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ロウとマオ 〜最強仙術使いと最弱JDの異世界放浪譚〜  作者: にしだ、やと。
第6話 二人の距離と新たなる選択肢
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よし、まずは手順をおさらいしよう

「よし、早速やってみよう」


 その日はするべきことも特になかったので、午後から魔術の実践訓練を始めることにした。

 王都でレイン先生に教わってから、教本を頼りに理論についてはコツコツ勉強していたんだけど、まとまった時間が取れなくて実践はこれが初めてだ。

 コツを掴むまでが大変、みたいなこと書いてあったしここでスムーズに成功できたらいいなあ。


「よし、まずは手順をおさらいしよう」


 ええっと、魔術を実行する時は『呪文』を『詠唱』すればいいんだよな。

 で、このときなるべく起こしたい現象を明確に意識して頭の中に描いておくことが重要である、と。

 あとは接続する精霊も決めないとかな。


 今回はとりあえずなんでもいいから魔術が実行するのが目標だから、発動する魔術は一番簡単なものを。

 規模も小さくていいから精霊は発動したい魔術が使えるやつのなかでも一番小さいやつが無難かな?


 とすると、使う魔術はこの『クリエイトウォーター』がよさそうかな。

 魔術には5級から1級までの等級が割り当てられていて、一番簡単なものは5級。

 クリエイトウォーターはもちろん5級魔術だ。

 その名が示すとおり、水を生成するだけというシンプルな魔術。

 シンプルだけどこれが使えるだけで飲み水に困らないだろうし、使い方次第では攻撃にも使えそうだから馬鹿には出来ないね。


 さて、使ってみる魔術は決めたから呪文を確認しよう。

 ええっと……一番弱い精霊につなぎたいから接続文はこうなって……。

 クリエイトウォーターの基本宣言はこうで……。

 終了処理と実行宣言は標準のものでいいから……。


 ===

 axe => waer tin spie.

 水の小精霊に接続する。


 gen waer.

 水を生み出せ。


 af dic axee.

 終了後、接続を解除する。


 exec magia.

 魔法を実行する。

 ===


 こんな感じかな!

 このたった4文を組み立てるだけでも、魔法言語の習得が必要だからすごく大変だった。

 正直不安だらけだから誰か先生をつけて確認してもらいたいところだけど、心当たりがないから今はこれであってると信じるしかない。


 あとはこれを詠唱すればいいはずだけど……。


 初学者が実践する上で躓くポイントが、この詠唱という過程らしい。

 詠唱とは魔力を言葉にこめて発する技法のことで、魔力制御に不慣れだとこれがなかなかうまくいかないとか。


 正直魔力制御ってどうすればいいのかわからない。

 というかまず私はこの世界の人じゃないし魔力なんてものを一切感じられないんだよね。

 うーん、レイン先生はなんていってたかな……。

 胸のあたりに意識を向けたらなんとなく感じられる、だっけ?


 ちょっと目を瞑って探ってみよう。

 胸のあたり……胸のあたり……。

 手で触ってもやわらかいおっぱいの感触しかない……。

 うーん、心臓がどくどくと脈を打ってるのはなんとなくわかるけどなあ。

 そもそも私は本当に魔力をもってるのかな?

 持ってなかったら絶対にわからないけど……確かめる方法ないし。


 あ、そうだ。

 たしか魔石を割ったら魔力が放出されるはずだから、それを感じ取れるか調べてみよう。

 確実に魔力が出ていればあとは私が感じ取れるかどうかが問題になるし、うまくいけば魔力ってものの感覚をつかめるしね。


 一度部屋に戻って、魔石と魔石砕き器を持ってくる。

 これでぱりんと割って、と……。


 魔石は外側こそ黒いものの、内側からは何かしら色づいた光が漏れ出てくる。

 どういう原理なのかはいまいちわからないけど、魔力が残っているうちは光っていて、魔力が完全に放出されると光が消えるらしい。

 なので光っているうちは魔力が放出されている、と考えられる。


 あとは光っている間になにか感じ取れればいいんだけど……。


 割った魔石を握ったり、手から放したりを繰り返して、その違いを探ってみる。

 うーん、なんとなく温かい感じ……?

 握ってるとたしかに何かが流れているような気がしないでも……でもこれ単なる思い込みとも取れるし……。

 むむむ、難しいな。


 いや、でもこれが魔力だと信じよう。

 それでこれに似たような感覚が胸のあたりで感じられないか、集中してみよう。


 ……。


 …………。


 ………………。


 うん、わからん!

 わからんしちょっと詠唱は別のアプローチで考えてみよう。

 こういうときこそ日本で培った知識と私の頭脳を活かすべきだ!


 えっと、なんで言葉に魔力をこめないといけないんだったかな?

 確か勉強中にまとめたノートに書いておいたような……。

 あ、あった!

 えーと、『通常の発声だと実行体に届かないから魔力で伝達する必要がある』って書いてあるな。

 なるほど、どこにいるかもわからない精霊に呼びかけたところでその声が届くわけがない、と。まあたしかにそうだよね。


 お、その後にもなんか書いてあるな。


『→つまり空気の振動自体には何の意味もないのでは?』


 これは当時の私の考察っぽい。

 確かにこんなこと考えたような覚えがある。

 でもそのあとはそれ以上深く考えなかったのかな。

 うーん。


 あ、まてよ。

 この考察を元に考えてみたら、そもそも言葉に魔力をこめるっていう表現って間違ってるんじゃ?

 言葉って要するに音波、ただの空気振動だし、無限遠まで届くわけがない。

 そんなものに魔力をこめたところで相手に届く保証ないよね。


 ってことは言葉を発するのは単純にそうしたほうが人にとってわかりやすいから?

 もしくは声が空気振動ってことを知らずに言葉は口に出すものって盲目的に考えているとか?


 うん、そう考えていくとちょっと話は変わってくるね。

 言葉を発するときだって結局の所一度は頭の中で考えてるはずだから、実際に魔力がこめられてるのは脳内に描いた言葉……つまり()()と呼べるものなんじゃないか?


 お? これいける気がしてきた。

 つまり詠唱=テレパシー理論だッ!!


 いまだに魔力ってのがよくわからないけど……こう、思念を飛ばす感じで……魔法言語を意識して……。


(axe => waer tin spie.)


 その言葉を強く念じた瞬間、電気が走るような感触があった。


 ――あ、なんか()()()()


 そして、魔術を完成するべくさらに続けていく。


(gen waer.)


 誰かが応えてくれるような感覚。

 反応は小さいけれど、やってやるぞという気持ちが伝わってくる。

 私も彼に向かって、求めるモノを伝える。

 直径10cmくらいの、手頃な大きさの水球。


(af dic axee.)


 あとは実行を宣言するだけだ。

 魔力のことは結局わからなかったけど、きっとこの術式が勝手にうまくやってくれるだろう。


 さあ、最後の一文を念じよう!


(exec magia!)


 瞬間、私の中から何かが抜け出ていき、誰かの元へ飛んでいくような景色が見えた気がした。


 ああ、これが魔力を受け渡すってことなのかな……。


 そうしてそれは目の前で何かを生み出そうとして――。


 私の意識は暗転した。


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