再会
偽りを耐える僕の心は、あなたの心にどう映るのでしょう。
初めてお会いした時は凄く驚きましたよ。だって、僕を怖がらない。というか、僕の心のありのままを、あなたは包む様に受け止めたもの。
誰一人として僕に干渉し、足を止めたものはいなかった。周りは己の機嫌をとるのに必死。他人の機嫌なんぞ知らんぷり。
霹靂激しく辺りは暗く。
戸を叩く音さえも遮られてしまった。僕はもっと激しく戸を叩いた。きっと雷のせいなんかでは無いのは承知していたよ。少し切羽詰まっていたんだ。許しておくれよ。
少し経つとあなたは強ばった表情で戸を開けた。
僕をキョロキョロとさがすように首を動かす。それは何か意味はあるのかい。あの時の僕はそれこそさっさと始末して帰ろうと考えていたんだよ。
だけど、少しあなたに興味が湧いたんだ。何故なんて聞かないでおくれ。言いたくない事ぐらい一つや二つあるだろう。あなたの瞳に僕は映らない。君は未知への恐怖を常に抱えて生きている様だ。
「隣に引っ越してきたものです。挨拶に伺いました。」
その瞬間あなたは、なんだそうだったのかと言わんばかりの安堵の表情を浮かべていた。
「こんな雷の中わざわざありがとうございます。」
正直少し笑ったよ。挨拶に来るものが戸をドンドン叩くかい。
「あぁ。すごい雷ですね。それでは。」
もう少し会話を続けたかったのだけど、無駄足を踏む事は宜しくないのでね。
僕はこう見えて、あっちの世界から来た人間だからね。
えっと、あっちの世界というのはこの世界の並行した世界。だけど、少し違うのは一人として同じ人間は存在していないのだよ。本当は同じ人物が平行世界それぞれに存在するのだがね。まぁそれが無くなりつつあり、むしろあってはいけないものになってきた。あなたは異常なのだよ。あっちの世界にも君がいる。どちらにせよ2人同じ人間がいることは世の中の条理に反するということなのだ。
だから、この世界の君を殺す他ないのだよ。すまないね。しかし、可笑しいな。僕が殺しを躊躇うなんて。その理由はあなたにあるのかもしれないな。それが分かるまでは生かしておこう。どうせ目が見えない小娘だ。
簡単だ。