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元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元五章 宇宙人襲来!
39/112

元三十九話 招待したのに説明が短かった

この小説の話と2016年の日付に合わせてみました。

その結果二つほど日付関連で変更がありました。二つで済んだのは最近時間の経過をぼかしてたからですね。

あと、驚いたことに偶然始業式の日が9月1日になってました。始業式の二日後をテキトーに土曜日にしてましたが、まさか始業式のテンプレ日(?)になるとは。

 

「良い物って何?いい加減に教えてよ。」


「見てからのお楽しみだって何回も言ってるだろ?」


 通算十回目の見てからのお楽しみを言う。

 放課後、ジーナと2人で公園へ向かっている。ジーナをいつも放課後にいるアイツに会わせる為だ。


「ヒントでもいいから頂戴!そしたら多分全部わかるから!」


「そんなこと聞いて言えるか!」


 行先は教えていない。少しでもヒントをくれてやればジーナにバレるから。

 何故なら彼女はこの国の情報を全て網羅しているのだ。

 昨日は祝日で、一日彼女と過ごして分かったのだが彼女が知っているのは“この国の全ての個人情報”だけではない。

 “この国で起こった全ての出来事”も知っている。だから俺が夏休み終盤までは男だったことや、リリナが女神であったことも知っているのだ。

 他にも、数件先にある家で夫婦喧嘩が起こったとか、近所の野良犬が優しい不良に餌を貰ってることとか、その犬が餌を貰っている不良の家の門にマーキングしてるとか、そんな細かなことまで知っている。

 彼女、というかザープ星人には俺たちが謎としてきた全ての事を解明できそうだ。大統領の暗殺とか、恐竜が滅んだ原因とかも全て。宇宙人すげぇ。


「あ、マナちゃん!」


「マイハニー!」


 と、考えている間に公園に着いた。

 公園にはじょうちゃんと…げっ、憂佳が居た。


「そんなに嫌そうな顔しなくても良いじゃないか…」


「そう言われてもなぁ…」


「誘拐されたんだから仕方ないよね!変態レズロリコンさん!」


「!?」


 …そう言えば、ジーナはこの国の出来事を全て知り尽くしてるんだったな。

 憂佳が俺を誘拐したことも知ってたのか…やっぱり、魔法って本当に何でもありだな。


「な、なんでそのことを?

 その子は一体何者なんだ?」


「まあ気にするな。」


 安易に宇宙人とばらすのもまずいだろう。


「誘拐って何のこと!?」


「気にするな。」


 ここにじょうちゃんも居るんだから配慮してくれよ…


「それより、なんで憂佳がここにいるんだ?今日は平日だろ?」


「ああ、銀行に用事があって午後から半休を取らせてもらった。」


「半休?」


「半日だけ取る有給の事を言うんだ。

 銀行は閉まるのが早いから、こうして有休をとるか昼休みに行くしかないんだが…どうせなら有給を使ってしまおうと思って取った。」


 社会人にもいろいろあるんだな。

 それはともかく、アイツは…お、いるな。


「じょうちゃんの手のあたりを見てみろ。」


「じょうちゃん?あ、ロリの方だね。

 マナ、手フェチだったの?ロリの手フェチだったの?」


「No!

 そうじゃない、猫だ。猫猫(にゃんにゃん)だ。」


「ニャンニャン…?おお!確かに可愛い!略してたしかわ!」


 全国のたしかわさんごめんなさい。あなたの名前の由来は“確かに可愛い”の略なんかじゃありません。


「やっぱり地球の動物は良いね~!」


「え?地球の動物?」


 あ、じょうちゃんが余計なところを拾った。


「ははは、まるで宇宙人みたいなことを言うな。」


「ナズェバレタンディス!?」


 オンドゥルズィバクスィタンディスカア!?


「え?本当に?」


「そんな訳無いだろう。憂子、そんな芝居に騙されるな。」


「でも、髪青いし。」


「染めたんだろう。ちょっと自然な仕上がりになってるだけだ。」


 青で自然な仕上がりって結構無理ないか?


「地毛だよ。こういう場合は生え際を見せればいいんだっけ?」


 明かしにかかるスタイル。協力者は多い方が良いということなのだろうか。


「魔法でも見せとけ。」


「おけ。」


 ジーナは亜空間から1人用のポッド(宇宙船)を取り出す。

 じょうちゃんも憂佳も驚愕の表情。今にも叫びそうだ。耳ふさいどこ。


「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」


 被ダメ軽減成功。


「まままさか本当に!?」


「すごい!やっぱり宇宙人なんだ!」


 異次元に手を突っ込むなんて芸当は普通の地球人にはできっこない。

 二人はジーナが宇宙人であることをあっさり信用した。

 しかし、この時魔法を見せるのを提案したのは迂闊だった。

 後に俺たちはそれを知ることになる。


「これは…素晴らしい!

