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私の魔王様は優しい  作者: 水爽 ソフィー
12/17

マカロン②

「おいしい。」

 さくっとしてふわっとして。私の問題も、こんなふうにさくっとふわっと解決すればいいのに。

「あんまりお薬飲むの好きじゃないんだ。」

 診察代も結構かかるし。

「私さ、脳の磁気治療もしてるんだよね。これが結構高くてさ、ボーナス1回分ぐらいするわけ。社会に出てからずっと定期的に心療内科に通ってて、これじゃ凄くお金かかるなって思って、根本的に直したくて始めたんだけど。でも、夫や子どもたちが静かにしてくれたら、治療なんてしなくて済んだのになって思うの。このお金も時間もなんで私が払わなきゃいけないんだろうって。」

 なんで私のせいじゃないのに、私が代償を支払わなければならないのだろう。

「それは、悔しいな。」

「みんな私のことなんてどうでもいいと思ってるのよ。」

 魔王様は私を優しく抱きとめ、頭を撫でてくれた。

「実に理不尽だ。お前のせいではない。」

「うん。」

 私は泣きながら、魔王様の背中に手を回した。不思議な感触がした。

「だがどうだろう、未来への投資と考えてみては?」

「未来への、投資?」

「そうだ。その治療が終われば、今よりもずっと元気に快適に暮らせるのだろう?」

「多分。」

 脳の治療が必ず成功すると言う保証は無い。ただ90%以上が人が効果を感じているようだ。

「だからといって、湧き上がる感情を否定する必要は無い。お前の経験や感情は常に尊重されるべきだ。お前は自分の気持ちを大切にしていい。」

 魔王様は私の口にもう一つ、ピンクのマカロンを入れた。

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