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元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元九章 粉砕!玉砕!文化っ祭!!
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元七十一話 護身用アイテム貰ったら覚悟を迫られた気がした

一週間ぶりくらいですかね。

二作目を三か月振りに更新してたらどっち進めたらいいかわからなくなってしまって……

……こうやって作者達はエタっていくんでしょうか。二本同時にちょっと後悔。

 

「では、私は文化祭の打ち上げに行ってきますね。

 …基矢さんは本当に行かないんですか?」


 長かった文化祭も終わり、帰宅した俺たち。

 秋の日はつるべ落とし。もうすっかり暗くなっている空を背景に、リリナは玄関に立っていた。

 この後クラスで文化祭の打ち上げが行われるのだが、俺は不参加だ。


「ああ、俺はもう疲れた…リリナとジーナで行ってこい。」


 理由は俺の天使コスを見た女子にまた群がられて疲れたからだ。

 もちろんそれだけが理由ではなく、今日一日ウェイトレスをして、休憩中も家族に絡まれたからという理由もあるのだが…今感じている疲れの七割はそれである。


「私も残るよ、ちょっと疲れちゃって。」


 ジーナも大分はしゃいでたからな…

 その分エネルギーを消費したのだろう。ナースコスでこれでもかってくらいハッスルしてたし。


「分かりました、一人で行ってきます…」


 ちょっと寂しそうなリリナには俺たちのように疲れの大きな原因が無い。

 これだとリリナをハブしているみたいだが、そのあたりは許してほしい。打ち上げではしゃぐ体力なんてもう残ってない。


「あ、リリナ。

 今日は友達の家に泊まるんだっけ?」


「そうですよ。帰るのは明日の昼頃でしょうか。

 なので、夕食だけでなく明日の朝食と昼食は私の分が無くても大丈夫です。こちらで買い食いするので。」


 リリナは打ち上げの後、女子だけのお泊り会をするらしい。

 俺も誘われたが断った。ただでさえエネルギー切れ寸前だというのに、そんなところに行ったらゼロどころかマイナスに振り切れてしまう。

 そして、眠った後ももてあそばれ続けるんだろうな。


「いってらっしゃい!」


「いってらっしゃーい…」


「行ってきます。

 …基矢さん、本当にもう寝たら良いんじゃないですか?」


 言われなくてもそのつもりだ。

 夕食はカロフレです。料理の手間抜きで美味い物が食べられるとか、手抜き(カロフレパ)最高かよ。






「………」


「どうした?そんなにカロフレをじっと見つめても増えないぞ。」


「別に増やそうとしてるわけじゃないんだけど…」


 リリナが出かけてすぐ、ジーナと夕食を摂った。

 その最中に何故かジーナは夕食のカロフレをじっと見つめて動かなくなっていた。十秒くらいだろうか。


「じゃあ、足りなかったか?」


「そうじゃないけど……

 …言っちゃおうかな。」


「おう、なんか知らないけど言ってくれ。」


「実は今日の夜………ちょっと、用事があって出かけないといけないんだ。」


「え?でもさっき疲れたからって……

 …なるほど、それで打ち上げに行かなかったんだな?

 で、その用事ってなんだ?」


「え?

 そ、それは…そう!リリナと同じで、お泊り会なの!」


 怪しい。

 明らかに今思いついたような様子だ。どうやら彼女に演技力は無いらしいな。


「……じゃあ、戸締りするから出かける時は教えてくれ。」


「えっ……うん、分かった。」


「あ、それとこの前研究所に潜入した時なんだけど…」


「ここっ、この前の研究所!?」


「…そんなに驚くことか?

 あの時さ、俺貰った魔力銃壊しちゃっただろ?

 だから、代わりの護身アイテム的な物をお借りしたいんだけど…」


「な、なーんだ!そんなことか!

 大丈夫大丈夫!それなら別の魔力銃渡すから!はい!」


 ジーナが亜空間から取り出したのは………


「……お前、水鉄砲なんて持ち歩いてたのか?」


「魔力銃だよ!」


 ジーナを見てみると銃を見ていないと言う訳ではないらしい。

 だが、その手にあるのはどう見ても透明なプラスチックでできたおもちゃの銃。

 それも、水鉄砲だ。ご丁寧に水を入れるタンクまであるようだ。水遊びもできそうだ。


「この前のとは違って、見ての通り水鉄砲!しかも水を入れてればちゃんと水を撃てるよ!

