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すれ違いの恋  作者: 瑞樹一
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ー天河鈴の場合その4ー

好きなタイプは年上お姉さんです。

瑞樹一です。


 そして、幸人君は私の付き添いを見つけると安心したかのように私とは別の道に進もうとしました。


「良ければ学校まで送りましょうか?」


「えっ……」


「いや、ほら、あのー、えーっと、幸人君は遅刻しているんですし、今日入学式みたいなのでできる限り早く学校に行った方がいいと思うんですよね。うちの車なら電車に乗っていくより早く学校に着きますし、出来るならそちらの方がいいかと思ったんですけど、どうですかね?」


 唐突な私の提案を果たして彼は受け入れてくれるのでしょうか?

 これでも精一杯の勇気を振り絞ったつもりなのですが……


「いいんですか! それなら一緒に送って行っていただきたいです!」


 幸人君は私の方を向き直ると元気よくお願いしてきました。


「はい、承りました」




 その後、幸人君と私はうちの車に乗り込んで急いで学校に向かいました。

 急いでと言ってもきちんと法廷速度は守ってくれるんですけどね。


「ありがとうございました鈴先輩! では、これで失礼します!」


 車が学校の正門に着くと幸人君は急いで車から降りて校舎の方へ向かおうとします。


「はい、幸人君も急いで教室に向かった方がいいと思いますよ。去年と一緒ならあと少しで新入生の入場の時間になると思いますし」


 もう、在学生の登校時間からも三十分は過ぎていますし、新入生の登校時間からは一時間半も過ぎています。

 式にはぎりぎり間に合うと思いますけど、それでも遅刻は良くありません。


「先輩も早く行きましょう。先輩も遅刻なんですから」


「私はクラス替えの結果とか見ていくので幸人君は行ってください。一年生のフロアは下駄箱を入ってすぐの階段を上って三階ですよ。クラスは分かりますよね?」


 去年は合格通知と同時に一年時のクラスも書いてあったと思いますし、きっと教室まで教えれば大丈夫だと思います。


「分かりました! 重ね重ねありがとうございます。そういうことなら先に行かせてもらいますね。本当にありがとうございました」


 幸人君は車から降りるとお礼を述べ下駄箱まで走り出していきました。


「鈴せんぱーい、これからよろしくお願いしまーす」


 下駄箱に着くとうっかり忘れていたのかそんなことを車の中の私にも聞こえるくらいの大きな声で話すというよりは、遠すぎて叫んでいました。

 私は幸人君の挨拶と比べると小さいながらも心を込めてつぶやきました。


「はい、こちらこそよろしくお願いします」





 これが私と幸人君の出会いでした。


 あとから考えるとこの時に私は彼のことを好きになってしまっていたのだと思います。


 あの日の晩から私は彼のことを考えない日はありませんでした。


 幸人君は無事に入学式に参加できたのであろうか?


 幸人君はクラスで友達はできただろうか?


 幸人君はどんな部活動に入るのか?


 今日も幸人君はどこかで困っている人を助けているのだろうか?


 もし、助けているなら私は少しでも彼を助けることはできないでしょうか?

 私は今日も誰かを助けているかも知れない幸人君を車の中から探しながら学校に向かいます。


 そして、私はいつも彼を探しながら最後に考えることは決まっています。




 幸人君には彼女はいるのでしょうか?


 まず初めにお読みいただきありがとうございます。

 瑞樹一です。

 鈴と幸人の出会いのエピソードが完結しここから物語は動いていきます。


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