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ロウとマオ 〜最強仙術使いと最弱JDの異世界放浪譚〜  作者: にしだ、やと。
第9話 世界渡りと異界、そして私のこれから
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そんなすごいものを私に……

「お主には一つ、依頼を受けてもらいたい」


 私が決意を新たにしていたところで、グラードさんがそう言った。

 どうやら私を呼んだ用事はスマートフォンを見せるだけではなかったみたいだ。

 むしろこっちが本命、かな?


「依頼ですか?」

「依頼内容は単純だ。

 この未知の道具、携帯型連絡器であったか?

 これが見つかった異界へ行き、調査を行ってほしい」


 おお?

 それってつまり侵入禁止区域って言ってた異界だよね?

 そんなすごいところに私が!?


「無論、危険はある。

 強制するつもりはないが、お主も自身が冒険者であると自負するのであればぜひ受けてもらいたい」


 いやそれ強制してるようなものですから。

 まあ別に行く気満々だからいいんだけどね。


「それに、お主にとっても利のある話ではあるだろう」

「え? そうなんですか?」


 確かにさっきライラと一緒に研究しようって意気込んだけど、それとこれとは別の話だし、侵入を禁止するほどの区域に行くことで何か私に利があるとは思えない。

 どうせ見つけたものはグラードさんに全部流すことになるだろうからお金も期待できなそうだし……なにがあるんだろう。


「この依頼を受けるのであれば、お主にこれを与える」


 そういってグラードさんが取り出したのは、一通の書状だった。

 特に封がされてるわけではないから、誰かからよこされた手紙ってことではなさそう。


 目線で確認すると、中をみてよさそうな雰囲気だったので、開いて中身を確認する。

 そこにはこう書かれていた。


『特殊認可状

 冒険者組合本部、ならびに冒険者組合総長の名において、以下の者の等級を次の通りに定める。


 冒険者 マオ 認識番号 ------

 等級 特級


 冒険者組合本部

 冒険者組合総長 グラード』


 そこに書いてあったのは私に『特級』なる身分を与えるということ。

 きちんと冒険者組合の正式な押印もされており、グラードさんの紋章も押されている。

 誰がどう見ても偽物を疑う余地がない。


「え? これってつまり……」

「この等級は、儂の指示によって直接動く冒険者のみに与えている。

 そしてその権限はアダマンタイト級に匹敵し、国内の全ての異界に自由に出入りすることが可能だ。

 お主は自身の冒険者としての実力不足に悩み、隣の男と共に冒険できないことを不満に思っていただろう?」

「そんなすごいものを私に……。

 確かにそれなら依頼を受けるのは私にとって充分すぎるほど利益のあることになりますね」


 そうか、ライラからそのへんの情報も伝えられてたのか。

 これは上手く利用された感があるけど、願ってもないことだ。

 利用されようがなんだろうが、そのこともこっちが利用してやればいいんだから。

 調査は私もしたかったし、その上特別な身分まで与えられて、ロウ君と一緒に念願の異界探索に出られるようになる。

 一石三鳥だ!


「ま、もちろんこれを出すには条件もあったけどね〜。

 マオ、ボクに感謝するんだよ?」

「ん? 条件?」

「どんな場所においても自身を守れるだけの充分な実力をつけること。

 これが条件だ。

 さすがに本当に無能な者にこの等級は荷が重すぎるからな」


 あ、そういうことか。

 さっきライラがちらっと言ってた「精霊術を身につけられなかったらここにくることはなかっただろうね」ってのはこの話だったんだ。

 私が精霊術っていう身を守るための術を身に着けたからこそ、危険の多そうな異界に送り出しても問題ないと判断してもらえたってことか。


「それで、どうする? 依頼を引き受けるか?」


 それについてはもうとっくに答えは出てる。


「依頼、引き受けましょう」

「感謝する」

「そうこなくっちゃ!」




 ◆ ◆ ◆




 その後は軽く依頼内容について詳しく話してもらったり、私の方からスマートフォンについて具体的に説明したりした。

 スマートフォンの説明にはグラードさんとライラだけでなく、ずっと空気でしかなかったロウ君も結構反応を示していたのがちょっと面白かった。

 通信の原理が仙術でも上手く使える気がするとかよくわからないことを言ってたけど、彼には一体何が見えているんだろうか。


 帰り際、そういえば異界の調査が終わったらどこに報告すればいいのかと思って聞いてみると、グラードさんはこんな事を言ってきた。


「ライラに言えばここに連れてきてもらえるだろう。

 秘密の依頼であるから上の受付は通さなくて良い」


 ふーん、ライラに言えばいいのか。

 なんて軽く流しそうになったけど、そういえばライラはこの部屋に扉を開けることもなくいつの間にか侵入していたんだったと思いだして、ちょっと固まってしまった。


「もしかしてライラって、空間移動とかできたり……する?」

「うん? 転移のことを言ってるならできるね。

 こんな感じで」


 そう言ったライラが手を振ると、彼女の目の前に別の空間が()()()()

 私達の屋敷の敷地内が穴から覗いて見える。


 やばい、ライラまじやばい。

 ファンタジー世界だしこういうのもあるかとかって流してもいいところだけど、この世界水準でもライラは明らかにやばいことやってる。

 だってこの術が広く普及してるならここまで移動が不便なわけないし、そもそもあのクル山脈の仙人でさえ自分一人で転移するのが精一杯とか言ってた。

 つまり、転移は全く当たり前じゃないし、人間やめてるような人でさえ制限つきでしか使いこなせない。


 一方ライラのこの術は……明らかにライラ以外も通れるようになってる。

 いや、もう驚くのはやめよう。

 ライラはきっと例外中の例外ってやつだ。

 完全なるバランスブレイカー、チートキャラってやつだ。


 とにかく、これでグラードさんにはいつでも会いにこれるようになったから、今日のところはもう帰ろう。

 ロウ君が転移術の仕組みについてとても興味津々になってるけど、引っ張って連れて帰ろう。


 異界には明日にでも早速行こうかな。

 だから今日のうちに解体所の方に連絡入れて、素材は市場に流さずに全部一旦本部に売ってもらうことにして、あとは普通に必要な道具を買い揃えて。


 よし、頑張ろう。


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