1.ある魔法少女の独白?
新作のアイデアを思いついてしまいました。
もう自暴自棄で書きました。
(??視点)
荒廃した街の中、私達は標的の猿型天魔を追いかけていました。
「ウキィィィィィ!」
「時子、もっと急ぐのだわ!」
「はいぃぃぃぃぃ!……って、私の事はタイムって呼んでって何度も……」
「そんなの今はどうでも良いのだわ!」
「よ、良くないですよ!」
王魅ちゃん、魔法少女は本名で呼ばないのが普通ですよ!
……まあ、私達がそうする理由もありませんが……
「あ~もう!タイムもクイーンも喧嘩はノ~センキュ~なのデ~ス!」
「あっ……バレット、ごめんなさい……」
「ふん、悪かったのだわ……」
「えっと、私はバレットより本名のレベッカの方が咄嗟に反応出来て良いんデスが……」
王魅ちゃんとの言い争いは、レベッカちゃんの言葉のお陰で喧嘩に発展せずに済みました。
もう、何でこう喧嘩腰になっちゃうんでしょう……
私は仲良くしたいんですけどね……ふふふ♥️。
と、私が少し浮わついていると……
「ウキィィィィィ!」
「うわっ!?……天魔、急に反撃して来ました!」
「猿型の下級天魔のクセに生意気なのだわ!」
これまでずっと逃げの一手ばかりだった天魔が、私達に対して反撃を繰り出して来たのです。
しかし、所詮は下級天魔……
「Oh~!ここは私の魔法で仕留めマ~ス!……【弾丸・4連射】デ~ス!」
ーダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!
「ウキャッ!?」
ーブチャ!ドサッ!
……レベッカちゃんの弾丸魔法で急所を狙い撃ちにされ、呆気なく屍となりました。
「いつ見てもグロい魔法ですね……」
「またトドメを奪われたのだわ!」
「早い者勝ちデ~ス!」
ほんと、レベッカちゃんは凄いですね……
それに比べて私は……ハァ……
「さ、帰りましょうか」
「言われなくてもそのつもりなのだわ!」
「今後の敵もこの位なら良いんデスけどね……」
……これが私達の日常。
人類の生存圏を脅かす天魔を討ち倒し、平和をもたらす魔法少女という名のブラック公務員 (※未成年) として働く私達の、何の変化もない日常……
「……ああ、あの日々が恋しいですよ……」
「「??」」
私は平和だった前世の記憶を思い出しながら、そう呟いたのでした……
さて、この辺りで今の自分を振り返りましょう。
私の名前は天草 時子。
前世は何処にでも居る女子高生だった、平凡な転生者です。
……嘘をつきました。
私は前世も今世も同性愛者です。
もう可愛い女の子とかドキドキものです。
でも、前世ではカミングアウトをする度胸はありませんでした。
そう、前世では……
っと、思考が逸れました。
とにかく、恋愛対象の性別さえ除けば何処にでも居る様な女子高生だった私は、呆気なく死にました。
夏の猛暑日にエアコンも扇風機もつけず水分すら摂取しなかった結果、熱中症になってそのままお陀仏ルートへ一直線でした。
そうして死んだ私は、気付けばこの世界に転生していました。
とはいえ、記憶を取り戻したのはごく最近。
最初は困惑しましたが、今はもう慣れました。
……慣れて、しまったのです。
「ハァ……もうこんな生活は嫌です……」
「タイム、我が儘は止すのだわ!」
「これは私達の義務デスよ!」
「うぅ……」
ああ、どうして私は魔法少女なんか……
ちょっと身体検査で適性アリと診断されてしまったばっかりに……
……気晴らしとして、どうしてこの世界が滅亡寸前な状態に陥っているかについても思い返してみましょうか。
まず、この世界は前世の世界と違い人間以外の亜人も存在しています。
まあ亜人と言っても獣耳が生えてたり、腕から羽毛が生えていたりとその程度の差異ですが。
しかし、この世界の神に準ずる存在はその程度の差異すら許しませんでした。
その存在は次々と天魔と呼ばれる天使と動物のキメラ生命体を人類に差し向け、その生存圏を侵していったのです。