 なんとしても手に入れてやるぞ…!」







「ここがマナの部屋か…なんというか…」


「意外と男臭い部屋だね。」


 元男ですしおすし。

 協力してもらう以上ジーナの事情を詳しく話すことになったのだが、流石に公園でそんなことをしていたら誰に聞かれるかわからない。

 その為、俺の部屋に移動することとなった。その時の2人の感想がそちらになりました。はい。


「こら、マナだって女の子だぞ?そんなこと言ってやるな。」


「良いんだよ、自覚はある。」


 むしろ女っぽくてたまるか。


「そろそろ話しても良い?」


「あ、悪いな。説明よろしく。」


「よくある宇宙人の地球調査。私女子高生担当。終わり。」


「短いわ。」


 わざわざ部屋まで移動して話した説明がこれだけというのはなんかもったいないみたいな感じがする。


「大体把握した。」


「分かっちゃった。」


 マジか。


「ところで…宇宙人のテクノロジーは凄いのだろう?」


「ザープ星人ね。

 この星の事は調べたけど、貴女達から見れば凄いなんてもんじゃないと思うよ!

 あたし達には普通だけど。」


「そうか。

 では、もしかして他人そっくりの人形とか作れたりはしないか?触感とかも完全再現した物だぞ。」


「おいちょっと待て何を企んでる。」


 ではじゃねーよ。


「はいはい、マナちゃん人形ね。人数分あるから持って行って。欲しがるだろうなと思って用意しといたから。」


「リカガクちゃん人形みたいに言うな。っていうか用意すんなそんなモン!」


 ジーナは亜空間から俺そっくりの人形を4体取り出す。

 っていうかなんで俺の分もあるんだよ。俺が俺の人形なんて持ってどうすんだ。


「すごいぞー!可愛いぞー!!」


「本当に良いの!?」


「もちろん!

 その人形には圧縮機能もあるから、持ち運ぶときには額を押して。体積だけじゃなくて重量も二十分の一になるから!戻す時も額を押してね。」


「持ち運ばせようとするな!」


「本当だ!ちっちゃくて可愛い!」


「これさえあればどこでも…フフフ…」


 …俺はその人形の用途を考えるのを止めた。

 もうどうにでも使っちまえ。そして二度とその人形を俺に見せないでくれ。鏡さえ見れなくなるなんてことになりたくない…


 ピコーン!

 デッデッデッデッデッデッデ…

 テテッテッテ!テッテーテテテ!


 詞亜からの電話だ。

 この着信音も懐かしい気がする。


「もしもし?」


『もしもし基矢?ウェストに忘れ物してたわよ?』


「忘れ物?」


『イヤホンよ。この前ブルートーチのやつ買ったって言ってたじゃない?あれが休憩室の机の上に置きっぱなしだったの。』


「あー…そう言えばそうだった。」


 俺が忘れたのはブルートーチの無線イヤホンだ。

 マイク付きなので、あれ一つで通話も出来る。結構高かったのだが、イヤホンの買い替えをする際に少し奮発して買ったのだ。

 この前バイトの休憩中、そのイヤホンをしながら動画を観ていたのだがその時に置きっぱなしにしてしまったのだろう。


『バイト終わったから今届けに行く。』


「ああ、分かった。

 …いや、やっぱり次のバイトの時に持っていく。だから置いて行って良いぞ。わざわざ届けてもらうのも悪いし。」


『え?でも、もう家の前に居るし。』


「あ、そうなのか。

 じゃあちょっと待っててくれ。」


 通話を切り、玄関に移動して扉を開ける。


「まだ着替えてなかったの?」


「ああ、ちょっと寄り道しててな。今帰ったばっかりだったんだ。

 イヤホン、わざわざ届けてくれてありがとうな。」


「どういたしまして。

 あ、せっかくだし夕食食べさせてくれない?」


「…もしかして、それが目的で来たのか?」


「だって、アンタの料理美味しいし。」


「……ありがとな。」


 ちょっとうれしい。


「イヤホンと料理を褒めてくれた礼だ。今から作るから、部屋で待っててくれ。」


「よろしくね。」


 詞亜は俺の部屋に入っていった。

 さて、俺は料理を…


「きゃああああああああああああああああああああああ!!」


 部屋から詞亜の悲鳴が聞こえた。

 キッチンを一歩で出て、廊下を二歩で駆け抜ける。


「詞亜!どうした!?」


 部屋に入り、急ブレーキをかける。


「も、基矢が…基矢がいっぱい…!」


 ……あ。

 そういや部屋にマナちゃん人形四体も置いてたんだった…


「え、えーと…

 私は五人目だから…」


 焦りに焦って変なことを言ってしまった。


「基矢が…クローン…」


 詞亜は超常現象を目にしたショックで気絶した。

 目を覚ました詞亜に本当のことを全て話し、夕食にあり付けた頃には時計の針が九十度になっていた。

 なお、じょうちゃんと憂佳は詞亜が気絶した後に帰っている。

 マナちゃん人形は二体減っていた。


「あ、詞亜も居る?マナちゃん人形と基矢人形。」


「い、要らないわ!」


「渡すなそんなもん!」


「ジーナさん、私にはマナちゃん人形を一つ下さい。」


「あ、どうぞ。」


「貰うな!」

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