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ヤンデレ諜報員小夜  作者: くまたろう
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第二話 愛を育む二人

ヤンデレ諜報員小夜

第二話でございます。


どうかご笑覧をば!

ご感想もお待ちしております!

第二話 愛を育む二人

 


「なにい、標的を取り逃がした⁉」

「も、申し訳ありません……」

 東風は治安局長に絞られていた。

「いくら何でもそれはないんじゃないの⁉ 今名小夜が標的の背後にいたのに⁉」

「面目次第もございません……」

 今名小夜が背後にいたから取り逃がした、と言ったほうが正確なのだが。

「私からも謝罪いたします……」

 防犯課課長の明石が頭を下げた。そして東風に耳打ちをする。

「この場は俺が収める。お前は小夜を追え……」

「す、すみません」

「小夜をスカウトしたのは俺だ。とにかく逸材なんだから首にするのは惜しい……」


 局長の執務室を去ると、廊下に背の高い女性が待っていた。富永常夜とみながとこよ、同じく防犯課の同僚である。今名小夜と夜がかぶっているが血縁関係ではない。

 なぜか防犯課には夜に関連する名前を持つものが多い。

 課長は明石晩山あかしばんざん。明け方から晩までさざれ石が山になるまで仕事との意味である。技術担当には深月悟みづきさとる、月が深くなるまで働く覚悟との意味である。富永常夜は富のため永常なる夜勤という意味である。今名小夜は「今なお夜」と読める。徹夜も辞さずのスーパー諜報員。その点木枯東風はホワイトである。せいぜい風が吹いて木々が枯れるに過ぎない。


「木枯君、行くわよ」

「富永……」

「絞られてたわね。ざまあって感じだったわ」

「殺す」

「小夜ちゃんは連中のアジトにいるはずよ」

「だろうな。だがアジトはどこなんだ?」

「それが分かれば苦労しないわ。でも小夜ちゃんはきっとそこにいる」

 東風は頭を抱えた。

 富永の言うとおりだ。今名小夜はきっとアジトにいる。明石課長ですら掴めなかった敵のアジトに。

 ところで、俺が絞られてる時に嬉しそうな顔でニヤニヤしていたのは絶対に許さないからな。

 東風と常夜は捜索に向かった。


 今名小夜。21歳。内務省治安局防犯課諜報員。

 明石晩山防犯課長がスカウトした諜報の天才。

 適性試験では試験官が用意した標的の自宅を最短時間で特定した。試験用に用意された架空の自宅ではなく、試験官自身ですら知らなかった標的の本当の自宅を。

 尾行の研修では訓練生を撒いてカフェで一休みしていた教官の隣の席に座っていた。

 初仕事では尾行対象の布団に潜り込んでいた。

 まさに、諜報の天才。

 明石がスカウトしただけはある。標的がどんなところに隠れていても必ず居場所を見つけ出す。家族構成も経歴も、恋愛遍歴も|(これは特に)あっという間に調べ上げる。

 ……それなのに。

 彼女は優秀とは言われなかった。

 諜報員として致命的すぎる欠陥があったからだ。


 必ず標的に恋をしてしまうのである。

 

 それもどっぷりと。


「あの人は小夜の運命の人なんです」

「あの人の言葉は真実です。疑うなんてあんまりです」

「あの人が私を避けてる? そんなことありえません」

「いくら課長の命令でもあの人を裏切ることはできません」

「あの人が私を拘束して下さいました……心配性なんですから……小夜が離れるわけないのに」


 明石は困り果てた。

 自分の目に狂いはない。今名小夜は間違いなく諜報の天才だ。

 なのに。

 

