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元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元六章 メタルマナ ロリータ ~Zyna escape~
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元四十九話 懐かしんでたら要らないと言われた

暇過ぎて暇に忙殺されそうです。(?)

 

「お前は裏方に徹するんだったよな。具体的にはどうするんだ?」


 当初の予定としては、どこかに隠れて待機。連絡があればそれに従うというスタンスをとるつもりだった。

 しかし、今は違う。


「俺もジーナを助けに行く。

 結構戦えるみたいだからな!」


 休憩室を飛び出して先に進む。


「おい、危険だ!」


「断る!

 ここまできたんだ、俺だってジーナを助けたいんだよ!!」


 先にある階段を下っていく。


「待て!本当に死ぬぞ!?おい!!」


 もう守の声も遠い。

 不意を突けたからか、守はなんとか振り切ったようだ。


「待てって言ってるだろ!」


 ダン!と少し上で大きな音がする。

 まさか、踊り場まで飛び降りたのか?結構な高さはあるぞ?


「ちょっと待てよま…ロリータ!」


「おおおお!?」


 守は俺の目の前に降り立った。


「…もう引っ込んでろとも帰れとも言わない。

 でも、戦うって言ったのはお前だからな。守り切れなくても文句言うなよ。」


「言われなくても、自分の身くらい自分で守る。

 守に言われるまでもないさ。」


「よく言った。」


 2人で階段を下りていく。

 結構長い。まだ続きそうだ。


「地下どんだけ深いんだ?ここ。」


「さあな…地下三階分くらい降りてるんじゃないか?」


 三階分…

 それだけ掘ってまで作らなきゃならなかったのか?

 単にでかくしたいだけなら上を増やしそうなものだが…


「でっかい隠し物でもあるのか?」


「案外そうかもしれないな。

 もしくは、地下に置かなきゃならないものとかな。

 例えば…核とか?」


「核がこんな場所に置ける訳無いだろ。

 いや、日本に置けるか。持たないし持たせないし持ち込ませないってくらい徹底してるんだぞ?」


「作ってたら話は別だろ?」


「そう簡単に作れるかって。

 それに、作れたとしてもジーナをさらった理由が分からないままだ。」


「そうか、そう言えばジーナリウスがなんで誘拐されたのか分からないままだったな…」


 連中に関する手掛かりはこれと言ってさっぱり無い。

 集めてきたのは守の居場所に関する情報と侵入者の人数くらいだ。諜報としては落第だろう。

 無視してきた部屋が無いわけではなかったが、俺の戦闘力では全部の部屋を回りきる前に一度ヘマをしでかして捕まる危険が高い。だから余計な寄り道は避けてきていた。ギーナは手当たり次第入っていたらしいが。


