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ドラゴン生えました

ドラゴン生えます。


面白そうだと感じたら是非ブックマークなど下からよろしくお願いします!


では、お楽しみあれ!

「生えた! おい生えたぞ皆んな!」


 水槽の中で水に浸けていた植木鉢を急いで持ち上げると、一階に駆け降りた。

 土の盛り上がりの度合いから今日が山だと思っていたが、いざその瞬間に立ち会えると鳥肌が立つ程に感動する。


「……んー……なんだよ今何時だと思ってるんだ龍咲(りゅうさき)……」


 目を擦って眠そうな姿なんておかまないなしに手に持った植木鉢を押し付ける。


「ダイナ、それ持って大広間で待っててくれ! すぐに中鉢持ってくる!」

「おい、これ……おぁ! 生えてきてんじゃねえか!」


 渡した植木鉢には半透明で淡い水色の翼が生えている。

 人の拳ほどの大きさだが、その形は既に立派なドラゴンの翼だ。

 水のような質感にドラゴンの重厚な羽の構造……たまらない!

 

「起きろ! 鉢交換だ!」

「んげ……ッ。……あれ、予定より早くないっすか……?」

「最近直送の富士の水を使ってたからな、その分環境が整ったらしい。ほら特注した水槽持ってきてくれ! 場所は大広間、俺は先に鉢の入れ替えをしてくる!」

「……あーい……ねむ……」

「急げよ!」

「はいはい分かってます〜」

 

 水槽を持ってくるようにラムダを叩き起こす。

 気だるげな様子だが仕事はしっかりこなすタイプだ、心配はないだろう。


「よし! 土入れるぞ!」

「おう、にしても綺麗な翼だな……」


 大広間に戻った俺は、人がすっぽり入るほどの鉢をおろして中に土を入れ始める。

 鉢はこの子のための特注品だ。流線型のフォルムで水に強い素材が使われており、とても軽い。

 ノーマル状態の自分でも持てるぐらいだ。


「よしよしよし、す〜ぐ終わるからなぁ〜……」

「持ってきましたよ〜っと!」

「丁度いいタイミングだ! ラムダ、水を繋いでるホースを持ってきてくれ!」

「あいよ」


 土を入れ替え、小鉢を分解して中鉢に中身を入れ替える。

 小鉢は元から分解しやすいように作られている。ストッパーを外すと底の部分が外れ、側面からパカッと二つに割れるのだ。

 

「持ってきたぞ〜! 水はあっちの係に任せてきた、二十秒後に流れてくる」

「よし! ラムダ、鉢を水槽の中に入れてくれ!」

「了解で〜す」

「慎重にな! 慎重にだからな! あといくら水槽の縁が低いからって油断するな、割れたら大惨事だからな!」

「分かってますよ、こんな軟っこそうな翼してんすから」


 ラムダが中鉢を入れて数秒後、水が流れてくる。

 八畳ほどの広さの水槽に自分の膝ぐらいまで水が入ったのを確認すると、水を止めてもらった。


「よし! 翼の形も安定しているし、大丈夫だ! お疲れだ諸君」

「いつからお前が上司になったよ」

「よかったっす〜! いや、じゃあ私眠いんで戻りま〜す」

「ともかく! これでついに!」

「ああそうだな! これでやっと」

「「ドラゴンガーデナーのランクが上がる!」」


 ここは『ドラゴンガーデナー【龍の鉢受け】』

 この世に存在する龍の種を収穫し、育て上げる場所。


 その資格を持つものはこの世にまだ数名しかおらず、その職業は人間国宝とも言われるほどだ。

 そしてここにそのドラゴンガーデナーが一人。

 その男の夢はドラゴンと人間の完全な共存。


 その夢は今、水のような翼と共に一歩近づいたのだ。

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