第17話「助言者」£
ーー20??年7月21日午後2時ーー
私は目の前で蠢く青い球体を撫でながら呟いた。
あの年のこの日、本当に辛かったと。
今の私がいるのはあの7月20日の大戦の結果を捻じ曲げられたからだ。
あの7月21日の絶望を知ったのは今があるからである。
私は脆い。弱くて醜い。それはあの時と変わらないようだ。
今の私は遠くからしか見つめることができない。
ただ私はいつも君を見つめている。
たとえ時間軸が違おうともこの青い球で見守ることはできる。
私が直接干渉することはできない。
けれども、いやだからこそ心配なのだ。
あの時の私、私の行くすえが。
今私の目に映る君はどういう結果を迎えるだろうか。
数多ある結果の中で1つに収束するのは今目の前に表示された式からも明らかだ。
しかしそれはただの式。
現実論と理想論が相反するように必ずしもその式の解だけが君の未来ではない。
たとえその解とは違うよりよい解を導く可能性が驚くほど低くても諦めないでほしい。
私はその確率を引き当てた。
今見えている君もできるはずだ。
私よりももっと上手に。
だから言いたい。
7月20日の私の決断は間違っていなかったと。