ー沢渡宗司の場合その19ー
「やばい、もう次だ……」
昼まで準備に明け暮れていたオレたちにはこの時間はあっという間に来た。
「大丈夫よ、あんたはなんだかんだやるときはやるんだからうまくいくわよ」
姉ちゃんがオレを元気づけているこの現状を見れば今のやばさは分かってもらえると思う。
朝、調理室の冷蔵庫のコンセントが抜けており、そのため昨日まで考えてあった案から変更を余儀なくされた時よりはよくなっているのだがどうなのだろうかこの案は……
まあ、幸人がいなきゃあこの場にもつけなかったのだから、あいつには感謝しなきゃならない。ホントに幸人の奴はあの場でこんな意見を出せるなんてすごいと思う。
「やれるだけやる」
「もう自生部さんなんで準備よろしくお願いします」
そうして、待っていると次が自生部の番となっていた。
「じゃあ、段取りを改めて確認するけど、準備までは昨日と一緒で全員、最速で機材を配置した後は私と鈴ちゃんは脇にそれで、幸人はすぐに調理室に戻って調理の続きね」
「はい、了解しました」
「了解です」
そうして、鈴先輩と幸人の目は漫画の勝負所でよくあるように燃え上がっている。
「二人には一番のメインをお願いするんだけど、行けるわよね?」
「……は、い」
みなとさんも緊張しているのだろうか声が震えているように思う。
「おう、やってやるぜ」
「いい返事ね、じゃあ、改めて」
そうして、姉ちゃんは昨日の帰り際と同じ様に手の甲を上にして俺たちの前に差し出してきた。
それにならってオレたちも姉ちゃんの手の上に手を重ねていく。
「なんだかんだあったけど無事ここまでたどりつけて本当に良かったわ」
クサいことをいったと思ったが、ここにいる全員が同じ気持ちだと思う。
「じゃあ、昨日の宣言通り、失敗も成功も笑いとばしてやりましょう! えいえいおー」
『おー』
「はい、じゃあ、始まりました、体育祭、皆さんはいかがお過ごしですか?」
壁と床のみを設置した簡易的な青空の下でのスタジオでみなとさんは発表を始めた。
何故壁と床があるのかといえば、それは姉ちゃんが形から入るタイプであるため、前日までの準備の一環でオレと幸人が作らされた。また、姉ちゃんはそれだけにとどまらず、調理をするならと洋食店のコックとホールの制服を鈴先輩の手で調達しており、それを俺とみなとさんが今着ている。
映像だけを見ている人からしたら、完全にあれにしか見えていないだろうな。
「皆さんももうお気づきだと思うのですが、自生部は料理を提供しようと思います」
先ほどまでの緊張が嘘のようにみなとさんは笑顔で今日やることを説明している。
「でも、普通の調理じゃ、見てる人に楽しんでもらえないんじゃあ?」
ここでオレの初めてのセリフパートが来るが無事言えた。
良かったー、何とかなったぞ。
「そうよね、だから本日自生部は……」
まず初めにお読みいただきありがとうございます。
はい、瑞樹一です。
んー、もう二月も最終週何故に二日間他の月より少ないだけですごく短く感じるんですかね?
あー、終わんないでください……二月様
というわけでいつものようにこんなくだらないあとがきまで読んでいただきありがとうございます。
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