「まったく、魔法使いなら魔法の練習をしなさいよ」


イーシアが呆れ顔で立っている。


お茶会で王子の件を調べると約束し、

制服問題は一時保留になっている。


【ムスカール】

「何を言う。

 魔法と筋肉は両立する。

 つまり筋肉は魔法だ」


【ヴァトリナ】

「ムスカールうるさい。今イーシアと話してる」


【ムスカール】

「ぐむぅ……」


イーシアがため息をつく。


【イーシア】

「王子様、見つからなかった」


【ヴァトリナ】

「この学園の生徒だろ?休んでるのか?」


【イーシア】

「授業には出てる。でも終わると消えるの」


【ヴァトリナ】

「なんの魔法だよ」


【ムスカール】

「変身系の魔法かもしれんな」


そういえば、魔法のある世界だった。


【イーシア】

「移動系や不可視化でも出来るけど……

 そこまで高度な魔法を使える人ではなかったはずだしね」


【ヴァトリナ】

「変身系はありふれてるのか?」


【ムスカール】

「なにを隠そう」


胸を張る。


【ムスカール】

「俺の《筋肉啓蒙マッスル・エンライトメント》も変身系だ」


【ヴァトリナ】

「確かに別の生き物になってるな」


【ムスカール】

「酷いぞ」


【イーシア】

「そうね。“膨らんだ“、でしょ」


【ムスカール】

「カエル扱いするな!」


一拍。


【ヴァトリナ】

「会うなら授業中か」


【イーシア】

「だから無理ね」


【ヴァトリナ】

「なんで?」


【イーシア】

「他クラス乱入も授業中決闘も校則違反よ!

 少しは校則覚えなさい!」


【ヴァトリナ】

「じゃあ制服問題は?」


【イーシア】

「保留。風紀委員はもう取り締まらない」


【ムスカール】

「風紀委員長は認めたのか?」


【イーシア】

「認めさせたわ。決闘で」


沈黙。


【ヴァトリナ】

「……強いな」


【イーシア】

「当然でしょ。四天王最強なんだから」


ここで俺は少し考える。


将棋みたいに支持者を奪い合う展開は消えた。


なら別の勝ち筋だ。


【ヴァトリナ】

「だったら王子の居ぬ間に支持率50%にしてやる」


【ムスカール】

「支持率?」


【ヴァトリナ】

「半分が旧制服を選べば、改革は止まる」


【イーシア】

「……理屈は通ってるわね」


【ヴァトリナ】

「嫌なら王子が出てくるはずだ」


気分が上がってきた。


【ヴァトリナ】

「よし。走るぞ」


【ムスカール】

「お、おう」


【ヴァトリナ】

「イーシアもだ」


【イーシア】

「なんで私まで!?」


【ヴァトリナ】

「ブラーサルが“スポーツドリンク”を用意してる」


【イーシア】

「すぽーつ……?」


【ヴァトリナ】

「筋肉にも魔法にも効く飲み物だ」


【ムスカール】

「筋肉にも!?」


三人で走り出す。


――


生徒会室。


窓際の机の上。


巨大なカエルが鎮座している。


その目は妙に知的だった。


【総書記長】

「殿下。あれがヴァトリナです」


カエルの瞳がゆっくり瞬く。


【王子】

「……そうか」


低く、落ち着いた声。


【王子】

「魔法使いらしかぬ筋肉。

 新制服のケースモデルとしては悪くない」


【総書記長】

「はっ」


【総書記長】

(筋肉モデル……?)


【王子】

「余は常に革新を求めている」


カエルが足を広げる。


【王子】

「どうだ」


【総書記長】

「……カエルが、ですか?」


カエルが腹を膨らませる。


【王子】

「今度は?」


【総書記長】

「……よりカエルらしくなりましたが」


【王子】

「やれやれ。総書記長には芸術的感性が足りないようだな」


【総書記長】

(芸術のつもりだったのか?)


【王子】

「余がこの姿なのは戦略だ」


【総書記長】

「……どの部分がですか?」


【王子】

「視線は上から降ろすものではない」


【王子】

「下から吸い上げるものだ」


沈黙。


【総書記長】

「……理解しかねます」


【王子】

「分からぬか。残念だ」


その瞬間だけ、カエルの目が王族のものに戻った。


【王子】

「しかしイーシアが離れたのは想定外だった」


【総書記長】

「はい。これで風紀委員は使えません」


【王子】

「ならば外から揺らす」


【総書記長】

「具体策を」


【王子】

「軍を使う」


【総書記長】

「軍ですか?

 それは流石に横暴です」


【王子】

「安心しろ。

 本隊を動かすわけではない」


【王子】

「士官学校の優秀な者を“転校生”として迎える」


【総書記長】

「……軍籍保持者を学園に?」


【王子】

「士官候補生だ。学生だろう?」


【総書記長】

「理屈としては、そうですが……」


【王子】

「優秀で、規律を理解し、命令に従う。

 旧制服派の空気も一掃できる」


【総書記長】

「殿下。

 学園は軍事演習場ではありません」


王子の瞳が細くなる。


【王子】

「総書記長」


静かな圧。


【王子】

「余は改革を止めない」


【王子】

「布は減らす。だが視線は増やす」


【総書記長】

「……増えません」


【王子】

「増えるのだ」


【総書記長】

(本当に面倒だ)


カエルの影が、壁に王冠の形を映す。


【王子】

「遊びは、これからだ」


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