「奴の資金源を吐けと言っているだろう!」

「嫌です。黙秘します」

 上司に対して黙秘権を行使する奴は初めてだ。

「お前が奴の資金源を言わないと連中はまた悪さをするぞ」

「そんなの噓です。私をあの人から引き離そうとする陰謀……」

「陰謀を企んでるのはあいつらだ!」

 なんで自分の部下を尋問せねばならんのだ。

 普通の諜報員が一週間で調べる内容を今名小夜は一時間で調べる。どこをあたれば標的の情報が得られるかを見抜く勘が悪魔的に鋭い。猟犬か何かかと恐怖を感じるほどだ。

 だが、情報を聞き出すのに一週間かかる。

 これではせっかくの才能が活かせない。明石が天を仰いだその時。

 当時仕事に慣れてきたばかりの木枯東風が自分に尋問を任せてくれと言った。

 木枯は地味ながら着実に成果を上げるタイプで明石はそれなりに信頼していた。そこでダメもとで木枯に小夜の尋問を任せたのだ。

「……今名小夜さん」

 木枯は対等な友人といった感覚で声をかけた。小夜は手を膝にのせて俯いたまま押し黙っている。

「驚かせてすみません。あなたの言う通り、彼の容疑は再考の余地があるかもしれません」

「……」

「彼が犯罪を犯しているからと言って悪人だというのは間違いかもしれません」

「……」

「でもね、彼と結ばれたいなら課長に情報を渡したほうがいい。実際、陰謀の可能性があるんです」

 小夜は少し顔を上げた。

「彼を陥れて我々防犯課に誤認逮捕をさせようとする勢力が存在する可能性があります。そいつらの尻尾を掴みたいなら、課長に情報を渡すべきでは?」

 小夜はうるんだ瞳で東風を見上げた。

「木枯さんだけです……あの人の言葉を信じて下さるのは」

 いや信じてないけど、と思いながら木枯は言葉を続けた。

「彼を助けたいなら資金の流れの全貌を明らかにする必要がありますね。その線に彼を陥れようとする勢力が存在する可能性が」

「私、やります。絶対にやり遂げて見せます」

「……素晴らしい。ご理解頂けて何よりです」

「私の愛であの人を救ってみせます。そうしたらきっと振り向いてくれますよね?」

「ええ、きっと振り向いてくれますよ」

 どちらに振り向くかは言っていない。おそらく反対方向に振り向いて逃げ出すであろう。

「早く私を部屋から出してください。すぐにあの人のもとに駆け付けたいんです」

「課長に情報を渡してからね」

「はい‼」

 かくして明石は今名小夜という天才を使いこなす術を得たのである。

 それはそれとして。

「木枯……お前クズだわ」

「ええっ」

 他に方法がないでしょう、と弁明するが時すでに遅し。

 木枯東風は女の敵として上司ならびに同僚に認知されることになった。

 この物語はそんな天才ヤンデレ諜報員今名小夜と、彼女を取り巻く昼夜逆転防犯課員の物語である。



「はい、あーん」

「……」

「どうしてあーんしてくれないんですかあ?」

「諜報員の料理を食べるやつがいると思うか?」

 なんで素直に食べると思ったんだろう。

「私のことを信じて下さらないんですね。わかりました。じゃあ小夜がまず毒見します。そしたら召し上がってくださいますか?」

「いや食わねえけど」

「口移しではだめですか?」

「だからなんでそれなら食べると思ったの?」

 浦見竜一|(通称ベル)がアジトに逃げ込んでから一週間がたった。

 今名小夜とかいうこの捜査官が車に乗り込んでいた以上、もはやこれまでだと思ったが。

 アジトにはまだ内務省の人間が来ていなかった。

 ということは、彼女の言葉は嘘ではなかったということか。



 あの夜、逃走車に小夜が乗り込んでいることに気づいたとき。

 ベルは小夜を始末すべきか迷った。

 もともと女性に手は上げない主義である。だが、相手はスパイだ。スパイならば例外とすべきか。いや、しかし……

「アジトまで連れて行くわけにはいかん。この車を降りろ」

 そう言って銃を突きつけた。

「お前にアジトの場所を知られるわけにはいかん」

「でも小夜はもう竜一さんのお宅を知ってますよ?」

「やはりか。どうやって掴んだかは知らんが、それならここで……」

「小夜を殺しますか?」

 ベルが言いよどんだ言葉を小夜はにべもなく言った。

「素敵……竜一さんに殺されるなんて……一緒のお墓に入りましょうね」

 自爆用の爆弾でもくくりつけてるのか?

「小夜は竜一さんのアジトを誰にも言いません。それこそ防犯課の人間にも。だから私を竜一さんのおうちに連れて行って……」

「防犯課は手癖が悪い。防犯の名のもとに違法行為を平気でやる連中だ」

「信じてください、拷問されても言いません! 小夜は、竜一さんを裏切るくらいなら死にます」

「俺のためなら死ねるってか。ならここで引き鉄を引いても……」

「その時は竜一さんと二人きりで死ねるということです。小夜は幸せです、何も思い残すことはありません……」

 小夜は上着を少しめくってみせた。案の定、そこには爆弾が巻き付けられていた。

「……シリアスなところ悪いんすけど、二人きりで死ねるわけじゃねえですからね? あっしもいますからね?」

 さすがに空気扱いで自爆に巻き込まれるのは御免こうむりたかったのか、ガロンこと酒場寅彦が口をはさむ。

 瞬間、ガロンは軽率に口をはさんだことを後悔した。毒蛇が怨念と憎悪を煮詰めたような眼差しに射抜かれたからである。

「何ですか。あなたが私たちの関係を邪魔するんですか」

「邪魔はしてねえです……」

「ドロンさんは存在するだけで邪魔なんですよ。わかってます?」

 理不尽すぎるだろ。あとドロンじゃなくてガロンね?

