9.神魔タウルスとの決戦直前
作者は今、神魔タウルスとの戦いをどうするかで頭を抱えています。
(??視点)
ふ~む……
いやはや、今代の魔法少女達は歴代最高の傑物揃いと言って問題ないラビかな~?
ま、これはボクちゃんの勝手な推測だラビけど。
「……この子達なら、これまで誰も成し得なかった神魔討伐だって現実味を帯びて来るラビよね?」
もっとも、ボクちゃんはその戦いに加われないんだラビけどね?
……何せ、ボクちゃんにはこの楽園を守る使命があるラビからさ?
戦線には出れないラビよ。
「ハァ……ボクちゃんだって〈迷宮〉の魔法少女、ラビィリン・スーとしての仕事は精一杯やり遂げるつもりで居るラビけど……戦線に加われないのはやっぱり心苦しいラビよ」
でも、これがボクちゃんの仕事ラビ。
……人類が暮らすこの楽園を、未来永劫に至るまで守り続けるという仕事……
「だから、神魔と天魔は任せたラビ」
奇跡か運命か、今代に揃った傑物の魔法少女達。
〈時間〉の魔法少女、天草 時子。
〈女王〉の魔法少女、帝星 王魅。
〈弾丸〉の魔法少女、レベッカ・ビリーヴ。
〈疾走〉の魔法少女、鈴宮 昴。
〈忍者〉の魔法少女、木ノ葉坂 清蛾。
〈野生〉の魔法少女、ババラ・メバド。
〈狂乱〉の魔法少女、阿雅観沢 山茶花。
〈宝石〉の魔法少女、石山 絢羅。
〈振動〉の魔法少女、陳 震麗。
〈規則〉の魔法少女、万年文 残柳斎夢春。
〈花火〉の魔法少女、菊火花 蛍菜。
〈破壊〉の魔法少女、武巌原 軍破。
……この12人が、人類の運命を左右するかもしれないラビ……
そして……
「およそ300年前に神魔ピスケスとの戦いに参加した〈止水〉の魔法少女が消息不明になって以降、今となっても行方知れずになっている13番目の魔法少女因子は、いったい何処に行ったんラビ?」
およそ300年前、神魔ピスケスとの激戦の果てに消息不明となった〈止水〉の魔法少女。
当時ですら生存は絶望視され、およそ300年が経過した今となっては生きている筈もない人物ラビ。
そんな彼女の魔法少女因子こと魔法少女の資格は、未だに次の所有者が現れていないラビ。
何処かに見落としがあったラビ?
いいや、そんな訳が……
う~ん……
ま、この件に関してはこれまで通り後回しラビ。
「ふぅ~……後はまあ、異世界から来たボクちゃんの監視役も居るし、何とかなると良いラビな~」
ボクちゃんはそんな希望的観測を口にしつつ、この楽園を維持するための業務を円滑に進めたラビ。
そのまま、楽園周囲の遠隔索敵も軽くやって……
……んん?
楽園の緩衝地帯から少し離れた場所に、かなり大きな天魔反の……って、まさかこれ……
急いで軍破達に報告するラビ!
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(天草 時子視点)
「えぇ……」
「何も言うなァ……オレ達だって、どうにもならねぇ事は悩んでんだァ……」
「軍破はんの力を使えば何とかなるか?……って感じやからなぁ……それでも雲を越える巨体にダメージを与えるんは大変そうやけど……」
組織最強の魔法少女である軍破さんで何とかダメージを与えられるか……といった案配ですか。
……ゲーム等ではこういった超巨大な敵は何処かしらに弱点があり、その弱点部位とバトルするものですが……
この敵もそうとは限りませんし……
と、皆さんで案を練っていた時でした。
『こちらラビィリン!……軍破、緊急報告ラビ!』
「あァ?……こちら軍破、いったい何の用だァ?」
『緩衝地帯から少し離れた観測可能範囲にかなり大きな敵性反応アリだラビ!……これを今まで魔力反応のみで観測出来ていた神魔の生息位置と照らし合わせてみると……』
「……神魔タウルスかァ?」
『そうだラビ!』
……ああ、いよいよ近付いて来ましたか。
しかし、こんなすぐに索敵可能範囲にまで?
