ー天河鈴の場合その1ー
幸人の方にも出ていた先輩の登場です!
お嬢様って憧れますよね。
私はその時まで一目惚れなんて信じていませんでした。
お父様とお母様はお見合い結婚で政略結婚のようなものだったと言いますし……
まあ、今では熱々の二人ですけど……
そんな二人を見ていると私もこのまま知らない誰かと結婚してしまうのではないのかと考えてしまいま
す。
でも、家の人達に隠れて読んでいた本には異性との出会いはとても素敵なもので、心がドキドキするものだと書いていました。
しかし、私の周りにいる男性は私をお嬢様として一線を引いて見られている気がするので私をドキドキさせてくれる人は現れないものだと思っていました。
そんな憂鬱な日々を過ごす中で皆川幸人君は私の元に現れてくれました。
それは今年の入学式の頃、私は新二年生として入学式に参加する為、県立菫ヶ丘高等学校に向かっていました。
向かうと言っても歩いて学校に行くのではなく、付き添いの運転手の方が車で連れていってくれるので私自身が歩いて行ったことは今までもこれからもないのだと思います。
その時もいつも通り車の中から学校に向かっている生徒や幼稚園に子供を連れて行っている親御さん、顔には疲れが見えながらも家族のために頑張って働こうとするお父さんたちを私が乗っている車はどんどん追い越して進んでいました。
そんな中に彼は居ました。
私のおうちから学校までは少し距離があり、その途中にある交番に幸人君はいたのです。
幸人君は体には少し不釣り合いな大きめの真新しいであろう制服を着ていたことから私が通っている高校の新入生であることはすぐに分かりました。
しかし、おかしなこともありました。
それは新入生なのにこの時間に未だにこの交番にいるということです。
菫ヶ丘高校に行くため道がわからないにしてもまだ学校の最寄りの駅までは少し距離がありますし、おかしな状況でした。
私は信号で待っている間に皆川君を見つけたため待っている間に考えていたのですが答えは出ませんでした。
そこまで考えたところで車が発進すると問題はもっと難しいものになってしまいました。
なんと私が今まで見ていた角度では見えなかった小さな子供が皆川君と一緒にいたの
です。
何で彼は交番にいるのだろう? しかも交番には泣いている小さな子と困った顔のお巡りさんまでいるなんて、はて? なんでなんでしょう?
もう、私は居ても立ってもいられなくなってしまいました。
そうなると私の行動は迅速でした。運転手さんに交番近くまで車を寄せるようにお願いすると、停車中にも関わらず車から駆け出し、交番まで走っていきました……
はじめに、読んでいただきありがとうございます。
瑞樹一です。
今日は閲覧数が増えないかと思い、それを確認する一日でした。
鈴の話は女性視点の話で続ける予定なのでよろしくお願いします。