第十三話「懐疑」F
ーー7月21日 4限職員室ーー
目が覚めたら世界が変わっていた。
なんてこと経験したことあるだろうか。いままで夢見心地で、
目が冷めたら世界がまるっきり変わってました、
なんてことはあるだろうけれど本当に状況すら依以前と乖離していることは普通はないだろう。
私には経験がある。
それもつい最近だ。
そして未だに元の世界に戻れていない。
アニメや漫画なら自分にやらなければならない使命がありそれを果たして初めて帰れるようになるとか、ドラクエの提案拒否してまた同じ質問をしてそれを拒否して、、と永遠に続くテロップを誰かがずっと選択しているせいで世界が戻らないとかなのであれば少しまあ、塩少々くらいにはワクワクするだろうが、残念ながら調べることはできない。
やっぱこういう時にBTB試験紙とかリトマス試験紙とか必要になってくるんだと、思うこの頃です。
ただこの世界の前、もともと自分がいた世界の記憶はこの頭に確実にあるのが不思議だ。
生まれ変わりではないだろう。
しかし不思議なことは以前の世界の記憶だけでなく、この世界の記憶もあるということだ。
全く経験したことのないはずのこの世界の記憶が何故かあるのだ。
だから私は今、元の世界とこの世界の2つの記憶を持っている。
まるで自分がどちらの世界にもいたような、はたまた2つの自分の意識が同期して一つになったのか。
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私は、職員室の自分の席に腰掛けてただ呆然と窓から見える青空を眺めていた。
積雲が2隻。
まるで艦隊のようにゆっくりとそしてどっしりと進んでいた。
これから起きることは全て詮索済みで想定内だと、自信満々でのっしりと着実に進む思考回路のように。