 小夜は急にしおらしい態度になって、甘える猫のようにベルに身体を寄せる。

「竜一さん……私、この人嫌いです」

「……」

「へ……へへへへへ。どうもあっしはお嬢さんに嫌われたようで。じゃあそろそろお暇を……」

「ま、待て! 俺を置いてかないでくれえええ‼」

「いくら旦那の頼みでもそれだけは聞けません‼」

「な、な、な、小夜ちゃん。俺んちに来てもいいぜ」

「ほんとですか?」

 ぱあっと小夜の顔が輝く。一瞬スパイであることを忘れ、抱きしめたくなるほどのかわいらしさである。

「だ、だが、ひとつだけ条件がある。ガロンは俺のマブダチなんだ。こいつもアジトに連れていく」

「勘弁して下せえええええ‼」

「ベロンさんは嫌がってますけど……」

「ここここいつは俺のマブダチだ! こいつなしじゃ俺はやってけねえんだよお……」

 嘘だ‼ 仕事にしくじったときは「てめえの代わりなんざいくらでもいるんだよ」とか言ってたくせに!

 だが、ガロンはそこではたと気づいた。

 今、ベルはとんでもないセリフを口にしてしまったのではあるまいか。思い切り地雷を踏まなかったか?

「誰が……」

 小柄な小夜の背後から闇の伽藍が立ち上る。地獄の亡者を串刺しにして火あぶりにしてもこういう怨霊は生まれないだろう。

「誰が……誰なしじゃやっていけないですって……」

 あっしに飛び火させるなと叫びたかったが声が出ない。自分では声を出しているつもりだったが、聞こえてきたのはひゅーひゅーという気道を空気がかすめる音。

「バロンさんは……竜一さんの何なんですか……竜一さんには私がいれば十分なのに……」

 なぜ声が出なかったのかが分かった。首を絞められていたからだ。

「答えてください……竜一さんに必要なのは私だけですよね……バルンさんもそう思いますよね……?」

 おっしゃる通りでございます、バルンめに何の異論もございません。そう答えたかったが声が出ない。首を絞められているからだ。


 目を覚ました時、ガロンはアジトの布団の中だった。

 そして、薄目であたりを伺い……今名小夜の姿を認めると、寝たふりをしていた方が賢明であるとの結論に至った。 



 それから一週間、たしかに内務省の人間は来ていない。だから彼女はベルとの約束|(一方的だが)を守っている。同僚にアジトの在処を伝えたわけではない。

 伝えていたら、とっくに防犯課の職員が来て、ベルとガロンを逮捕していたであろうから。

 だが、逮捕されていた方がよかったかもしれない。

 刑務所の中の方がまだしも自由であったかもしれない。 

「竜一さんはあ……どんなお料理がお好きですかあ?」

「俺は食い物の好き嫌いは言わない方なの……」

「ふふふ、そういう硬派なところも好きです……でも小夜は知っていますよ。竜一さんのお好きなお料理……」

 ですよねー。もう今更驚かないよ。

「お義母様のおつくりになったハンバーグですよね?」

 絶対に漢字が違う。声だけだけど絶対に漢字が違う。

 子供っぽい味覚なのが恥ずかしくて仲間には「そばが好きだ」とか言っていたが、バレバレである。

 ところでガロン。

 寝たふりをしているのは分かっている。そしてそこで俺の好きな料理を知って笑いをこらえているのも分かっている。

 怒らないから、会話に加わってくれ。

 一週間ずっと寝たふりはさすがに無理があるだろう。時々ゾンビみたいに起き上がって、空気と化して軽くカップ麺だけすすり、そそくさと寝たふりか。てかそろそろ風呂に入れ。臭うぞ。

「なんか生ゴミの臭いがしますね……生ゴミさん、はやくお風呂に入ってきて下さい。私と竜一さんの生活を穢さないで」

「……へい」

 ガロンは立ち上がってのろのろとドアの方に向かい……消えた。

「これで二人きりですね……いや、もともと二人きりでしたけど」

 この子、自分が何を言ってるか分かっているのだろうか?

 今名小夜。

 確かに美人だ。やや小柄だが割と好みのタイプかも……と思い、たぶんこっちの好みに合わせたメイクをしているのだろうと勘づいた。こいつならやるだろうという気持ちしかない。

 それだけ尽くす女なら都合よく利用してもよいのだが、そういう気にならない。ナイチだからではない。そういうのとは関係なく、ひっかける気にならない。

 端的に怖すぎる。端的に自由がなさすぎる。


「お料理もお洗濯も全部小夜がやりますからね……小夜は竜一さんに尽くすことだけが生きがいなんです」

「いや、今は男女平等だから……」

「たしかに今は男女平等の時代です。でも私と竜一さんは違います。私が一方的に尽くすの……尊敬してます崇拝してます信仰してます」

 信仰までされたのに嬉しくない。最後は磔になる予感しかしない。

「俺のどこを尊敬してるの? ……信仰してるの?」

「全部です」

「その答えは禁じる」

 そう言うと思った。もう予想ができている。

「では……列挙しましょうか」

「ちょ、やめて」

「目、口、鼻、耳、額、頬……の形、色、質量、香り、成分がそれぞれ好きです。髪の本数もたまりません。爪が好きです眉が好きです腕と足の長さ太さが完璧です。猫背の姿勢と角度が好き……今みたいに小夜から目をそらすのも好きです」

