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銀髪の猫はなにを願う  作者: 熊猫
第一部

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第二十五章:助けの刃

挿絵(By みてみん)

ファナは必死に短剣を振り回していた。

けれど、ゴブリンたちは数が多すぎた。

押し寄せるように、群れを成して、次々に距離を詰めてくる。

「やめて……こないで……っ!」

足をとられ、膝をついた瞬間、身体にいくつもの手がまとわりついてきた。

重さと恐怖に、息が詰まる。喉の奥から悲鳴が漏れそうになる。

(……絵本で見た、あれ……あの時の……)

脳裏に、幼いころに聞いた恐ろしい話が浮かんでくる。

(怖い……ここで、終わるの……?)

目の前が暗くなっていく。

手から滑り落ちる短剣。草の上に落ちる音が、無性に遠く聞こえた。

その瞬間。

「――下がれ!!」

怒声とともに、森の空気が切り裂かれた。

刃が光を弾き、ゴブリンの一体が吹き飛ぶ。

「ファナ!!」

その声に、彼女の目がわずかに見開かれた。

次の瞬間、ファナの身体をまとわりついていた何体ものゴブリンが、次々と鋼の一閃により倒れていく。

「……カイル……」

カイルは容赦なく剣を振るい、獣のような叫び声を上げるゴブリンを斬り払っていく。

その瞳には怒りと冷静が共存し、誰にも彼女には指一本触れさせないという確固たる意思が宿っていた。

「動けるか!?」

カイルはファナの肩を掴み、視線を合わせる。

ファナは涙をこらえながら、小さく頷いた。

「ごめん……怖くて……」

「謝るな。今は、生き延びることだけ考えろ!」

背後ではレリアの魔法の火弾が炸裂し、森を照らす光が絶望をかき消す。

ファナの震える手が、再び短剣を握った。

彼女は、カイルに守られるだけではなく――もう一度、立ち上がろうとしていた。

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