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元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元九章 粉砕!玉砕!文化っ祭!!
67/112

元六十七話 会議がまとまったと思ったら仮病祈願してた

前回何事も無かったかのように始まりますよ!


 

「では、第三回文化祭会議を行います。」


 緊迫感に包まれた教室の中、文化祭実行委員の鹿井しかいが教卓に両手を置きながら言った。

 再来週の週末に来る文化祭に向けて、クラスは一丸となって――


「やっぱりメイド服だろ!」


「何言ってんの!エプロンで良いじゃない!」


「裸エプロンですかぁ?」


「サイテー!」


 ――いなかった。

 先週、テスト空けの会議でこのクラスの出し物は喫茶店と決まっている。

 その時問題になったのが制服だった。

 お化け屋敷を却下された女子生徒がお化け喫茶と言うのに対し、クラスの野郎共はメイド喫茶だと意見をぶつけてきやがった。

 当然女子は猛反発。コスプレ願望が無ければパリピ思想でもない普通の女子にとっては嫌なものだろう。


「学生のメイド喫茶は定番中の定番だ!何もおかしなことは無い!」


「それが友達はともかく親に見られるのは嫌よ!アンタの女装写真を両親に送り付けるも同然よ!」


「僕の場合は親公認だから良いけど…」


「田倉君は黙ってて!っていうか着る気だったの!?」


 田倉…お前、親公認だったのか。

 通りで女子用の制服なんて持ってた訳だ。


「田倉、カフェウェストっていうところだったらバイトの時に着られる。」


「そうなの?ありがとう!今日行ってみるよ!」


 そんな田倉に鴨木さんの告げ口が入る。

 来るんじゃねえ。俺今日シフト入ってんだぞ。


「やっぱり、お化け喫茶が一番…」


「お化け喫茶って、結局コスプレじゃない!それに、そんな服作ってる時間あるの?あと二週間だよ?」


 不穏な会話があってもクラスの会議は続く。

 確かに、コスプレの服なんて作るのに時間が掛かりそうだ。上手く作れる奴ばっかりとは限らないし、他の準備もある。看板やチラシの作成とか、実際に販売する飲食物とか。もっと早くに喫茶店をすると決まっていればな…


「それなら私にお任せあれ!

 既存の服をササッ、パパッと改造して、全部一晩で済ませてしまいますよ!」


「リリナさんが一晩でやってくれました。」


「やってもらってから言えよ。」


 名乗り出たのはリリナだった。

 アイツ裁縫やってるところなんて見たことないんだけど。大丈夫なのか?


「ですので、もし希望があればじゃんじゃん言って下さい!あ、推薦はダメですよ!キリが無くなりますから!あくまで自分が何かのコスプレをしたい場合、自分がしたいコスプレを言ってくださいね!では、各自話し合いしてください!」


「…進行俺なんだけど。文化祭実行委員なんだけど。」


 鹿井の言葉は誰にも届かず、リリナの言葉で各自大小さまざまな集団を構成して話し合い始めるクラスメイト達。

 俺の下に集まったのはリリナ、鴨木さん、ジーナ、あと達治と田倉。所謂イツメンだった。


「あんなこと言って、大丈夫なのか?」


「大丈夫ですよ。裁縫には自信がありますし、いざとなれば魔法でサササッと!」


 …コイツ苦手な物なんて無いんじゃないだろうか。

 欠点ならあるけどな。性格とか。


「魔法ってそんなに便利なのか?」


 リリナの万能ぶりもだが、魔法の汎用性が気になる。

 答えたのはジーナだった。


「体感速度を変えたり、体の動きの早さみたいなのを変えたりは出来るけど…どれだけできるかは脳の処理能力と魔力との相談になるかな。」


「魔法?体感速度?」


「気にするな田倉、頭がおかしくなるぞ。」


「世間一般では女装好きな僕のことを変態って言うと思うから、大丈夫だよ。」


「自覚はあるんだな…」


 ただ、それを恥ずかしい事と思ってないだけで。


「でも、魔力切れは心配。リリナは大丈夫なの?」


「問題ありません。私は魔力マシマシ油ニンニクですから。」


「油ニンニクどっから出てきた。」


「臭そう。」


「臭くないですよ!むしろ、華麗で美しいにおいがします!」


「略して華麗臭?」


「含みマシマシで略さないでください。

 それより、どうですかマナさん。胸の肌面積が多い衣装を来て、おっぱいお化けとか」

「ざっけんな貴様お前の衣装裸の王様にすんぞ。」


「裸の王様はお化けじゃないじゃないですか。」


「露出狂というお化けだな。

 それに、おっぱいお化けなんてお化けも存在しない。だからその殺気引っ込めてくれないかな鴨木さん。」


「無き者の怒り…貴方が鎮めてくれるの?だったらもいで。」


「痛いだろうから嫌だあっぶない!?」


 全長も無く俺の胸に向かってきた鴨木さんの手を避ける。


「チッ…」


「舌打ちすんな!」


「…真面目な話、おっぱいお化けも裸の王様も却下されると思うよ。

 ここは学校なんだよ?」


 ジーナが真面目に返答する。


「軽いジョークじゃないですか。」


「ただの軽口だ、気にしないでくれ。」


「……女子ってこんななんだな、田倉。リリナさんの人物像がぶっ壊れていくよ。」


「…今だけは達治と同じ気持ちだよ。」


 達治は田倉を二度もぶん殴ったし、田倉は一番俺に近い異性だからということで達治を毛嫌いしていたはずだ。

 そのはずだったんだが…ここまで仲良くなったのは意外だ。なんやかんやあって男の友情的な何かが芽生えたのだろうか。

 そのなんやかんやは知らないわけだが。


「っていうか、推薦が駄目なら野郎共が話し合ってても仕方ないんじゃないか?」


「そんなことないよ。僕は魔女の服頼みに来たわけだし。」


「え?やっぱりお前も着るのか?しかも魔女?」


「当たり前だよ!こんな機会でもなきゃ、コスプ…仮装なんて出来ないわけだし。」


「言い直しても変わってないぞ。」


「あ、達治もなにか着たら?」


「女装なんて御免だ!そもそも俺には似合わないだろ!」


「仮装は女装だけじゃないんだよ。吸血鬼とかがあるじゃないか。」


「なるほど…あ、むしろ吸血鬼はマナにやってもらいたいな。赤のカラコン付けてもらってさ。」


「良いねそれ!」


「俺の意見は?推薦禁止のはずなんだけど。」


 達治と田倉の会話に聞き耳を立てていたら勝手に話を進められていたので流石にストップを入れる。


「良いですねそれ!まずはネットでどんな感じか見てみましょうか!」


「サラシを巻くとなおグッド。」


「それ採用!」


「お前らも皆して乗るんじゃない。俺コスプレには参加しないからな?」


「あ、作成者権限で強制参加です。」


「…俺個人の意思は?」


「関係無いです。」


「ちくせう。」


 この後クラスメイトにリクエストを募ったが、女子たちはメイド喫茶を拒否ったこともあり、リクエストは少なかった。男どもは自分は対象外だと思い込んでた。

 女装までしようとしてる田倉を見習え。あ、ただし女装はしないでくれ。

 それでも店を回すには俺たちを含めれば充分だとリリナは言う。やっぱり俺も含められた。仮病にかかって休みたいです。

そう言えば今日バレンタインデーでしたっけ。

恋人要らない歴=年齢の私には関係ないですね。

…自分のブックマーク見てみろって?チョットナニイッテルカワカラナイデスネー

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