「やめてくれ……」

「震えてるお姿がたまりません。お洋服も素敵……保存して家宝にしたい。喉ぼとけだけを一日中見ていても飽きません。指だけを一日中はむはむして過ごしたいです。指と指の間の水かきも好きです」

 恥ずかしくなってきた。これどんな羞恥プレイ? 

「性格の方はもお……」

「もうやめてえええええ‼ 俺は犯罪者なんだああああああ‼」

「カッコつけてるのに意外と優しいところ。権力が嫌いなところ。仕事に厳しいところ。ご家族と仲が悪いところ。ボスに頭が上がらないところ、笑い声、猫好きなところ、天気予報を毎朝見るところ、意外とごみの分別をちゃんとするところ、舌打ちする癖、お風呂で必ず右足の膝から洗うところ、発泡酒が好きなところ、ハンバーグ好きなのにそば好きと偽る見栄っ張り、困ると髪を触る癖があるところ、怒ると睨みつけるところ、私のことを愛して下さるところ……」

 最後のを除いてかなり正確に自分の性格や嗜好を把握されている。最後のだけは明らかに間違いだが。

「何もおかしなところはありませんよね?」

「はい、ございません」

 俯いていたところ膝下から覗き込み視線を合わせて同意を求められる。思わず同意してしまった。

「……仕事。仕事に行かなきゃ……いくらお前でも俺の仕事を邪魔したら容赦しねえぞ」

 あまり効果はないだろうなと思いつつ言ってみる。これで引き下がるタマではない。それなら苦労はしていない。「私と仕事のどっちが大切なんですか私ですよね?」とか問い詰めてくるに相違ない。その時断れる自信がない。そんなことをしたら命が危ない。

「……お仕事。竜一さんのお仕事……」

「そうだよ。後ろ暗い仕事だけど俺にとっちゃ大切なんだよ悪いか」

「悪くなんてありません! 小夜が竜一さんのことを否定するなど天地がひっくり返ってもあり得ません‼ 竜一さんの思想、主義、決定、決断、判断、選考、意見、推定、推測、考察、命令、選択、信条、信仰、信念……それらはみな定義的に正しいと思います」

 定義的に正しいときた。

「小夜が竜一さんのお仕事を邪魔するはずがありません……どうして信じてくれないの」

 ところで今更気づいたが、一週間も仕事をほっぽり出したのにどうしてボスの連絡が来なかったのだろう?

「竜一さんのボスさんも始めは激怒していらっしゃいましたが、すぐに考えを改めてくださいました。竜一さんに有給を下さったんですよ。当然ですよね、竜一さんが小夜と過ごしたいと言ったのなら組織は有給を出す義務があるのですから」

 そんなこと言った覚えはないし、組織に有給を出す義務があるとも思えない。

「安心してください。ボスさんの弱みは既に小夜が握っています。今後は竜一さんが好きな時にボスの口座からお金をおろしていいそうですよ」

 やっぱりね……すみません、ボス。長年の恩を仇で返してしまいました。

「そんなことより……そろそろ小夜を召し上がりませんか? 同棲して一週間なんですし……」

「いやそれは」

 正直欲望を感じるけど怖すぎる。何をされるか分かったものではない。だが断れば命がない……

「お嫌、ですか?」

「いやそういうわけでは」

「小夜と結ばれることがお嫌なんですね」

「いやその」

 表情に出ていたのだろうか。いや、一週間共に過ごして分かったことだが、この女は表情になど出ていなくても人の心を読む。

「ゴロンさんと結ばれたいんですね」

 いやそれは違う。同性愛を否定する気はないがそれは違う。

「小夜には何が足りないのでしょうか? 見た目ですか性格ですか? 教えていただければ明日にも直します。あなた好みの身長体重体型性格になります」

「そんなにコロコロ姿も性格も変わったらもはや妖怪だろ……」

 もしかしたらできるのかも。諜報員なら変装とか得意だろうし。

「では何が足りないのですか」

「いや、足りないんじゃなくて多すぎるんだよ……」

「何が……」

「……」

 言葉にするのは恥ずかしいが。

「その……あ、愛が」

 死にたくなった。誰でもいいから自分を射殺してくれと思った。

 ガロン、風呂から上がったら俺を殺せ。


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