表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤月の語  作者: あーこ
1/6

再会

 偽りを耐える僕の心は、あなたの心にどう映るのでしょう。

 初めてお会いした時は凄く驚きましたよ。だって、僕を怖がらない。というか、僕の心のありのままを、あなたは包む様に受け止めたもの。

 誰一人として僕に干渉し、足を止めたものはいなかった。周りは己の機嫌をとるのに必死。他人の機嫌なんぞ知らんぷり。

 霹靂激しく辺りは暗く。

 戸を叩く音さえも遮られてしまった。僕はもっと激しく戸を叩いた。きっと雷のせいなんかでは無いのは承知していたよ。少し切羽詰まっていたんだ。許しておくれよ。

 少し経つとあなたは強ばった表情で戸を開けた。

 僕をキョロキョロとさがすように首を動かす。それは何か意味はあるのかい。あの時の僕はそれこそさっさと始末して帰ろうと考えていたんだよ。

 だけど、少しあなたに興味が湧いたんだ。何故なんて聞かないでおくれ。言いたくない事ぐらい一つや二つあるだろう。あなたの瞳に僕は映らない。君は未知への恐怖を常に抱えて生きている様だ。

「隣に引っ越してきたものです。挨拶に伺いました。」

 その瞬間あなたは、なんだそうだったのかと言わんばかりの安堵の表情を浮かべていた。

「こんな雷の中わざわざありがとうございます。」

 正直少し笑ったよ。挨拶に来るものが戸をドンドン叩くかい。

「あぁ。すごい雷ですね。それでは。」

 もう少し会話を続けたかったのだけど、無駄足を踏む事は宜しくないのでね。

 僕はこう見えて、()()()の世界から来た人間だからね。

 えっと、あっちの世界というのはこの世界の並行した世界。だけど、少し違うのは一人として同じ人間は存在していないのだよ。本当は同じ人物が平行世界それぞれに存在するのだがね。まぁそれが無くなりつつあり、むしろあってはいけないものになってきた。あなたは異常なのだよ。あっちの世界にも君がいる。どちらにせよ2人同じ人間がいることは世の中の条理に反するということなのだ。

 だから、この世界の君を殺す他ないのだよ。すまないね。しかし、可笑しいな。僕が殺しを躊躇うなんて。その理由はあなたにあるのかもしれないな。それが分かるまでは生かしておこう。どうせ目が見えない小娘だ。

 簡単だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