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ヤンデレ諜報員小夜  作者: くまたろう
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第一話 ヤンデレ諜報員小夜

「小説家になろう」様には初投稿となります、くまたろうと申します。


日頃より妄想していたコメディをライトノベル作法研究所様に投稿させて頂き、せっかくなのでこちらにも投稿させて頂きました。


 無反応か酷評かと怯えつつ投稿しております。


 お好きな一章だけでもご笑覧いただければと思います。


ご感想・ご批評等ございましたらお気軽にどうぞ! 心より感謝いたします。

ブクマ・ポイント評価まで下さいますと大喜びです!

第一話 ヤンデレ諜報員小夜


「ベルの旦那、これが例のブツです」

「ご苦労、ガロン。報酬はここにある」

「旦那も悪い人ですねえ」

「何、お前には負けるさ……」

「いや、仕事の話じゃねえです。女の話でさあ」

「……は?」

 女?

「ベルの旦那も隅に置けない人ですね。うちらとの取引の場にまで女を連れてくるなんて。まあもらうものさえもらえば文句は言いませんけどね」

「待て、何のことだ?」

「……は?」

「俺は女なんて連れてきてない」

「いや、いるでしょう。さっきから旦那の後ろに」

 男は後ろを振り向いた。

 そこには少女がいた。

「竜一さあん……」

 男は戦慄した。この女は誰だ。そして……なぜ既に捨てたはずの俺の本名を知っている? 俺の今の名はベル……

「はじめまして、竜一さんがいつもお世話になってます。竜一さんの彼女の今名小夜いまなさよです……」

「あ、どうも。旦那の彼女さんね。でもね、一応言っておくとこの業界で他人の本名をいうのはルール違反だよ?」

 ちょっと待て。俺はこいつなんて知らんし、彼女だっていないぞ?

「すみません……私、この業界に疎くて」

 いきなり腕絡めてくるのやめてくれる? 俺、あんたを彼女と認めた覚えないからね? あと、そもそも業界に疎いならなんで俺の本名がわかるの。

 嫌な予感がした。

「旦那、これってもしかして」

「ナイチ……‼」

 内務省治安局、通称ナイチ。秘密結社や犯罪組織を取り締まる国家機関……‼

「そこまでだ」

 男の声がしてスポットライトが照らされた。

「誰だ⁉」

「竜一くん、君の予想通りだよ。内務省治安局防犯課、木枯東風こがれとうふう。そして相棒の今名小夜……」

「防犯課、あの憲法違反の……」

 疑わしきは罰せよ、人を見たらテロリストと思え、罪状は作れるを三原則とする危ない国家機関。

「失礼だな。防犯課は憲法違反じゃあない。防犯の適用範囲が広すぎるだけだ」

 それを憲法違反というのだが。

「監視はもちろん、諜報活動も防犯、みなし逮捕も防犯、先制攻撃も防犯……」

 今攻撃って言いましたよね?

「最近私は防犯という言葉の意味が分からなくなっている。ならず者ども、防犯と犯罪は何が違う?」

 その違いは区別してほしかった。

「まあいずれにせよお前はこれまでってことさ。小夜、その旦那を拘束しろ……」

 まずい、と竜一は思った。やはりこの女は内務省のスパイだったのだ。ここまでか、と観念したその時。

「はあ?」

 小夜と呼ばれた女は首を傾げた。

「どうして私が竜一さんを拘束しなきゃいけないんですかあ?」

 え?

 竜一は思わず小夜のほうを見る。小夜は竜一の腕をさらにきつく抱き寄せた。

「竜一さんは悪い人じゃありません。小夜にはわかるんです」

 東風は一瞬困った表情を見せたが、落ち着きを取り戻したのか、諭すように言葉を発する。

「……自分で証拠を見ただろう。違法薬物の密輸に関係しているのは間違いない」

「きっと何かの間違いです。小夜にはわかるんです」

「捜査は証拠がすべてだ。物証も証言もある以上、拘束しなければ……」

「そういう風に何の根拠もなく人を疑うのって良くないと思います」

「話聞いてた? 物証も証拠もあるつってんだろ! ていうかてめーが持ってきた証拠だよ!」

「小夜が持ってきた証拠なら小夜が嘘をついてるかもしれないじゃないですか」

「あんた一応うちの諜報員だよね? そいつを拘束しないなら……」


 その瞬間、あたりは光に包まれた。


「旦那、こっちです!」

 取引先のガロンが竜一の手を引く。目くらましの発光弾を投げたのだ。

「あ、待て!」

「路地裏に逃走用の車があります……」

「でかしたぞ! お前のことはボスに言っておく!」

「へへへ、今後ともよしなに……」


 まばゆい光が消散した後、東風は闇夜に消えゆく売人二人の背中を眺めていた。

「俺は待てって言ったぞ……?」

 おとなしく逮捕されてた方が絶対に本人のためになるんだけどなあ。

 


 ベルこと浦見竜一とガロンこと酒場寅彦を乗せた車は夜のハイウェイを疾走していた。既に塗装、ナンバープレートの換装は済ませてある。

「旦那、無事に逃げおおせましたね」

「お前のおかげだ。礼を言うぞ、ガロン……」

「へへへ。しかしあのバカな女のおかげですねえ……」

「まったくだ。それにしても仲間内での意思疎通すらできていないとは、内務省も人材不足だな……」

「私のおかげですかあ?」

 ベルとガロンは凍り付いた。助手席に座るベルの首に背後から手が伸びてくる。

「小夜は……竜一さんのお役に立てましたか?」

 なんで乗ってるんだ?

「うれしい……私、竜一さんのお役に立てた……」

「……」

「大丈夫ですよ、きっと疑いは晴れます。東風さんはなにか勘違いしてるんです」

 いや、あの男はなにも間違ってないと思うけど。物証と証言に基づいてまともな捜査をしてたと思うけど。てか、なんで俺が内務省を擁護してんの?

「小夜……つったっけ? あのねえ、俺はねえ……」

「うれしい、名前呼んでくれた……」

 聞いちゃいねえ。

「名前を呼んでくださったんですから結婚ですよね?」

 その論理はおかしい。悪魔との取引じゃないんだから。いや、薬物の取引はしてたけど、それでもそんな論理を振り回す奴はいなかった。

「二人っきりの逃避行……ロマンチックですね」

 竜一はハンドルを握る寅彦の顔を見た。二人きりということはこいつはカウントに入っていないということなのだが、本人は知らぬ風を装っていた。本能的な身の危険を感じたのだろう。

 このままアジトに行くんですか、と視線で聞いてくる。

 この女をアジトに連れ込むことだけは勘弁してほしかった。だが……

「どうせアジトもばれてるよ……」

 根拠はないがそんな気がした。

拙作「ヤンデレ諜報員小夜」

楽しんでいただけましたでしょうか?


楽しんでいただけた方も、つまらないと感じられた方も、拙作に貴重なお時間を割いてくださったというだけで感謝の念に堪えません。


現在続編の構想も練っておりますが、このキャラをもっと掘り下げて! ですとか こいつとこいつの掛け合いがみたい、等のご要望ありましたら感想欄までお寄せください。

確約は致しかねますが……汗


なにはともあれ読んでいただきありがとうございました。

もし感想・評価まで頂けましたならば作者としては欣喜雀躍の至りであります。ありがたく読ませて頂きます。

哀れな三文文士を救うと思って一行だけでもご感想をば!


ありがとうございました。


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