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魔王の独白

作者: とわ

初投稿です。拙作ですがお読みいただけると嬉しいです。

今回は初めてだったので試しに短編を書いてみました。

あぁ、僕はなんのために戦っていたんだろう。

5年前の14歳の時に僕は聖剣に選ばれ、王様に言われて四人の仲間たちと共に魔王退治をすることになった。

仲間達は「剣聖」「聖騎士」の男二人と「賢者」「聖女」の女二人と、強い職業であるにも関わらず、初対面の僕に対しても驕った態度を見せずにすぐに打ち解けてくれた。

国を出発する時は多くの国民にエールを送られ見送られた。

門を出る時は僕が魔王を倒せるかという不安と、魔王を倒した勇者という輝かしい未来への期待が混ざり合っていた。

ただそんな複雑な気持ちはすぐに消え去った。


街や村が1日じゃつかない距離にあると野宿をしたが最悪だった。

モンスターがひっきりなしに襲いかかってくるからろくな睡眠も取れず、食料はまずい保存食のみだった。

1日や2日なら耐えられるが、砂漠地帯に入った時は地獄だった。

水の確保は厳しい上に、7日間かけてようやく村が見つかるなんて時もあった。

そんな状態だからみんなもイライラしていて喧嘩もあった。


よく剣聖と賢者が言い争いをして、聖女と僕で止めに入り、聖騎士は一人ニコニコしながら眺めていた。

二人の大げんかで大きなクレーターができたりもしたが、今となってはいい思い出かな。


本当に色々な場所を旅した。

世界樹とエルフの集落、妖精の住まう島、ドラゴンの住処、そして魔王領。


魔王領に入ってからは他とは類を見ない強さの魔族の出現や、強い魔物が束になって襲ってきたりと大変だった。

途中で何度かごく普通の生活をしている魔族の集落を見つけた。

僕はそれを見て見ぬ振りをした、魔物や魔族は人間を襲ってくる悪だと自分に言い聞かせて。


度重なる激戦を経て、僕たちは魔王城に着いた。

魔王城の中は特に強い魔物や、その中でも別格の強さを誇る四天王と呼ばれる者達がいた。

四天王との戦いは苛烈を極めた。


あらゆる毒や兵器を扱う魔族

無限かと思えるほどの魔力を持った魔族

ドラゴンと素手で渡り合えるほどの怪力を持った魔族

始祖の直系にあたるヴァンパイアロード


そんな強敵たちをなんとか倒し、僕たちは魔王の元にたどり着いた

魔王は知恵、魔力、カリスマに優れていた。

そんな魔王との戦いで、僕は仲間を失った。

回復役の聖女が死に、味方を守る盾である聖騎士が死に、賢者が死に、そして剣聖が死んだ。

四人の仲間の犠牲でようやく僕は魔王を倒した。

魔王の最後の言葉は今でも心に残っている。


魔王を打ち倒した僕はその後無事に国に到着した。

国のみんなが総出で出迎えてくれたが、僕が一人で帰ってきたことに戸惑っていたのはすぐに分かった。

凱旋を終え、僕は王様に報告をしに行った。

魔王を倒したこと。その際仲間達が全員死んでしまったこと。

王様は僕が仲間が死んだと言った時でさえ笑顔だった。

まるで仲間達の存在などどうでもいいと思ってるようで、悲しみと怒りを覚えた。

それでも悲しんでくれる多くの人たちがいてくれることを知っていたからなんとか怒りをこらえた。


こうして世界に平和が訪れたが、それもすぐに終わった。

国が魔王を倒した勇者を育てた国だと主張し、傲慢にも周らの国から搾取をしたからだ。

逆らう国と戦争が起き、戦火は他の国々にも飛び散った。

それをみて僕は絶望した。

人間の愚かさ、傲慢さ、醜さを目の当たりにして、僕の怒りは遂に最高潮に達した。

自らの国を潰した僕は再び魔王城に戻った。

今度は人間と戦うためだ。

力で魔族を従え、人間の国を滅ぼし始めると、今まで何もなかったかのように人間たちは結束して僕を倒そうとしてきた。

そこで気づいてしまった。人間には敵が必要なんだと。

争うことをやめられない生き物には明確な敵が必要だと。

僕は思った、それならば僕が魔王として君臨してやると。

死んでいった仲間たちの犠牲で得たものが、次の戦争なんだったら僕が敵になってやると。

最初聞いた時は意味がわからなかったが、こうして魔王になった今は魔王の最期の言葉の意味がよく理解できる。

その言葉を僕は胸に刻み続ける。


「人間には魔王が必要だ。」

最後までお読みいただきだきありがとうございました。よければ評価や、文章に対するダメ出しなどコメントしていただけると幸いです。

次は長編で異世界の商人のお話を描いてみたいと思っているので、書けたら多くの方に見てもらえるよう努力していきたいと思います。

次のお話はダークな感じにはならない予定です。

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