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魔族国家、始めました!  作者: 鵜飼小夜
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起動編9

なろうの仕様分かってなくてあれこれメモったりしていたフリーメモが根こそぎ消えたのでペース落ちます

さて、振り出しに戻る。

祭壇を後にしたはいいもののやることが山積みかつ達成が困難だ。

あくまで、仲間を集める云々は最終目標であり、理想だ。


ぼーっと歩きながら思考を回す。


仲間を集める、ということは少なくとも吹き飛ばしたロルトと合流しなければならない。

だが、ロルトの現在地はぼんやりとしかわからないのでとにかく飛ばした方に進まなければ。と、いうことはこの遺跡から出なくてはいけない。と、いうことはまず、追っ手をどうにかしなければならない。


ここまで考えて思考がぴたりと止まる。


あっそういえばここ落下してきたんだった。


視線を上げる。

遥か上の方にポカリと穴が空いていた。


「あー、あそこか無理だろこの距離は」


どうしたもんかと周りを見るもガラクタとゾンビ犬くらいしかない。

そんなこんなでモタモタしていると俄かに上空の穴が騒がしくなってきた。


「おい、ここ、なんか繋がってるぞ!」


やっべぇ。追っ手来た。

どうしよう。どうしようもない。


「縄回せー!下降りるぞ!」


秘技、死体のふり。

壁に向かってダッシュ!

自壊!

哀れ無惨な白骨死体へと我が身を変える。

魔力の放出もなるべく少なめに。


「こっちからなんか聞こえたぞ!」


激突音に寄せられて冒険者たちが押し寄せる。

ロルトの言を信じるならある程度殺して逃げることもできそうだが、しかし自分で殺したところ(最初の犯行)を確認した訳でもないのもまた事実。

一旦様子見だ。


「こいつぁ……」


魔法を使いそうなローブを着込んだ荒くれ者がじっとりと此方を見つめる。

ヒェッ。バレたか?


「魔力をしこたま内包してやがる。持ち帰って白魔法で浄化したほうが良さそうだ」


あれよあれよという間にサッとひとまとめにされ集団の中にいた背負子を背負った物運び係っぽい男に投げ渡される私。

いったんバレずには済んだか。

でもこのままおとなしく運ばれていったら白魔法が待っている。

ひとまず、様子見だ。

そう考えた私はおとなしく運ばれていくのだった。





あれから体感で二日ほど経った。

骸骨の体に眠気はないが集中力は散る。

ついついぼーっとしてしまっていきなり何かが起きても反応することができない。

油断していた。

つまり、というかそして、というか現状を説明すると今私の目の前には一人の男がいる。いた、かもしれない。


何せ頭が吹き飛んでいるのだから。


密室殺人事件である。

いや、そんなこと考えている場合じゃないが。

……どうすっかなこれ。

経緯としては、麻袋の視界の悪さと馬車の揺れですっかり目の前のことへの注意が逸れていた私に、不意に激痛が全身に走ったため、普段は閉めている魔力の栓が抜けてしまい、爆発した。

哀れ目の前の男は爆発の余波を受けて吹き飛ぶ。

丁度噴出した魔力は頭を穿ったらしい。


「すごい音がしましたが大丈夫ですか?」


コンコンと部屋のドアがノックされる。

鈴のような少女の声だ。

咄嗟に言葉が喉をついて出る。


「ああ、心配するな。しかし、これは強い魔力を持っている。危険だから入ってこないように」


我ながらよく出たもんである。

扉の向こうの声の主は此方の言葉に納得して、それ以上話しかけてはこなかった。

とりあえず全身を接着して起き上がる。

どうもこの部屋は何か魔術的な本だとか巻物だとかが置かれているいわゆる儀式を執り行う部屋であるらしい。


扉は一つで窓は無く、また扉の下の方にペット用の通り穴のような蓋がついている。

殺してしまったものはしょうがない何かここから出る術はないかと死体を漁る。

触れようとする私の手を取る死体。


「ッッッ!!」


びっっっっくりした。

そうか忘れていたけれど死者を蘇生する力を持っていたんだった。


「我が主。何なりとご命令ください」


頭のない男の死体は傅いた。

どうしてこうなった。







話を聞くにこの首なしで二人目な従者の名前はアドル。どうやらここの神殿長らしい。

ここ神殿なのか。敵の本拠地じゃん。


「左様でございます」


何だかロルトを見ていたせいですごい敬ってくれる従者というのはちょっとむず痒い。

いや、ロルトも敬っていたか。最初だけは。


「只今我々のいる場所はフリヴォロ王国群第三都市アルチェロ。王国の西方の魔物生息域と日夜せめぎ合っている要塞都市でございます」


「なんか難しいな」


「王国の西側の魔物と戦っている街でございます」


「わかりやすい」


「時に我が主はなぜここへ?」


「ノリと勢いで」


「なるほど、近くの森で目覚めたあと、冒険者から逃れるために死体のフリをし、呪われたアイテムを装って、神官長である私の元へと運ばれてきたのですね」


すごい理解力だ。


「我が主、これからどうするおつもりで?」


「追われてばっかりだからどこか安らげる場所に行きたい」


「なればどうでしょう、我が主、国を建てるというのは」


「くに?」


スケールがデカすぎて言葉が意味を理解する前に口から出てきた。


「左様でございます。主のようなアンデッドや魔物を集めて国を建てる、すなわち建国することで安全な地域を作り出すことができます」


「け、建国」


「もちろん私がサポートさせてもらいます」


「ま、まぁちっちゃい集落くらいはあったらいいかなぁ」


トントン拍子に話が進む。


「それでは決まりでございます。まずは仲間を集めましょう」


「仲間、かぁ。まずはロルトとも合流しなきゃ」


「ロルト、とは?」


「私の初めての従者さ」


「私より前の従者がいたのですか……」


少し残念そうな雰囲気を醸し出す首なし神官。


「まぁ、いいです。それではまずはそのロルトとやらと合流しましょう」


「そうだね」


「となると私が移動するための口実が必要ですね」


ふむ、と無い顎の位置に手をやるアドル。

どこから声出てるんだろう。


「そういえばその顔、どうしようか。そのまま人前に出るわけにはいかないし」


「ああ、これですか」


ス、と顔のあった場所を両手で覆うアドル。

にょき、と顔が現れる。うわ、気持ち悪。


「うわ、気持ち悪」


「主、心の声が漏れてます。まあいいです。さて、口実ですが、巡礼の旅などどうでしょう」


「いいんじゃないかな、よくわからないけど」


「では決まりですね」


「ところで……私はどうしようか。骨だし」


「そうですね……」


我がことながら難問だ。

側から見れば神官と骸骨が二人して頭を抱えている。

風刺画かよ。

良ければブクマ等よろしくお願いします

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