テンプレ5 アレンとセレス
目が覚めると、そこはこの四年間で見慣れた見慣れた天井だった。
そう、俺の自室である。すぐそばには、心配した様子で俺を見守る両親が。あ、セレスがちょっち泣いてる。
心配してくれるのは嬉しいが、泣かれるとちょっと反応に困るのだるが。
「グレン!」「大丈夫か!」
セレスとアレンがほぼ同時に俺に話しかける。
「どこか痛くない?私たちの事覚えてる?」
「お前どうしたんだ?儀式が終わった瞬間に倒れたらしいじゃないか。」
そうだったのか、俺はあの後気絶していたらしい。
「大丈夫だよ、父さん、母さん、痛いところもないし、忘れていることもない。」
事実おかしなところはない。ちゃんと神は俺の意識を戻してくれたらしい。
そして神との約束を思い出す。だが、おかしいことがある、神の顔が思い出せない。どのような顔だったのか、首までしか思い出せない。やっぱり神の素顔とかは知られちゃまずいんだろうか?
まぁ、いいだろう、俺はこの前の決意を一回捨てる。
(自分の身が守れる程度じゃダメだ。
せめてこの世界で一番強いくらいじゃないと。
神がわざわざチートな力を与えてお願いするくらいだ、それほど魔王は強いのだろう。いくらチートなスキルがあったとしても、それだけじゃ魔王には勝てないだろう。せめて、経験を積んでおかねば。
「それにしても、お前は本当にすごいな!流石俺とセレスの子だ」「え?」
どういうことだ?俺は何もすごいことなんてしてない。ただただ気絶していただけだ。
「そうか、お前はまだ知らないか。いいか?スキルには戦闘系と非戦闘系がいるのはわかるな?」
「うん」それぐらいは『解明の儀』の前に聞かされた。
「そして、スキルには実はもう一つ種類がある。それはエクストラスキルというスキルでな、エクストラスキルはそれはもう強力なスキルらしい。だが、強力故にエクストラスキル保持者は十万人に一人十言われている。そしてこの国にはエクストラスキル保持者はいない。つまり、お前はこの『グランゲイル王国』でただ一人のエクストラスキル保持者というわけだ。」
ものすごい速さで語りだしたアレンをセレスが諌める。
「こら、グレンはまだ四歳なんだからそんなことわかるわけないでしょ。」
呆れた、という様子のセレスは俺を抱きかかえる。
(もう本当のことを話してしまおうか)何を話すのかは決まっている。
俺は、あなたたちの子供ではないということ。
本当のことを話したら、やはりこの二人は傷つくのだろうか。
(だけど、いつかは関わらないとといけない問題だ、この際、開き直ろう)
「父さん、母さん、話があるんだけど、」
いつもの子供の真似をした呂律の回ってない言葉とは違った、真剣な声にアレンもセレスも顔が引きつる。
「実は、俺、、、、、、」
それから、いろんなことを話した。俺は、あなたたちとは違う世界で、生きていて、死んでこっちの世界に来たということ、向こうの世界のこと、そして俺はあなたたちの本当の息子ではないこと。
「、、、、」「、、、、」
アレンとセレスは黙って聞いていた。
だが説明が終わると、アレンが口を開いた。
「分かった。だが、一つ聞きたい、お前は俺達のことを親と思っていたか?」
「え?」
「だから!お前は俺らのことを親って思っていたのかって聞いてんだ!」
初めて聞いた、アレンの怒鳴り声に俺はビビった。
「アレン!」
「うるせぇ!セレスは一回黙ってろ!」
おそらくセレスもこんなに怒っているアレンをあまり見たことがないんだろう。アレンが怒鳴ると瞬時に黙る。 俺も、あんなに俺のことを心配してくれたアレンがこんなに怒っていることに、動揺を隠せないでいた。まぁ当たり前の反応だろう、自分が今まで育ててきた赤子の中に赤の他人が入り込んでいたのだ、誰でも怒る。なので、俺は素直に謝ることにした。
「ごめんなさ「待て」、、、え?」謝罪の言葉を述べようとしたところで急に静止の言葉がかかることに驚いて、俺の口は止まった。
「一つ聞くが、お前は何に謝ろうとしているんだ?」
「え?そんなのは今までに四年間だましてたことについ「はぁぁぁぁ」、、え?」
「お前は俺が何について怒っているのかを、勘違いしている。俺はお前が俺たちをだましていたことに怒っているんじゃあない、大人を子供うちに騙すなんてことはよくあることだ、俺もしていた。だから、俺はそんなくだらないことで怒っているんじゃあない。」
そんあくだらないこと、その言葉で俺の心にあったおもりが落ちた感覚があった。
「俺は、そんなくだらないことでお前を恨むような薄情者だと思われていることが無性に腹が立つ。
確かに俺は仕事で家を空ける時間が多いし、お前に信頼されなくても仕方ないかもしれん、だが、それでもお前のことを大事に思っていたつもりだし、これからも大事に思うつもりだ、お前が前世の記憶を持っていようがそんなことは知るか、お前は!」
「俺の息子だ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺は涙があふれていた。
異世界に来た時からか感じていた疎外感やアレン、いや、父さん達に対する申し訳なさなどの感情が一気に吹っ飛んだ。
その日、俺は両親の腕に中で、大声で泣いた。
こんにちは、白佑です!
今回の5話はちょっと感動系を書いてみたんですけど、面白いと思った方は、感想とブックマークをお願いします