ー沢渡宗司の場合その18ー
「案何にも出なかったけど、この調子で大丈夫なのかよ?」
「へーきっしょ、まだ時間あるし何とかなるよ」
オレは今姉ちゃんと一緒に帰り道を歩いている。
結局、今日の部活動でもいい案は上がらなかった。
ホントにこんなんで大丈夫なのだろうか……
「まだ時間あるとかいうけど、もう二週間も無いんだけど……」
「大丈夫、大丈夫、一応何でも出来る様に保健所やらの申請とか機械の手配の準備とかはばっちりしてあるから」
そんなまめなことを姉ちゃんがやるとは思えないんだが……
「それって、誰がやったんだよ?」
「えっ、鈴ちゃんだけど?」
「働けよ、全部鈴先輩に任せやがって!」
こいつはいつ働いているのだろう? すべて、鈴先輩に任せやがってもう引退しても何も問題ないだろ…
「それは勘違いなんだよ宗司君、鈴ちゃんだって家の人に申請とか機材手配とか任せて、いつでも準備できるようにしてるからこれは鈴ちゃんの家の力なんだよ」
結局、それは鈴先輩が家の人にお願いしているからであってこいつがどや顔で語れることでもないんだよな。
「そういうことなら早く出展物の案決めなきゃならないんじゃないのか? 鈴先輩の家にも早く決めないと迷惑が掛かるし」
「んー、どうだろうね、鈴ちゃんの家って結構なお金持ちみたいだし、そのコネを使って借りるみたいだから、わざわざ早く決めなくてもいいんじゃない?」
こいつには常識が無いんだよな、ふつうこの場での答えは『そうなんだよ、鈴ちゃんに迷惑かけない為にも早く決めなきゃならないんだよ』ぐらいしかねーだろ。
本当にごめんなさい、世間様、うちの家族がこいつにちゃんとした教育を与えなかったばかりにこんなモンスターを作ってしまい……
でも、今更強制できないんですよ、こいつに逆らうことが出来るのがもう、うちにいないので……
「ほんと、全てのことに頼りすぎんなよ、鈴先輩だって大変なんだし」
そう、オレにできるのはこのぐらいの軽いたしなめ程度しかない。
「確かに、そうなんだよね。鈴ちゃんにもいい加減家の人に頼らないで自分で解決するすべを学んでもらわないといけないよね」
ちげーよ、オレが言ってんのはお前の事なんだよ! 鈴先輩にお前が頼るんじゃねーって言ってんだよ!
「鈴ちゃんも来年には部長になるんだし頑張ってもらわなきゃいけないんだよね」
鈴先輩が不憫でしょうが無いんだけど、何だろうこの鈴先輩に対する気持ちこれって恋? のはずねーよ、ただかわいそうなんだよ、鈴先輩がな!
マジで、誰かこいつをどうにかしてくれよ。そうだ幸人! お前ならどうにでも出来んだろ。
「鈴先輩が部長になるのって来年なのか……姉ちゃんはいつまで自生部にいるつもりなんだよ……」
「どうだろうねー、自生部は明確な引退のタイミングとかないし、言っちゃえば明日にでも引退できるんだけどさ、別にまだ引退はしないし、したくないなー」
いいよ、明日でもうお前いなくても十分やっていけるよ。
「心配な後輩ばっかりだし、まだ当分は居ると思うから安心しなさい」
こういういいことを言うときだけなんか慈愛に満ちた優しい微笑みをするのはやめて欲しい。きっと他の部員はこういうギャップにやられて許してしまうんだろうな。
まあ、俺は兄弟だしそんな攻撃一ミリたりとも効かねーんだけどな。
「そんなこと言うならもっと他の部員たちの事助けてやれよな」
「なによ、宗司は、そんなに私に甘えたいならもっと早く言えばいいのにー」
「うるせー、手をつなごうとするな、手を」
オレももう子供ではない、手をつなぐのは本当にやめて欲しい、ほら周りに噂とかされたら、困るし……
まず初めにお読みいただきありがとうございます。
はい、瑞樹一です。
最近、寒くなってきたのですが、私のバイト先は炭がいっぱい、乾燥しまくりな環境でただ、バイトに行くまでの道で苦しんでいる毎日です。
というわけで本日はこの辺で失礼します。いつもの事ながら、こんな何も書いていないような一言あとがきまで読んで下さりありがとうございます。
評価やブックマーク、感想などまっているのでいつでもよろしくお願いします。