対する人類側は人類に友好的な悪魔とやらから魔法少女の技術を貰い、今の今まで天魔相手に終わりのない戦いを続けているらしいです。
……神に準ずる存在だとか、天使と動物のキメラだとか、人類に友好的な悪魔だとか、意味不明な要素ばかりで前世の記憶を取り戻したばかりだった当時の私は困惑しましたっけ……
もっとも、戦いを終わらせられると思われるものもあるにはあるのですが……現状としてはそれを実行するのも現実的ではありません。
その解決策とは、天魔達の親玉……この世界に12体も居る神魔と呼ばれる怪物を討ち倒す事です。
余談ですが、神魔はその見た目が十二星座モチーフになっています。
だからどうしたって話ですが。
……思考を戻します。
その神魔を倒すのがどうして難しいと言えば、単純に強いんですよ。
それこそ〈12の神罰〉とすら呼ばれる程に強く、この世界における歴史では人類が挑む度に呆気なくボロ負けしては自分達の生存圏を失っています
結果として、今や関東地方程度の広さしか人類には残されていません。
……そんな世界で天魔を倒す魔法少女なんかに選ばれた私は、多分かなりの不幸者です。
「それに、魔法少女の数も少ないですし……」
「ど、どうしたのだわ?」
「Oh……クイーン、こういう時はそっとしておく事も大事デ~ス……」
「そ、それで良いのだわ?」
あ、口に出てしまっていましたか……
失敗失敗。
……さてと、それより魔法少女の人数ですが、これは何故か13人で固定されています。
これが13人から減る事はあっても、14人以上になる事はありません。
そんな数少ない魔法少女の資格が他者に移るのは、魔法少女本人が死んだ時か魔法少女の資格を自ら手放した時の2つのみ。
これ以外の方法で魔法少女の資格が移る事は絶対にありません。
その上、どんな魔法が発現するかも資格を有した人によって違います。
それこそ、前任者と現任者で魔法が同じなんて事の方が稀……というか過去にそんな事例は確認されていない程です。
……そんな魔法少女の1人に選ばれるとか、私の運勢は大凶ですか?
せめて見返りがあっても良いじゃないですか!
いや給料は貰ってますけど、命を懸けるのはもう嫌なんですよ!
うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
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………………。
………。
ハァ……ハァ……
す、少しだけ苛立ちが限界に達して発狂してしまいました。
「……ん?……クイーンもバレットも、どうしてそんな哀れな者を見る目で私を見ているんですか?」
「げ、限界に気付けなくてごめんなのだわ……」
「今後はちゃんと気をつけマ~ス……」
「え?」
あれ?
もしかして私、分かりやすく発狂してました?
「えっと……もう無理しないで欲しいのだわ?」
「報・連・相は大切デ~ス……」
……や、やらかしました……
あの、そういうつもりじゃ……
と、弁明しようとした瞬間でした。
「あ、もう転移扉に到着したのだわ!」
「それじゃあさっさと戻りマショ~う!」
「いや、その……わ、私は大丈夫です!」
魔法少女組織本部までの転移扉に到着してしまい、ここを逃せばもう弁明は無理だという段階に達してしまいました。
なので、私はなんとか弁明しますが……
「ハァ……その痩せ我慢はもう良いのだわ!」
「ちゃんと休みを申請しマショ~う……」
「あ、これ信じて貰えてませんね……ふぁ~」
いやまあ、そうですね……
本部戻ったら休み、申請しますか……
諦観からそう結論付けた私は、アクビをしながら扉をくぐったのでした……
ご読了ありがとうございます。
これで5作品目です……
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