 これを持ち歩いてても不審がられたりしないけど、脅迫とかには使えないね。

 もっとも、脅迫に使う程の悪意を検知したらやっぱり爆発するけど。」


「まあ、そうだよな…」


 どうやら悪意検出&爆発は標準装備らしい。

 まあ、俺としては自分の身を守れるならあっても無くても良いけど。

 …ちょっと待った。やっぱあった方が良いかも。前の時はこの機能無かったらやばかったし。


「…水と魔力の撃ち出しってどう使い分けるんだ?」


「水を入れてれば、魔力を撃ったかどうかに関係なく引き金を引けば出てくるよ!

 水だけ撃ちたいときはセーフティーを掛けてね!かけ方は前と同じだよ!」


「なるほど、じゃあ登録しとくか。」


 魔力銃を握り、魔力を登録する。


「……水ってどうやっていれるんだ?」


「グリップの下を押すと水を入れるマガジンが出てくるよ!魔力だけ撃ちたい時はマガジンを外してると良いかも!

 マガジンの予備は三つあるけど、要る?」


「一応貰っとく。」


 ガチャガチャとマガジンを付け、外しを繰り返す。

 やべぇ、テンション上がる。こうしてると本物の銃持ってるみたいだ。

 …マガジンタンク付きの水鉄砲とか聞いたことなかったけど。これも宇宙の技術の賜物か?


「ありがとう、これでまた戦える。」


「もう無いと思うけどね…っていうか、また研究所に行くことがあっても戦わなくていいよ。」


「そうはいかない。

 前に研究所に忍び込んだ時、あの場に居た誰が欠けてもジーナを助けられなかったんだ。

 俺の力だって必要になるかもしれないだろ?」


「……例え、また死にかけるかもしれなくても?」


「………」


 命が流れ、出ていくような感覚。

 霞みがかっていく意識。

 冷えていく体。

 あの時の事は今でも鮮明に思い出せる。

 瀕死という壮絶な経験は、三週間経った今でも俺の心から抜けない。

 しかし。


「…それとこれとは…別だ。

 そりゃ、あの時のことはまだ怖い。

 けど、俺が戦わなかったことで100%のハッピーエンドにたどり着けなくなるのも嫌だ。

 戦わなくて後悔するくらいなら」

「震えてるよ。」


 ジーナに言われて気付いた。

 俺は震えている。

 頬には涙の感触さえある。


「無理しなくてもいいんだよ。」


「……でも、戦うことも、戦わないこともどっちも嫌なんだ…

 できる事なら、戦わなくていいようにしたい。けど…そうは言ってられない。

 いつかまた、近いうちに何かとの戦いが始まるような気がして…」


「錯覚だよ。

 心配しすぎて、そんな気がするだけ。」


「錯覚にしては鮮明過ぎる!

 けど、確信っていうには曖昧過ぎる…」


「……あー、もう!面倒臭いなマナは!」


「……ジーナ?」


「戦いたくないし戦わないのもやだって、そんなのわがまますぎるよ!どっちか、マナがしたい方を選べばいいじゃない!」


「それが分からないんだ…」


「一回寝てから考え直せばいいんじゃない!?今すぐ結論を出す必要は無いんだから!

 それに、そもそも別に今から戦うって訳じゃないのに余計な心配する必要ないでしょ!」


「……それも、そうか…」


 …ここまで話を脱線させてしまったのも、疲れのせいだろうか。

 そうだな、疲れてる時なんてろくなことを考えない。一旦寝て疲れを癒してから考え直すのも手だろう。

 ジーナが言うように、結論を急いでいる訳ではないのだから。


「ゴメン、変な事言っちゃって。」


「いいの、元々私が変なことを訊いちゃったからだし。

 あ、もうカロフレ無いね。お休み!」


 立ち上がって部屋を去るジーナ。


「あ、ちょっと待ってくれ!」


「何?」


「出かけるのはどれくらい後だ?」


「えっと…あと1、2時間くらいかな。準備もあるし。」


「出かける時は起こしていいから言ってくれ。」


「戸締りなら、私鍵持ってるけど…」


「良いから、ちゃんと見送りたいし。」


「……分かった。」


 今度こそ部屋を出るジーナを見送る。

 さて、俺はそれまでちょっと寝ておくか……

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