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プロローグ
一目ぼれ、って本当にあるのかもしれない。
昔の私なら「顔だけで判断するなんてバカみたい」と思っていただろう。
でも、違った。君だけはほかの人と違った。
顔だけじゃない何か___。
きっと、私はあの時、君のすべてに一目ぼれをしたんだと思う。
☆
四月、新学期。
高校生になったひまりは、不安な気持ちで入学式を迎えた。
中学の友達とは学校がバラバラになってしまい、知り合いはほとんどいない。
友達、できるかな__。何度目かわからないため息をついた。
その時だった。
ある男子と目が合った。
それだけなのに、まるで時間が止まったような。体に電流が走ったような。不安で憂鬱な気持ちまで吹き飛ばしてくれるような。
言葉で表現できないような、そんな感覚。
ほんの一瞬の出来事なのに、永遠のように感じられて。
__それが一目ぼれだと気付くのは、もう少し後だったけれど。