ー沢渡宗司の場合その13ー
「……それは……」
「……どうなのでしょう?」
「ちょっと……そんな事は……どっちだっていいでしょ」
「んー、それと宗司が私に恋してる話とはちょっと違うんじゃない?」
なんだろう今の間は……
何か触れてはいけないものにずっぽり足を踏みこんでしまった気がする……
皆川と芒原の間には何かあったのだろうか?
流石に部内で付き合っていたりしたらすぐわかるだろうし、あの噂好き、お気楽な姉ちゃんがオレに一言も話さないはずがない。
「た、確かに違うよ、もう、宗司君は変なこと、言わないでよ。私と幸人が付き合ってるはずなんか、無いよ、うん無い」
「そうだよ、俺とみなとが付き合ってるなんて……ありえ、無いよ」
二人して否定する所を見ると何かあるのだろうけど、話していて楽しいことでもなさそうなのでこれ以上追求するのはやめておいた方がよさそうだな。
「まあ、宗司が私と付き合うのもみなとちゃんと幸人が付き合うのもあり得ないみたいね」
普段はちゃらんぽらんなくせにこういう気まずい空気を率先して正そうとしてくれる姉ちゃんには好感が持てる。普段もこのくらい空気を読んでくれれば姉として好きになれるんだけどな。
「お腹いっぱいですわー」
オレたちが互いの恋愛について語っているうちに最後まで食べ終わっていなかった天河先輩も食べ終えたようだ。
天河先輩は基本的に話に入っていなかったし、食べるのは遅くないと思ったんだけど何事にもリアクションをとっていたので遅くなってしまったようだ。
「みんな食べ終えたなら、そろそろ時間だし片付けして帰りましょうか?」
「はい、じゃあ、皆一緒に!」
『ごちそうさまでした!』
そして、オレたちは食事を終えると片付けために調理室に戻ってきた。
といってもすでに調理器具の片づけは終わっているため料理を盛った皿などの片づけを行い、すぐに解散という流れになった。
「じゃあ、下駄箱までみんなで行ってそこで解散しましょうか?」
「オレとみなとは駅まで歩きですし、香澄先輩と宗司は自転車でしたよね?」
「あれ、オレと姉ちゃんはそうだけど、天河先輩ってどうなんですか?」
「私は迎えの車が来ていると思いますし、皆さん下駄箱までですね」
今日一日この人に何回驚かされるのだろうか?
お嬢様って怖いな。
「なるほど、それぞれ帰り方が別なのか……」
「なによ、宗司ってば寂しくなっちゃったの?」
「そんなわけねーだろ、やっと家に帰れると思っただけだよ。放課後学校に残って何かするなんてあんま
りないことで疲れたぜ、全く」
「でも、これからはこれが毎日になるんだから慣れて貰わなきゃ困るな」
姉にからかわれていると、前を歩く、皆川から声が掛かった。
「そうですね、これからの下校時間は毎日この時間になりますもんね」
それに続くように、天河先輩がこちらを向いてつぶやいた。
「そうね、宗司君もこれからは自生部の一員なんだもんね」
そして、最後に芒原が声をかけてきた。
「まあ、そうだな、これからよろしくな、皆川、芒原、天河先輩」
この部に入る前はこんなにも歓迎して迎えられるとは思わなかった。
考えてみれば今日の料理はオレの歓迎会も含まれていたのだろう……
姉ちゃんはそんな事いう訳ないのだが……
「ちょっと、宗司、あんたはいつまで三人の事を名字で呼んでるのよ!」
今、オレが結構いい笑顔で自生部に入ることを決意したとこじゃん、何で水差すようなこと言うんだ……
そこは空気読もうよ、いい感じだったじゃん。確かにさっきの恋の話は良い感じに空気読んでたけどさ、これでプラマイゼロだな。
「俺たちが宗司のことを下の名前で呼んでるのに何で宗司は俺らの事苗字で呼んでるんだよ」
「確かに私たちだけが一方的だとなんか宗司さんと無理やり親しくなろうとしている感じがしますね」
「ん~、別にそんな感じしない気がするけど、先輩たちが言うならそうなんでしょうね」
「ほら、三人とも呼んでほしそうにしてるし、呼んであげなさいよ」
これは呼んで欲しがっているのだろうか?
まあ、そんな事よりオレが三人と親しくなりたいと思っているのは事実だし、この機会に呼ぶのも悪くはないかもしれない。
「ほら、宗司も改めて……」
「じゃあ、これからもよろしくな、幸人、みなとさん、鈴先輩」
そうしてオレはぎこちない笑顔を作った。
まず初めにお読みいただきありがとうございます。
ここのところ閲覧数の激減に悩んでいる瑞樹一です。
なんでしょうね?
最近私自身もミスが多くなることもなるのですがクリスマスを過ぎての二日間はなぜだか閲覧数が少ないんですよね。
私自身なろうを始めたばかりなので右も左もわからないので何かあればコメント貰えると嬉しいです。
では、本日はこの辺で、ここまで読んでいただきありがとうございました。