「宇宙人だから、研究対象として捕獲したとか?」


「かもしれないな。

 早く助けないと、解剖とかされてるかもしれないぞ?」


「笑えない冗談はやめてくれ…」


「まあ、そうやすやすと解剖なんてしないだろうさ。

 せっかく手に入れた生きた研究対象をそう簡単に殺すとは思えない。意思の疎通は出来るんだし、まずは情報を聞き出そうとするだろ。」


「だと良いけどな…」


 どうあれ、早く救い出す必要があるのは明白だ。

 しばらく守と話しながら下ると、とうとう階段は終わりを迎えた。


「長かったな…地下五階分くらいあるんじゃないか?」


「……なあ、さっき上りの階段もあったんだけどさ。

 まさか、ジーナリウスが居るのが実は上だったとか」

「止めてくれ。」


 守は本当に笑えない冗談を考えるのが上手いな。

 でも、下には奴らの手掛かりがあるかもしれない。もしかしたらジーナもここにいるかもしれない。

 同じことが上でも言えるというのは気にしないで置いた。こういうのって地下の方が怪しいような気がするしな。

 銃を構えて階段の先を覗く。


「…変わった銃だな。それが秘密兵器か?」


「ああ。その上、リベレーターにそっくりだ。」


「リベレーター?」


「昔どこかの反乱軍が使ってたって言う銃だ。

 モデルになった銃の装填数は一発だけだし、不便だったと思うが魔力を撃ち出すからこれには関係ないな。リロードもサプレッサーも要らない。」


「へー…」


「…かっこいいだろ?」


「は?」


 う~む、守の反応が薄い…


「…ステルスゲームとかやらないのか?」


「いや、俺は潜入とかFPSはからっきしだな。アクションゲームとかばっかりだ。

 なんだその気の毒そうな目は。」


「……今度家来い。とびっきり面白いゲームさせてやるから。」


 20世紀最高のシナリオと評されたゲームとか。


「そ、そうか…楽しみにしとく。」


「あと、これ終わったら映画行こうぜ。yours nameって聞いたことあるだろ?

 皆で行くことになったんだ。」


「おお、それは俺も観たいと思ってたんだよな。

 もちろん、俺も行くぞ。誘ってくれてありがとうな。」


「礼は行った時にしてくれ。」


「分かった、その時は改めて礼を言わせてもらう。

 それで、見張りは居るのか?」


「居ない、ただし通路は真っ暗だ。

 下手にスマホのライトを使うのもな…」


「壁伝いに行くか?」


「それしかないか。」


 ペタペタと壁に手を着いてゆっくり進む。


「前を向いてべったり壁に張り付けた時代が懐かしいな…」


 胸の脂肪のせいでそうはいかない現状。やっぱこれただの障害物だ。

 なんで詞亜や鴨木さんはこんなもの欲しがるんだろうか。実用性皆無どころの話じゃない。肩は凝るし…


「…邪魔そうだな、でかいのも大変なのか?」


「ああ、いるか?」


「いらねーよ。本当に男に見られなくなるだろ。」


「今ですらそう見えな」

「なんだって?」


「…なんでもない。」


 今ですらそう見えないですよ男装女子男子さん。

 口から出なかった言葉が行き場を失い、脳内で数回スーパーボールのようにバウンドした。


「あ、ここドアみたいだな。」


 触っていた壁の感触が変わり、その周りを調べるとドアノブがあった。


「よし、入るか。」


「……危なくないか?」


「手がかりが欲しいし、もしかしたらジーナリウスが捕まってる部屋かもしれないだろ?

 これくらいで危険なんて言って避けてたら何もできないぞ。」


 それも一理あるのだが…

 そう安易にドアを開けても大丈夫なのだろうか。罠とか大勢の見張りとかがあったら?そんな不安が溢れて俺はドアを開けられない。

 守なら大抵の危険は簡単に飛び越えられるだろうが、俺はそうはいかない。だから警戒…というか不安の度合いに違いが出ているのだろう。


「ロリータが開けられないなら、俺が開けるぞ。」


「…頼む。」


 守はドアの前に立っていた。

 俺が握れなかったドアノブを掴むと、クイっと回して何のことも無いように軽く引っ張った。


「…研究室か?」


 部屋には薄く光る筒が置いてあった。

 白くなったり、青くなったり…様々な色に変化しながらその光を放っている。


「これはなんだ?」


 筒の下に置いてある書類の中にノートを見つける。

 研究ノートが四冊、日記が一冊、他の紙は資料のようだった。


「…どうやら、この筒の中にあるのは魔力(マナ)みたいだな。」


 研究ノートの一冊を手にしている守がノートを眺めながら言った。


魔力(マナ)?」


「ああ。

 この金属に(This metal)必要なのは(need)魔力(manna)

 だから(Because)私は(I)集める(collect)魔力を(manna)。だそうだ。

 で、えー…アイ…サクセッド?コレクトマナ…」


 I collect manna succeed.

〈私はマナを集めることに成功した〉、か…


「英語か…ちょっと俺にも見せてくれ。

 これでも英語は得意なんだ。」


「…まあ、得意っぽそうだな。」


 守から研究ノートを受け取り、読み進めていくとある一文で目が止まった。


 I call this metal “metal manna” .


「“メタルマナ”…」



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