ー皆川幸人の場合その19ー
「もう、鈴ちゃんは何赤くなってんのよ、早く食べなきゃ私が食べちゃうわよ?」
「なんで香澄先輩が食べるんですか! 俺は鈴先輩にごちそうになったお礼にあげているんです」
どうしましょう……これは食べるべきですよね……でも、でも……
「ほら、早くしないと香澄先輩に食べられちゃいますよ」
「じゃあ……いただきますっ」
「どうですか?」
「おいひいです」
出来たてで少し熱かったため、上手く感想を伝えられなかったのですが、きっとおいしいと思います。緊張で味がわからず、もう予想でしかないんですが……
私だけこんなご褒美もらっても良かったんでしょうか?
「じゃあ、改めて、文化体育祭の案はさっきの私たちの案を実現するって形でいい?」
「意義ナーシ」
そうして本日の自生部の課外活動は終りを告げました。
案が決まってから体育祭前日まではあっという間に過ぎていった。
この十日間で料理を決め、当日の各自の動きを決め、それと同時進行で体育祭練習をやっていれば時間が過ぎるのも早く感じるのだろう。
そして、本日は体育祭の前日で今、明日の仕込みを丁度終わらせたところであった。
「仕込みも終わったし後は明日を待つだけね」
「どうなんでしょう、今になって不安になってきましたよ。なんであたしが明日調理担当なんですかー」
調理担当とは明日校庭で料理を作るパフォーマンスをする係のことで、多分自生部部員の中で一番目立
つのはみなとということになる。
ちなみに俺は明日調理室で静かに料理をする裏方調理係だ。ホントはみなとと一緒に調理をしたかったのだが、自生部で料理をきちんとできるのが俺とみなとしかいないということで花の無い俺が裏方となった。
「大丈夫よ、自生部は失敗も成功も笑い事に、そして何があってもみんながいて笑っている。それこそ自生部なんだから」
この人は相変わらずいいこと言ってんのかどうなのか……
「お前なら大丈夫だろ、中学の頃から学級委員とかやって人の前に立つの慣れてんじゃん」
俺もみなとと一緒に学級委員やってたんだけどね。
何が足りなかったのか、花なのか? 身長なのか? 俺にも花があればみなとの隣に立つことが出来たのだろうか……
好きな人の隣に立てない、なんと悲しいことなのか……
「そうですよ、きっとみなとさんなら大丈夫です」
「まあ、なんかあったら全部宗司のせいにしていいから」
「ちょっ、それはダメだろ」
そして、なんで、お前がみなとの隣なんだよ!
宗司は明日みなとの助手としてみなとと一緒に調理をすることになっている。
「おい、幸人、そんなにらむなよ……」
にらんでたとは……みなとの事となるとどうしても熱くなっちまうな。
でも、しょうがないじゃん、みなとの事気になるんだから!
「幸人がそんなに変わって欲しいなら変わろうか?」
みなとさん、僕が変わって欲しいのは宗司君であってあなたではないんですよ。
当日にむさ苦しい男二人が作る料理なんて誰も望んでいないだろう。
「いや、俺はそういうの苦手だし、みなとに任せるわ」
「そうよ、みなとちゃんは明日の為に何回も練習したんだし、幸人がやるよりきっとうまくいくわよ」
「みなとなら大丈夫だろ、俺は裏方で調理頑張るからお互い頑張ろうぜ」
まず初めにお読みいただきありがとうございます。
はい、瑞樹一です。
今日は昨日に引き続き本編の話題なのですが、すいません今日に投降した初めの文章は鈴視点で後半から幸人視点となっております。
文章の長さ的にこうなってしまいました。
申し訳ありません。
というわけでいつものようにこんなくだらないあとがきまで読んでいただきありがとうございます。よろしければ評価やお気に入り、ブックマーク、感想などいただけると嬉しいです。