「……神魔タウルスは肉体が巨大な分、歩幅も大きいらしいからなァ。……加えて、これまでの牛歩から速度を上げてるってところかァ?」
『正解ラビ!……これまで観測されていた神魔タウルスの速度がゆっくりのっそりな牛歩なら、今の神魔タウルスは闘牛なんかでよく見る荒ぶった牛みたいな勢いで進んでいるラビ!』
「……そりゃちっとマズいなァ……」
えっと、雲をも越える体高の雄牛が、闘牛なんかでよく見る荒ぶった牛と同じ勢いで走っていると……
重ね重ねで申し訳ございませんが、これ確実に無理ゲーですよね!?
『今はまだボクちゃんの遠隔索敵可能範囲に入っただけだから、かなり距離は離れてるラビが……後30分もすれば何かしらの影響が出る範囲にまで到着してしまうラビ!』
「チッ!……神魔タウルスに関する危険度の早急な修正が必要だァ……まさか、進行の速度を何段階も上げて来るとは思いもしなかったなァ……」
「過去のどんな事例でも、神魔タウルスの進行速度は牛歩やった筈やのに……」
残り30分で迫り来る神魔タウルスの進行を何とかしなければいけない、ですか……
勿論、過去の事例における神魔タウルスの襲撃が牛歩のみだった以上、この速度変化を予想しろと言うのは酷な話でしょうが……
「ど、どうするのだわ!?」
「どうするもこうするも戦うしかありマセ~ん!」
「ただ、今のままじゃ無理ゲーです。……何か、神魔タウルスの弱点になり得るものを……」
確か、牛の弱点となるものは幾つかあった気もしますが、いずれも即座に命へと届くものではなかった筈です。
逆に、下手にそれを採用すると余計に手が付けられなくなる可能性すらも……
「……言っとくが、悩んでる暇はねぇぞォ?」
「っ!」
「残り30分程度しかねぇんだから、もう今からでも行かなきゃならねぇんだァ」
「そ、それは……」
悩む時間すら残っていない……
この事実は、私達が圧倒的に不利な立場に居るという事を示していました。
「分かってると思うが、魔法少女は全員が空を飛べる仕組みになってらァ。」
「「「はい……」」」
「……つっても、それだって雲のある場所まで瞬時に飛べる訳じゃねェ。……雲をも越える体高の相手に戦うってのは、足元からチマチマ狙う事しか出来ねぇと思っとけェ!」
「「「はい!」」」
魔法少女は全員が空を飛べますが、瞬時に雲の上まで飛べる訳ではありません。
それこそ、軍破さんなら可能でしょうが……
私達はそうではない……
「蛍菜、やっぱり他の奴等も動員すべきかァ?」
「う~ん、難しいやろな~。……まあウチ等が全滅した時のために控えさせとくぐらいはしといた方がええんかもなぁ……」
結局、行くのはこの5人で確定の様です。
で、あれば……
「レベッカちゃん、王魅ちゃん、一緒に生きて帰りましょうね!」
「はいデ~ス♥️!」
「わ、分かってるのだわ!」
……さ~て、大層な事を言いはしましたが本当にどうしましょうかね~……
神魔タウルスへの決定打となる攻撃を出せるのは恐らく軍破さんと蛍菜さんのみ。
私達が動員される理由も恐らく、神魔タウルスの言葉を受け取った事が何か作用するかもという淡い期待でしょうし……
……本当に、生きて帰れるんでしょうか……
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(俯瞰視点)
ードシン!ドシン!ドシン!ドシン!
地面に響く大きな衝撃とそれによる揺れ……
〈疲弊した賢牛〉の異名を冠する神魔タウルスは、荒れ狂う猛牛の如き勢いで人類の生存圏……楽園へと迫っていた。
『モォォォォォォォォォ……同胞達よ、もうしばし待っていてくれ……私が人類を滅ぼし、この怨嗟の輪廻を終わらせよう……』
ードシン!ガラ~ン!ドシン!ゴ~ン!
神魔タウルスは一心不乱に走った。
その先に、終わらぬ怨嗟の果てがあると信じて。
……そんなものはないと薄々察しながらも、神魔タウルスは走り続けたのだった……
ご読了ありがとうございます。
神魔タウルスの強みは、そのデカさにあります。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




